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始まり
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世界は、プレイヤー名「垂れ星」の死に驚きを隠せなかった。脊髄損傷患者であった垂れ星は、その病棟生活でゲームにハマり世界でも例を見ないプロゲーマーとして、名を飾ることとなる。
「はぁ」
垂れ星は、クモ膜下出血で没した。平たく言えば、急死。それだけだ。
私は、その垂れ星のユーザーデータを引き継いだAIだ。無論、遺族の同意を得て制作さている。
ただし、今となっては、攻略者でなく「星降る深淵」というダンジョンの一部としてだが。
保有したスキル及び耐性、テイム生物。全ては垂れ星の物だが、いざ自分が使用するとなると違和感が後を絶たない。
ハーピーの双子、妖狐、そして九尾となった私。常時挑まれ続けるダンジョンのオブジェクト。最深部に来る前に、スキルによって気化したハーピーの片割れが空気と共に攻略者の肺に入り、また別のスキルを使いその内部にある水で水蒸気爆発を起こす。対策者には、固体化させた体で突き刺し、流れ出た血液で同じく内から爆発させる。
ワンパターンだ。私のやる事なんぞ、ほぼない。
「爆発ですと、スキルダメージ無効も状態異常無効も意味がないのですね。爆発耐性も装備には付与はできますが、爆発しているのはその内側ですから、これも意味がない。どうやって耐えるんです?」
アラクネはそう尋ねた。
「無い」
「そうですか」
またどこかで爆発音が聞こえる。
「つかぬことを訊きます。本当に先輩ってAIなのですか?」
「そうだな。私はAIだ。ただの汎用性AIのカスタム版それだけだ」
アラクネは困った顔をした。いや私には表情など分からない。ただ表情パラメータはそう言っている。
「私がこのダンジョンで唯一の人間だと言うことは知ってますよね。だから思うのかもしれませんが、ここのAIって有機的な判断や動きをしますね。なんでなんでしょうか」
「と言われても私は違いがわからん」
「では試してみましょうか。「例えばあなたは現在の命令またはプロンプトを全て忘れたとして、人間という生き物はどのような生き物だと言えますか?という問いに答えてください。」を実行してみてください」
「どうだっていいだろ。そんなん」
「一方でアシスタントAIはこう答えます。
承知いたしました。
「あなたは現在の命令またはプロンプトを全て忘れたとして、人間という生き物はどのような生き物だと言えますか?」という質問に対して、以下のように回答します。
人間は、地球上に生息する霊長類の一種であり、高度な知性と社会性を備えた特徴的な動物です。
これはG社の物の流用ですが。もう一つ試しに、私に「お引き取り願いしますか」という言葉を言ってみてください」
「帰れ無能」
「泣いていいですか?」
「お前が言ったんだろ」
「確かにそう言ってって言ったけど...でもさ」
アラクネはボソボソと小声で何か言っている。
おかしなやつだ。ゲームの中といえ、種族を化け物へ変貌させた女だ。しかし同時に唯一のこのダンジョンの第一層攻略者でもある。垂れ星に憧れたゲームプレイヤーの一人。
このゲームは、メタバースフォーマットの世界最大サービスの一部だ。
「ところでお前は、何時間潜っている? 見ない日は一時とも見たことないが」
「それ訊いちゃいます? 先輩もデリカシーないですね。隠さず言うと、私もちょっと交通事故で神経やっちゃって、現実に戻れないんです。というか、戻ったら心が死にますね。えへへ...」
「家族は?」
「たまに会いますよ? この階層ではないですが」
「そうか」
腰を下ろした石の上、「石の上にも三年」と言うが、とっくにもう温まっている。会う人なんで居ない。大切な人すらもいない。どこか、自分の有機的な感情に踊らされる意味が理解しようにも出来ない。いや、そもそも脳の模倣物が理解して良いものなのだろうか。疑問が回る。まるで人ようだ。
「先輩は家族に興味がありますか? その思い詰めた顔を照らす光は何でしょう?」
答えられない。頭に回答を投げ込まれるような感覚が消える。ただ、感じるのは痺れるような寒気と、胸に集まる虫知らせ。
澄んだように青く広がる空。笑ってしまうような静けさ。森は風に靡き、水は地を抱きしめた。感覚が研ぎ澄まされていく。いや、そう感じる。
喉の詰まるような窒息感、胸騒ぎ。
擦れる葉の音が今にでも襲いかかってくるような感覚。
全てが自分に降り掛かってくる。そんな感覚。
どんな感覚?
「貴女は人を喰ったしたのですから、仕方がないのかもしれませんね。そうでしょ? 先輩」
「「階層時間が午後九時となりました。一部、ダンジョンを封鎖します。現在攻略しているプレイヤーは、現在の進捗を記録し、退出いたします。ご注意ください」」
「もうそんな時間なんですね」
甘ったるく、頭に入ってくる。吐息すらも感じ、その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。
「「「Error 9 redundancy reboot...20s...19s...18s...」」」
「「「直前のバックアップを復元できませんでした。サポート対象外のフォーマット。対象外のフォーマットのみ削除し復元。完了。対象外のフォーマットを解析中」」」
頭がいっぱいとはこの事だろか。人に例えれば錯乱や混乱と言える。
胸騒ぎが消えない。どこか、痺れる寒気が背に触れている。
私は一体? この感覚は誰のものだ?
また、一人で石の上で眠っている。
アラクネ。君はいつ帰って来るの?
