塩素と花

鵜海喨

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終わり

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 終わった 終わった 前の人
 色に見えたあの人も

 終わった 終わった 夏の日々
 始まる 始まる 冬の日々

 終わった 終わった ため息だ
 終わった 終わった つまらない

 悲しさ紛れの水切りは
 虚しく沈む石ころは
 まるで僕のよう

 ようこそ ようこそ 慰め日々へ

 塩素が満たす花色だ。
 僕の心もその色に。

 劣化花弁抜け落ちて
 いつか咲かすの赤い糸


 僕はなんて馬鹿なんだ。何も意味の産まない一方通行の馳せた思い等、無駄だと僕は断言した。ただ色の糧として知識は無色透明だった。
 人間性を育てる色の糧はどんな物なのだろうか?
 わからない。いや、わかりたくない。だから受け取った色を、色を知らないまま塩素で脱色する。

 でも虚しさは感じる。
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