青い空

鵜海 喨

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第一話

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 化け物は笑った。複数の顔に笑みを浮かべ追いかけてくる。そしてその顔は人間その物だった。
 帰り道。何も無い平坦な道を私は歩いていた。今日、学校であった出来事を振り返りながら鼻歌を歌い足を進めていた。
 そう。何もなかった。
 今日は空が特に青かった。スカイブルーとはこの色なのかと思いながら、私は昼食のパンを口に運んだ。
 四角に囲われた空は、ガラス板を通して少し曇って見えた。それでも雲一つ無い青空だということはわかる。そう久しぶりに晴れたのだ。この地域では立地が関係して一年中、曇り空だった。そんなこの地域に晴れ空がやってきたのだ。
 皆。窓に目を向けて昼食をとっている。
「綺麗だね」そんな言葉も聞こえてくる。
 もちろんこの空は綺麗だと思った。初めて見ると言ったも過言ではない空を目の前にただただ感動していた。
 チャイムが鳴る。
 手に持っている菓子パンがまだ半分残っていることに気づいた。空に見惚れて食べる事を忘れていたのだ。私はパッケージにパンを戻し封をする。そしてカバンの中にしまった。
「はい。授業始めるぞ」
 と先生が教室に入ってくる。
 そしてつまらない授業が始まった。しかし先生は、毎度のように授業の最初の数分間は雑談をする。今日はどうやら、この空について話をするようだ。
「では、皆さん。今日の空は見ましたか? とても綺麗ですね。ですがこれは滅多に起こる事では無いのです。では一つ伝説を話しましょう。ここ一帯に伝わる古い伝説」
 その話は化け物の話だった。この一帯を統治する化け物。それは雨女という、人の形をした化け物だと先生は言った。いつも曇り空なのは、その雨女がこの地域を守っているからなのだと。そしてその雨女は何千年もこの地域に居座り続けているのだと。先生は淡々と続ける。
「ところで。皆さん今日はなぜ下校時刻が早いのかご存知ですか? そう雨女が居ないからなのです。ですから地域を守る者が居ない事になりますよね。すると夜、鬼が攻めてくるのです。ですから今日は早く帰るように。決して日が暮れてから外を出歩かないように。では授業を始めます」
 すると。一つの手が上がった。
「先生。鬼とは何ですか? そこだけ説明が抜けています」
 すると。先生は困った顔をした。そして少し考え込むような素振りを見せた後口を開く。
「それは、教えられません。と言うか知ってしまえば殺されます」
 一瞬で教室が騒つく。
「先生は知っているのですか? ならなぜ生きているのでしょうか」
「では、授業を始めます」
 先生は無視をした。
 私は、先生の言葉が頭をグルグルと回り。授業の言葉が頭に入ってこなかった。
 放課後。私は帰る準備をしていた。
 ふと、視線を感じる。私は顔を上げ、違和感のある混雑した廊下に目を向ける。
 そこに立っていたのは、紺色のワンピースを着ていた背の高い女性だった。彼女は人が飛び交う廊下に立ち、私を凝視していた。
 ある、男子生徒がその女性にぶつかる。しかし男子生徒は女性をすり抜ける。そして彼は見えていない。
 私だけに見えている。
 女性は笑みを浮かべ消えていく。その直後、強烈な眠気が私を襲った。
 
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