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3.道案内
しおりを挟む「はーい、今日の授業はここまでー!159ページの5段落目を現代語訳しておくよーに!」
日直のやる気のない号令で全員が立ち上がり礼。その後はガヤガヤと昼の準備をし始める生徒たち。手についたチョークの粉を払ってさあ職員室へ戻るぞ、と荷物を持ってドアへ向かうと数人の女子生徒に宮ちゃーんと呼び止められた。たわいない世間話をしていると、マナーモードにしていたスマホが震えた。画面をみると隼人だった。
彼女からー?と茶化す生徒たちをあしらって校舎裏へ向かう。
校舎裏は日陰になっていてひんやりとしていた。
未だに鳴っているスマホの画面をスワイプして耳に当てると開幕一言。
「おせぇ」
「ごめんて、生徒の前だったからさ。で、また迷った?」
「…うん」
バツの悪そうな声。
隼人は壊滅的な方向音痴だった。
まぁこれはしょうがないことなので、隼人のGPSを確かめる。
「今日はどこ行くんだっけ?」
アイコンは結構な大通りで立ち往生していた。
「小宮商業。昨日の依頼主が勤めている会社」
小宮商業…と探すと目的地はだいぶ遠かった。
グッバイ俺の昼休み…!
そう思いながら俺は案内を始めた。
陽炎で揺れる道路。
渡る人のいない信号機は通りゃんせを淡々と流している。
背負った鞄のせいで背中に風が通らず、汗でシャツがくっついているのがわかる。
ぽた、と顎から伝った汗が落ちるスマホには通話終了の文字。
「ここだ」
日当たりを良くするために張られているはずの一階のガラスは曇りすぎて中が見えない。かろうじて見えるのはかわいそうに枯れてしまった観葉植物だった。
とりあえず、話を聞いてみよう。アポ取ってないけど。
自動ドアのボタンに手をかける。
ぞくり。
嫌な気配に肌が粟立つ。
鞄のポケットから塩水を取り出し、そのままボタンを押した。
時折何かに引っかかりながら自動ドアが開く。
薄暗い中に女が立っていた。見覚えのある後ろ姿だ。
「おい、あんた」
声をかけると女は静かにこちらを振り向いた。やはり宮の隣に住んでいる女だった。
生気のない顔で口を開いた。
「」
一言。
静かなはずなのになんと言っているかわからなかった。
「…あれ。昨日の兄さんじゃん。なんでここに?」
女は一つ瞬きをすると普通に話し出した。
今のは一体…?
「…仕事で」
「そっか、私もなんだ。なのに受付したら急に女の人が倒れて…ってそうだ!この人大丈夫なの!?」
女は倒れていた社員らしき女を揺すって起こそうとする。社員からは微かに先ほどの嫌な気配が漂っていた。
「一旦退いて」
「え、はい」
瞼を上げて瞳を見る。濁っていない。
呼吸も正常。
ただ、まだ中に残っている。
水筒を取り出し紙コップに注いで体を起こした社員の口に飲ませる。
すると激しく咳き込み出した社員はなにかを吐き出した。
「ちょっと!なに飲ませたの!?」
「黙って」
ごぼりと出てきたものをみて女は眉を顰めた。
「な、に?これ。紙…?」
「…ご丁寧に全員にモノを飲み込ませてるのか」
黒い血の塊に塗れて、小さなヒト型が存在を主張している。それは紛れもなく明確な殺意だった。
「あんた、名前は?」
「…黒田。黒田燈」
「そう、黒田サン。あんたにも手伝ってもらうよ」
「なにを?」
訝しげな顔。
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「犯人探し」
だけど、逃してやらない。こいつも容疑者の1人なんだから。
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