描写

鵜海 喨

文字の大きさ
1 / 1

終わり

しおりを挟む
 彩る世界とはどのようなものか。確かにそのような物は無いと思えばそこまでだが、何も信じないのもツマラナイ話だ。信じても結果がどうだ。と言われてしまえば何も無い他無い。私は、その「彩る世界」を書いてみたいと思う。長ったらしい駄文になる可能性すらあるが、それは自分の実力を信じるとしよう。



 それは、水の中だっただろうか。恰もそのように思える美しい世界だった。私は水のゆらぎを感じながら、ただ只管に流れにまかせて運ばれて行く。
 烏が鳴いた気がする。
 鵜が水に潜る。
 自分が水になる。
 そんな事を思いながら、見る歪んだ空は何よりも美しく見えた。なんでも良い。自分が生きていればそのようなモノに出会えるのだと、そう思った気がする。海なのか川なのかわからない。ただ砂利の道をふわふわと歩いて現実逃避しているようだ。
「嗚呼、なんて美しいのだろうか」そんな言葉すら漏れてしまいそうな程にそれは、透明でどこまででも見通せる水の中。魚も泳ぎ、日光のカーテンを潜り遠くへ流されていく。

 目を瞑る。夜空のような黒の世界。いや、日が暮れた橙に染まる夕焼け。一番星が輝くそんな、翻った空。何も意味もなく、光る一点に見入ってしまう。笑える。笑ってしまう。ここではないどこか、汚い世界とはかけ離れた存在。やっと開放されたそんな感覚。何も無い。只管に難儀な事。思い出したくもない。思い出してしまえば、この世が終わってしまう。そんな感触。

 蛙が飛び込む音。

 目を開けた。

 呪いのような世界。息をするのも酷く辛いそんな。人はそれを目が覚めたと言うのだろう。逃げ場など無い。ただ淡々と続く茨道を歩き続けるだけだ。
 夕暮れに烏が不穏ながら不気味に笑う。
 悪夢ならどれほど良かっただろうか。現実世界など、優しさを貪り食い合い、誰か搾取されるそんな世界。
 揺れる水面のようだ。静かな恐怖とはこの事だろう。笑った事も赦されず、死ぬ事も許されず、生きる事を笑われる。そんな醜い世界を生きた証は、その病と言われた。体は布団の中で溶け、重たい蜂蜜のようぬ沈んでいく。時間も砂糖のように白くサラサラと進んでいった。影が黒糖のようにコントラストを表現している。
 鐘がなった。妙に不安がるような音色。妙。私は間違いと犯した。それだけ。只管な居残り授業を受け続けているような感覚。明日が来てしまう。来てしまった。

 再び目を閉じる。真っ暗な世界。世界。


 今日は学校だろうか。
 そんな場所に捧げる時間など、何の意味を保有しているのだろうか。続き続ける苦の時間は、まるで、呪いを具現化したような場所だ。空気感。そんな物を必要以上に大切にする。私にはわからない。わかるべきなのだろうが理解ができない。何をしているのだろうか。何も出来ないならば、何をして、何故息を続けるのだろうか。生きている意味など見つからず、生きた意味を見返せば、何も得られない泣きじゃくった顔を見ることができるが、私自身はそれをみて何を思い抱くのだろうか。

 死にたいとは違う感覚。逃げたいとも違う感覚。開放。それが近い。

 神は笑っているのだろうか。神は何を見ているのだろうか。神は何を作り何を抱いているのだろうか。神は私を認知しているのだろうか。

 雑魚は笑った。
 アメンボすらも呆れている。
 タニシは知らないフリ。

 人は、私をどう思っているのだろうか。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)

MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。 しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。 ​母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。  その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。 ​純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。 交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。

処理中です...