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12 長期休暇-中編-
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王都から馬車で1日の場所にある、オーフィア公爵領。私はリリアと共に公爵家の馬車で、領地に戻っていた。
学園に入学してから約4ヶ月。とくに変わりはなかったが、今まで長い期間離れたことがなかったため、懐かしい気分になっていた。なお、お兄様は3日後に領地に帰るらしい。
馬車の中でリゲル殿下とのことをリリアに伝えると
「良かったじゃない。何もしてないことも伝わったみたいだし…可愛いらしいって言ってもらえて。」
昨日のことを思い出して、また少し顔が赤くなる。
「1つ、前世でそこそこ生きた身として、アドバイスよ。確かに貴族としては、感情を隠さないといけない場はあるのでしょうね。でもね…私的な所や家族、婚約者、友人くらいには、感情を見せたり想いを伝えたりしないと理解されないわよ?外に向けている顔とうちに秘められた顔は違うと思う。例え、長い間ずっと一緒にいたとしても、血のつながりがあったとしても理解できる方が少ない。だからこそ言葉で伝えたいことは伝えないとね。」
リリアの言葉を聞いてなんとなくわかった気がする。今まで…我儘を言っていた時でさえ本音は隠していた。記憶を取り戻して、断罪を避けようとしてからも生き残ることに必死で、心の内を吐き出すことは少なかった。けれど、隠さず話すようになってからガーベラやローゼ、リリアとの仲は深まったとも思う。
両親やお兄様、リゲル殿下にも私の想いを伝えたいと思った。
「そうかもしれないわね。…ところでリリアさんこそ、お兄様とはどんな感じなのかしら?」
私がそう尋ねるとリリアさんが照れて、恥じらっている表情が可愛らしい。
「おかげさまで、順調だと思う。」
詳しく聞くと、休みの日に何回か2人きりで買い物デートをしたそうだ。学園では、そんな様子を見せなかったのと、お兄様から私のことを庇ってもらうことが多かったため、心配だったが安心した。
家に着くとお母様が迎えてくれた。
「リコリスお帰りなさい。そちらの方は。」
お母様の視線がリリアに向く。リリアも1歩前に出て挨拶をした。
「お初にお目にかかります。リリアと申しますわ。」
「あなたがリリアさんなのね…ようこそいらっしゃい。サラ案内してあげて。」
お母様の鋭い視線がリリアの全身に突き刺さるが、悠然としたまま立っていた。
「かしこまりました奥様。お嬢様とリリア様もどうぞこちらに。」
私が自室にリリアが客室に移動してすぐ、私の部屋にお母様が訪れる。
「リコリス。学園であなたが狙われているそうだけど大丈夫かしら?」
「大丈夫ですわ。友人たちも力を貸してくれますし…リゲル殿下とも少し和解できましたから。」
お母様と学園であった内容について話す。最初の頃のことを思い出すと、涙が滲んでくるがお母様は私の頭を撫でてくれた。
「カストルには、わたくしからも言っておきますから安心しなさい。それから…カストルの手紙に書いてあったのだけど、カストルとリリアさんはどういった仲なのかしら?」
お兄様が手紙でなにかを送っていたようだが、どう書いていたのかわからないため、ありのまま話す。
「そう、休日に2人で出かける仲ですか…カストルは、公爵家の次期当主。その公爵夫人となる人は、誰でもいいわけではありません。第1印象は悪くないけれど…ただの平民では貴族社会を生きていけるとは思えないわ。…1度リリアさんと2人で話す必要がありそうね。」
私は心の中でリリアにエールを送った。
学園に入学してから約4ヶ月。とくに変わりはなかったが、今まで長い期間離れたことがなかったため、懐かしい気分になっていた。なお、お兄様は3日後に領地に帰るらしい。
馬車の中でリゲル殿下とのことをリリアに伝えると
「良かったじゃない。何もしてないことも伝わったみたいだし…可愛いらしいって言ってもらえて。」
昨日のことを思い出して、また少し顔が赤くなる。
「1つ、前世でそこそこ生きた身として、アドバイスよ。確かに貴族としては、感情を隠さないといけない場はあるのでしょうね。でもね…私的な所や家族、婚約者、友人くらいには、感情を見せたり想いを伝えたりしないと理解されないわよ?外に向けている顔とうちに秘められた顔は違うと思う。例え、長い間ずっと一緒にいたとしても、血のつながりがあったとしても理解できる方が少ない。だからこそ言葉で伝えたいことは伝えないとね。」
リリアの言葉を聞いてなんとなくわかった気がする。今まで…我儘を言っていた時でさえ本音は隠していた。記憶を取り戻して、断罪を避けようとしてからも生き残ることに必死で、心の内を吐き出すことは少なかった。けれど、隠さず話すようになってからガーベラやローゼ、リリアとの仲は深まったとも思う。
両親やお兄様、リゲル殿下にも私の想いを伝えたいと思った。
「そうかもしれないわね。…ところでリリアさんこそ、お兄様とはどんな感じなのかしら?」
私がそう尋ねるとリリアさんが照れて、恥じらっている表情が可愛らしい。
「おかげさまで、順調だと思う。」
詳しく聞くと、休みの日に何回か2人きりで買い物デートをしたそうだ。学園では、そんな様子を見せなかったのと、お兄様から私のことを庇ってもらうことが多かったため、心配だったが安心した。
家に着くとお母様が迎えてくれた。
「リコリスお帰りなさい。そちらの方は。」
お母様の視線がリリアに向く。リリアも1歩前に出て挨拶をした。
「お初にお目にかかります。リリアと申しますわ。」
「あなたがリリアさんなのね…ようこそいらっしゃい。サラ案内してあげて。」
お母様の鋭い視線がリリアの全身に突き刺さるが、悠然としたまま立っていた。
「かしこまりました奥様。お嬢様とリリア様もどうぞこちらに。」
私が自室にリリアが客室に移動してすぐ、私の部屋にお母様が訪れる。
「リコリス。学園であなたが狙われているそうだけど大丈夫かしら?」
「大丈夫ですわ。友人たちも力を貸してくれますし…リゲル殿下とも少し和解できましたから。」
お母様と学園であった内容について話す。最初の頃のことを思い出すと、涙が滲んでくるがお母様は私の頭を撫でてくれた。
「カストルには、わたくしからも言っておきますから安心しなさい。それから…カストルの手紙に書いてあったのだけど、カストルとリリアさんはどういった仲なのかしら?」
お兄様が手紙でなにかを送っていたようだが、どう書いていたのかわからないため、ありのまま話す。
「そう、休日に2人で出かける仲ですか…カストルは、公爵家の次期当主。その公爵夫人となる人は、誰でもいいわけではありません。第1印象は悪くないけれど…ただの平民では貴族社会を生きていけるとは思えないわ。…1度リリアさんと2人で話す必要がありそうね。」
私は心の中でリリアにエールを送った。
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