悪役令嬢とヒロインはタッグを組みます!

ライ

文字の大きさ
16 / 24

16 舞踏会での断罪-前編-

しおりを挟む
 私はあらかじめ仕立ててもらっていた、真紅のドレスを着る。いつもよりも念入りに仕立ててもらい会場へ向かった。

 会場に着くと私に視線が集まる。3ヶ月の間意識を失っていて、公の場に姿を見せなかった公爵令嬢。しかも友人として中の良かったはずのリリアに、湖に突き落とされた…危うく殺されかけたというのが、皆の認識なのだろう。

 入り口のところで待っているとリゲル殿下がやってきた。婚約者のため、入場する際にはエスコートしてもらう。

「今日は大丈夫か?」

「ええ。おかげさまで。ダンスは無理ですが、参加するだけなら問題ありませんわ。」

 流石にずっと寝ていたことで、筋力が落ちていた。歩く分には問題ないが、ダンスも含めたそれ以上の運動には、耐えられそうにない。

「わかった。俺も今日は踊らずに、一緒にいるとしよう。」


 ついに舞踏会が始まる。リゲル殿下のエスコートで会場に入る。その後くらいにお兄様にエスコートされているリリアを見つけた。

「皆様!舞踏会の前にはっきりさせたいことがありますの。」

 前に出てきたのはロベリア侯爵令嬢とカノープス公爵令息だった。

「皆様も噂で知っている通り、そこにいるリリアさんは、リコリス公爵令嬢を湖に突き落とした疑いがありますわ。ただでさえ、平民が貴族の中でも頂点に位置する公爵家を狙い、令嬢のことを殺そうとするなど言語道断。この場を借りて、罪を認めなさいまし。」

 ロベリアの言葉を受けて、リリアに非難の視線が集まる。

「リリア嬢。僕はね、君のことを尊敬していたんだ。立場が弱くて嫌がらせを受けながらも、主席として努力していたからね。でも虐めていたリコリス嬢と同じかそれ以上のことをするなんて…誇り高い貴族として許すことはできないね。」

 カノープスがさらに追いついをかける。リリアの近くには衛兵もやってきていて、下手な動きをすれば連行されるか、最悪その場で斬られてしまう可能性もある。
 私も反論するために前に出ようとするが、リゲル殿下に止められた。

「君は無茶をしては行けないよ。」

「っ!?どうして…」

 リゲル殿下は、凪いでいるような目を向けていた。表情からも怒りや心配する様子は見られない。

「私は何も知りません。気がついた時には騒ぎになっていましたから。そもそも、私が犯人であればリコリス様を助ける真似をしないでしょう?」

「あなたは確かに、溺れてたくさんの水を飲んでしまったリコリス様を助けましたわ。でも…突き落としたあとに、怖くなって急いで戻ってきたのではないですか?」

 お兄様がリリアを護るように立っているが、彼女に味方をするものはいなかった。ガーベラとローゼは不安そうに見守っているが、擁護のしようがないため手出しできないでいる。

「そもそも私のことを本当に見たのかしら?あの時間帯は夕暮れの頃で、遠目ではだれかわからないわ。」

「ピンク色の髪をしているのは、あなただけではないですか。」

 ロベリアの言葉に笑みを浮かべて、リリアが1つのものを取り出した。それは、ピンク色の髪のカツラだった。周りの人も驚いているようだ。

「私も苦労してこれを見つけました。これこそ真犯人がいる証ではないでしょうか?」

 リリアはそう言いながらロベリアの後ろにいるカルミア子爵令嬢を見つめている。

「ねぇカルミア様。このカツラ…どこにあったと思います?私も探すのに苦労したのですよ。でもね、教えてくれた人が持ってきてくれました。」

 リリアはそう言いながら、ロベリアのもう1人の取り巻きであるサフラン男爵令嬢を見て行った。カルミラは凄い形相でサフランを見る。

「っ!?違う!わたくしじゃない!」

 サフランは慌てて否定するがリリアが笑顔で言葉を重ねる。

「お付きの人のことにも、伝えておくべきでしたね。」

「っ!?シアのせいね!あいつが勝手に、許可を得ずに持ち出すなんて」

「サフラン!やめなさい!」

 サフランが使用人に対して怒っているが、カルミラが慌てて止めた。

「だそうですよ、リゲル殿下。」

 リリアがリゲル殿下に声を掛けた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。

処理中です...