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8 本当の友人

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 次の日になり午前中の授業は、無事終わった。昼食になっため食堂でランチを受け取ってテラスへ向かう。そして、隣にはお弁当を持ったリリアもいた。

「2人ともお待たせしたわね。それと今日からリリアさんも誘いたいのだけど良いかしら?」

 ガーベラとローゼを見ると、なんとなく気まずそうにしていた。

「わたくしたちは構いませんが…リリアさんは良いんですの?」

 リリアは聞かれた意味が分からなかったようで、首を傾げつつも答える。

「よくわかりませんが、ご一緒したいです。」

 そう言って4人で席についてお昼ご飯を食べる。あらかた食べ終わった頃、ガーベラとローゼが話を切り出してきた。

「リリアさん、この前は酷いことを言って悪かったわね…申し訳なかったわ。」

「わたくしも…ごめんなさい。」

 2人が何について謝っているのか分からなかったため、リリアを見るが思い当たることがないようで、キョトンとしていた。

「お2人は何について言っているのでしょうか?」

「確かに最初わたくしたちは、リコリス様が公爵令嬢だから近づいたわ。公爵令嬢の後ろ盾があれば、リリアさんのことを悪く言っても許されると思った…でもあなたに言われてわたくしたちが一方的に、リコリス様を利用してるだけだと気がついたわ。だから、あの時あなたが言ったことは正しかったの。」

 ガーベラの言葉にローゼも同じ気持ちだというように頷いている。

「それなら、謝罪は不要です。どちらかと言うとリコリス様に謝るべき内容でしょうし…それに、ガーベラ様もローゼ様も他の方みたいに、教科書を捨てるとか破ることもないし、突き落とすなんてこともしなかったじゃないですか。」

「そ、そんなこともちろんしないわよ。わたくしたちにも貴族としての誇りがあるのだから…ってリリアさん!?あなたそんなことまでされてたの?」

 ローゼが驚いたようにリリアのことを見つめている。

「階段は昨日が初めてですけど、教科書はどこにあるか分かりませんね。」

 リリアの言葉に、私たちは3人して驚く。今も教科書がないなんて知らなかったからだ。

「リリアさん普段の授業はどうしていますの?」

「普段はですね…教科書の内容は全て覚えたので、授業に支障はないです。」

 笑顔で答えたリリアに驚愕した。

「流石…学年主席ですわね。」

 ローゼは聞きながらもなんとも言えない表情をしていた。

「ありがとうございます。教科書も新しく買うお金はないですし仕方がないですから。本当は階段から突き落とされた時に、誰にやられたのか確認できれば良かったのですが…申し訳ないです。」

「なぜそこで謝るのですか?」

  私が理由を聞くと意外な答えが返ってくる。

「真犯人が分かれば、リコリス様の潔白が証明できると思いましたから。…必ず、リコリス様のことは守りますね。」

「ありがとうございます…」

 周りを見るとリリアだけでなくガーベラとローゼも私のことを守ろうとしてくれていた。



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