人生練習

鵜海 喨

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 駆けた足音は、廊下に残響音を残し視界から流れ出ていく。そんな中。
「おい、ライト。父が殺されたぞ」
 と一番鬱陶しい兄が死角から話してきた。恐らく、今通り過ぎたドアの中だろう。
「うわぁ」
 反射的に言葉が漏れるが、いつもの事だから問題無いはず。しかし、兄の名前を忘れた。
「次の頭領は俺だ。ライト」
 筒状の金属と丸い金属が動くのがわかる。俗に言う火縄銃だ。
「兄さんよ。そんな物騒な物を持ったって僕には敵わないよ」
 そうだ。私はこの意地っ張りな兄の顔面を幾度となく泣き面にしてきた。兄の武器であったバターナイフは、食器のナイフに代わり、次にはサバイバルナイフになったけど、全て蒸発させた。
「次の頭領はお前ではなく俺だ! 継承権一位のお前が消えれば、この"国"は俺のもんなんだ」
 自暴自棄になったというか。なんかこう、血に飢えた闘争民族じみた雰囲気な兄。
「年下のくせして、気持ち悪いんだよ。死ねぇ!」

 兄の撃った銃の弾丸が、窓ガラス越しに横目で捉えられる位近づいたけど、どうしようか。蒸発させてもいいが、面白くない。これって、反射させて兄の腕辺りに当てれば良い感じなんじゃ? そうと決まれば、実行。
 思考計算。ガラス、鉄。手を叩く。
 視界が暗くなった後に、鉄板の撓む音。
 鉄、巻き戻し。手を叩く。
 鉄をガラスに戻し中を見ると、脳天に被弾し立ち尽くす兄が見える。まぁ乱が起こってるし、その時殺されたってことで。

 父上の住む部屋付近い着いたが、鉄臭い上に、未だに銃声が聞こえる。衛兵は何をしているんだろうか。役立たずにもほどがある。
 筒状金属指定、蒸発後即時結晶化。手を叩く。
「戦いなんてやめましょうよ」

 ドアを開け、そう叫ぶ。
 見るからに、大役室といった強勢な飾りの施された部屋が、血まみれだった。正直、この匂いは苦手だが、生物由来の物体は金属へ変換できない。中には、大人が七人。衛兵二人の他が現行犯。皆屈強の男と言っていいほどの体つきをしている。

「なら、国を良くしろ。奴隷商の立ち入る国ではなかったはずだ。だが、そう言っても変わらんから、俺達が政権を握る」
 革命といったところか。
 熊のような大男達は、血眼になって私を睨む。手にはナイフや銃だったものが握られ、まだ殴り合いになってまで討とうとする心意気が見受けられる。
 貧相な服や安っぽい武器。どれもその体らに似合わない。
「一つ訊いても良いかな。君達の収入はいくら?」

 ただの疑問だ。あんな内政糞ったれの父親の政治だ。そんな良くないのが伝わってくる。
 
「そんなんも知らないで俺達を弄んでいたのか、お前らは!!」

 広くない部屋、男が走れば数瞬の猶予があるか分からない。

「手荒な真似はしたくないんだ。血はこれ以上ながしたくないんだろう?」

 
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