「夢」ショートショート集

鵜海 喨

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「ねぇ聞いて。私さ。好きな人が出来たんだ」
 学校の帰り道、そう語ったのは一緒に帰る女子友達。
「誰か知りたい?」 
 彼女は甘く問いかけける。
「うん」
 僕は答えた。
 すると彼女は大きく息を吸って町中に響渡るような、声でこう言った。
「この鈍感やろう。あなたに決まってるんでしょ! バカヤロウー!」
 と、言い切ったように清々しい顔付きで僕の目を見つめてくる。
「え? 僕?」
 半信半疑だった。友達としか見ていなかった彼女から、好きと言われてしまった。
「この間だって。私、結構攻めて手を繋いだりしたじゃん。それで気付くと思ったのに気付かないんだもん」 
 どんどん声は小さくなっていくが、顔は赤みを増していく。
 確かに、手を繋いだが、あれはちゃんとした理由があっての事だ、校外学習で離れちゃいけない、そうと言われて一番簡単な手段だったからであって、そんな恋愛感情があっての事だとは微塵も思わなかった。今思えば不思議だが、中学生が離れちゃいけないからって、手を繋ぐのは少し幼すぎるように思えてきた。
「だから付き合って」
 聞き取れるギリギリの音量で、呟く。
 僕はそれを戸惑いながらも受け入れた。
 1ヶ月後。
 僕は、彼女の家に遊びにきた。別に行きたいと言ったわけではない。遊びに誘われてそれに乗ったらここだった。だけど、少し行ってみたかったのは内緒だ。
 今彼女は、飲み物を取りに部屋を留守にしている。僕は悪いと思いながらも部屋をマジマジと見回って、女の子ってこんなんなんだなーと心で思っていた。
 可愛いぬいぐるみや、カーテン、ベット全てが、程よい感じで馴染んでとても居心地がいい。
 などと考えていると彼女が戻ってきた。
「お待たせー」
 と飲み物を唯一ある机、勉強机に置き、僕の横にすり寄ってきた。
 指を絡めて手を繋ぎそれを僕の太ももに置いた。彼女の鼓動がなんとなく伝わってくる。その脈は速い。そして彼女はもたれてくる。僕が倒れてしまえば、一緒に倒れてしまう。それほどに、身を委ねてきた。
 僕は、その重さに耐えていたものの、ついに倒れてしまった。すると彼女の頭が僕の胸に飛び込んできた。体の密着する面積が増える。
「好きだよ」
 そう言って彼女は僕の胸に蹲った。 
 
 
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