鵜海 喨

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落下

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 耳に触れる風は、笑うように轟音と化す。
 ただ、底など無い天より落ちて、自由を求めた私が馬鹿みたいだと評する風に、恰も遊び相手のように振る舞っては意味もなく、只管に風は笑い、はしゃいで子供のような無邪気の内に秘める目など、冷たくそして卑劣な眼をぶら下げ何処を見ているかも、私には分からず、落ちる事実のみを伝える風の嘲笑が、徐々に大きくなり私は、取り返しのつかない事だと心の内側では自覚し、実際はそれを否定し拒む心が存在する事を横目で見ようとする自身が酷く化け物に見えた恐怖も本当にこれが自由なのかと問いただしたが、案の定、綺麗な答え等、いくら心に問いかけようも片方しかない糸電話のように長い不通の一途を辿り、海に落とした釣り糸のように、昨日見た猫の行方のように、蒸発した水のように、ただ静寂を鳴らしてはそっぽを向く事しか意識の無いそれは、どうも子供の頃に味わった夕焼けと共の孤独感に似て懐かしさと無意味さを私の舌に塗り込もうと頭を駆けるが、もうどうでもいい落ちるだけと、私は安堵の息を吐き、肩を竦める、恰も諦めるかのように膝を抱えて、涙を流すばかりである。

 人はそれを、破滅願望と言うのだろう。
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