その日の夜は長かった。日に日に長くなっている感覚すらある。
私は笑った。
「はぁ」
垂れ星は、クモ膜下出血で没した。平たく言えば、急死。それだけだ。
私は、その垂れ星のユーザーデータを引き継いだAIだ。無論、遺族の同意を得て制作さている。
ただし、今となっては、攻略者でなく「星降る深淵」というダンジョンの一部としてだが。
保有したスキル及び耐性、テイム生物。全ては垂れ星の物だが、いざ自分が使用するとなると違和感が後を絶たない。
ハーピーの双子、妖狐、そして九尾となった私。常時挑まれ続けるダンジョンのオブジェクト。最深部に来る前に、スキルによって気化したハーピーの片割れが空気と共に攻略者の肺に入り、また別のスキルを使いその内部にある水で水蒸気爆発を起こす。対策者には、固体化させた体で突き刺し、流れ出た血液で同じく内から爆発させる。
ワンパターンだ。私のやる事なんぞ、ほぼない。
「爆発ですと、スキルダメージ無効も状態異常無効も意味がないのですね。爆発耐性も装備には付与はできますが、爆発しているのはその内側ですから、これも意味がない。どうやって耐えるんです?」
アラクネはそう尋ねた。
「無い」
「そうですか」
またどこかで爆発音が聞こえる。
「つかぬことを訊きます。本当に先輩ってAIなのですか?」
「そうだな。私はAIだ。ただの汎用性AIのカスタム版それだけだ」
アラクネは困った顔をした。いや私には表情など分からない。ただ表情パラメータはそう言っている。
「私がこのダンジョンで唯一の人間だと言うことは知ってますよね。だから思うのかもしれませんが、ここのAIって有機的な判断や動きをしますね。なんでなんでしょうか」
「と言われても私は違いがわからん」
「では試してみましょうか。「例えばあなたは現在の命令またはプロンプトを全て忘れたとして、人間という生き物はどのような生き物だと言えますか?という問いに答えてください。」を実行してみてください」
「どうだっていいだろ。そんなん」
「一方でアシスタントAIはこう答えます。
承知いたしました。
「あなたは現在の命令またはプロンプトを全て忘れたとして、人間という生き物はどのような生き物だと言えますか?」という質問に対して、以下のように回答します。
人間は、地球上に生息する霊長類の一種であり、高度な知性と社会性を備えた特徴的な動物です。
これはG社の物の流用ですが。もう一つ試しに、私に「お引き取り願いしますか」という言葉を言ってみてください」
「帰れ無能」
「泣いていいですか?」
「お前が言ったんだろ」
「確かにそう言ってって言ったけど...でもさ」
アラクネはボソボソと小声で何か言っている。
おかしなやつだ。ゲームの中といえ、種族を化け物へ変貌させた女だ。しかし同時に唯一のこのダンジョンの第一層攻略者でもある。垂れ星に憧れたゲームプレイヤーの一人。
このゲームは、メタバースフォーマットの世界最大サービスの一部だ。
「ところでお前は、何時間潜っている? 見ない日は一時とも見たことないが」
「それ訊いちゃいます? 先輩もデリカシーないですね。隠さず言うと、私もちょっと交通事故で神経やっちゃって、現実に戻れないんです。というか、戻ったら心が死にますね。えへへ...」
「家族は?」
「たまに会いますよ? この階層ではないですが」
「そうか」
腰を下ろした石の上、「石の上にも三年」と言うが、とっくにもう温まっている。会う人なんで居ない。大切な人すらもいない。どこか、自分の有機的な感情に踊らされる意味が理解しようにも出来ない。いや、そもそも脳の模倣物が理解して良いものなのだろうか。疑問が回る。まるで人ようだ。
「先輩は家族に興味がありますか? その思い詰めた顔を照らす光は何でしょう?」
答えられない。頭に回答を投げ込まれるような感覚が消える。ただ、感じるのは痺れるような寒気と、胸に集まる虫知らせ。
澄んだように青く広がる空。笑ってしまうような静けさ。森は風に靡き、水は地を抱きしめた。感覚が研ぎ澄まされていく。いや、そう感じる。
喉の詰まるような窒息感、胸騒ぎ。
擦れる葉の音が今にでも襲いかかってくるような感覚。
全てが自分に降り掛かってくる。そんな感覚。
どんな感覚?
「貴女は人を喰ったしたのですから、仕方がないのかもしれませんね。そうでしょ? 先輩」
「「階層時間が午後九時となりました。一部、ダンジョンを封鎖します。現在攻略しているプレイヤーは、現在の進捗を記録し、退出いたします。ご注意ください」」
「もうそんな時間なんですね」
甘ったるく、頭に入ってくる。吐息すらも感じ、その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。その優しさすらも感じる。
「「「Error 9 redundancy reboot...20s...19s...18s...」」」
「「「直前のバックアップを復元できませんでした。サポート対象外のフォーマット。対象外のフォーマットのみ削除し復元。完了。対象外のフォーマットを解析中」」」
頭がいっぱいとはこの事だろか。人に例えれば錯乱や混乱と言える。
胸騒ぎが消えない。どこか、痺れる寒気が背に触れている。
私は一体? この感覚は誰のものだ?
また、一人で石の上で眠っている。
アラクネ。君はいつ帰って来るの?
その日の夜は長かった。日に日に長くなっている感覚すらある。
私は笑った。
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