描写

鵜海 喨

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終わり

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 彩る世界とはどのようなものか。確かにそのような物は無いと思えばそこまでだが、何も信じないのもツマラナイ話だ。信じても結果がどうだ。と言われてしまえば何も無い他無い。私は、その「彩る世界」を書いてみたいと思う。長ったらしい駄文になる可能性すらあるが、それは自分の実力を信じるとしよう。



 それは、水の中だっただろうか。恰もそのように思える美しい世界だった。私は水のゆらぎを感じながら、ただ只管に流れにまかせて運ばれて行く。
 烏が鳴いた気がする。
 鵜が水に潜る。
 自分が水になる。
 そんな事を思いながら、見る歪んだ空は何よりも美しく見えた。なんでも良い。自分が生きていればそのようなモノに出会えるのだと、そう思った気がする。海なのか川なのかわからない。ただ砂利の道をふわふわと歩いて現実逃避しているようだ。
「嗚呼、なんて美しいのだろうか」そんな言葉すら漏れてしまいそうな程にそれは、透明でどこまででも見通せる水の中。魚も泳ぎ、日光のカーテンを潜り遠くへ流されていく。

 目を瞑る。夜空のような黒の世界。いや、日が暮れた橙に染まる夕焼け。一番星が輝くそんな、翻った空。何も意味もなく、光る一点に見入ってしまう。笑える。笑ってしまう。ここではないどこか、汚い世界とはかけ離れた存在。やっと開放されたそんな感覚。何も無い。只管に難儀な事。思い出したくもない。思い出してしまえば、この世が終わってしまう。そんな感触。

 蛙が飛び込む音。

 目を開けた。

 呪いのような世界。息をするのも酷く辛いそんな。人はそれを目が覚めたと言うのだろう。逃げ場など無い。ただ淡々と続く茨道を歩き続けるだけだ。
 夕暮れに烏が不穏ながら不気味に笑う。
 悪夢ならどれほど良かっただろうか。現実世界など、優しさを貪り食い合い、誰か搾取されるそんな世界。
 揺れる水面のようだ。静かな恐怖とはこの事だろう。笑った事も赦されず、死ぬ事も許されず、生きる事を笑われる。そんな醜い世界を生きた証は、その病と言われた。体は布団の中で溶け、重たい蜂蜜のようぬ沈んでいく。時間も砂糖のように白くサラサラと進んでいった。影が黒糖のようにコントラストを表現している。
 鐘がなった。妙に不安がるような音色。妙。私は間違いと犯した。それだけ。只管な居残り授業を受け続けているような感覚。明日が来てしまう。来てしまった。

 再び目を閉じる。真っ暗な世界。世界。


 今日は学校だろうか。
 そんな場所に捧げる時間など、何の意味を保有しているのだろうか。続き続ける苦の時間は、まるで、呪いを具現化したような場所だ。空気感。そんな物を必要以上に大切にする。私にはわからない。わかるべきなのだろうが理解ができない。何をしているのだろうか。何も出来ないならば、何をして、何故息を続けるのだろうか。生きている意味など見つからず、生きた意味を見返せば、何も得られない泣きじゃくった顔を見ることができるが、私自身はそれをみて何を思い抱くのだろうか。

 死にたいとは違う感覚。逃げたいとも違う感覚。開放。それが近い。

 神は笑っているのだろうか。神は何を見ているのだろうか。神は何を作り何を抱いているのだろうか。神は私を認知しているのだろうか。

 雑魚は笑った。
 アメンボすらも呆れている。
 タニシは知らないフリ。

 人は、私をどう思っているのだろうか。
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