異世界のんびり料理屋経営

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
165 / 203
第7章 魔境村の日常生活

第162話 小さな精霊とビーチェとアップルパイ!

しおりを挟む
娘たちが、ボーンの授業を受けている間に、シャーリーとビーチェの所を訪ねて精霊について聞こうと向かっている。
やはり昼から農作業をしているがシャーリーはおらず、ビーチェだけが見えた。

「ビーチェ、農作業中ごめん。聞きたいことがあるんだけど」

声をかけるとすぐに、振り向いて手を振って応えてくれる。

「使徒様~、どうしたのですかぁ?」

やはりシャーリーは近くにおらず、ビーチェだけが畑仕事をしているようだ。

「ちょっとね。その前に、今日はビーチェだけなんだね」

「そうなんです~シャーリーは、バルトさんにこき使われて疲れて寝ていますよ。起こしてきますかぁ?」

確かに、建築中手伝わせたとかバルトが言っていたなと思い出す拓哉。

「いや、ビーチェがいれば大丈夫と思うから、それに疲れている人を起こすわけにはいかないからね。それで、俺の体のどこかに小さい精霊が見えない?」

「使徒様は優しいです~。流石に、バルトさんはやり過ぎだと叱ってくださいよ~。精霊?ずっと肩に火の精霊が座ってますよぉ。私に気付いてからは、肩の上で土下座しています」

上位精霊のビーチェに対して、慌てて土下座をしたようだ。それにしても、あれから片時も離れずずっと肩にとまっているのかと思うと鳥だなと思ってしまう拓哉。

「前にも言ったけど、再度言わないといけないみたいだね。この件が終わったらバルトの所に行くよ。それから、やっぱりとまっているのかぁ...この精霊を俺に見えて意思疎通を取ることはできないかな?」

「バルトさんの件、よろしくお願いします。精霊をですか?見えるようには出来ますけど、意思疎通は難しいですね。この子が、中位精霊になれば意思疎通は可能になりますよぉ」

相当シャーリーのことが心配なのだろうと察して、しっかり対応しないといけないなと感じる拓哉。

「見えるようにしてくれないか?それから、中位精霊にはどうすればなれるの?」

「魔法をかけますので、ジッとしていてください。中位精霊になるには、1つ目は魔物を倒して強くなる。2つ目は高濃度の魔素を浴び続けるかのどちらかですね~。ですので、ここで生活していれば、勝手に育ちますよ」

わざわざ戦う必要がないことを知りよかったと思う。小さいだろう精霊に猛獣を相手にさせるわけにはいかないと思う拓哉だった。

「ありがとうってもう魔法をかけてくれたのかぁ。見えるようになってるよ。やっと会えたな。小さな精霊さん」

髪の毛は真っ赤に逆だっており、炎を身に纏っている。服は着ていないが、性別がわかるような体型をしていないので人形のようである。

「精霊が使徒様に名前を付けてほしいそうですよ~」

「名前かぁ...炎 火 フレイム フレイ レイ厶 フレア...フレアなんてどうだろう?」

名付けセンスのない拓哉からしても、まだまともに付けれたのではと思う名前であった。

「精霊、いやフレアが喜んでいますよ。フレアがいいそうです~」

フレアは、拓哉の周りを飛び回って嬉しさを表している。炎を纏っているのに、熱さを感じないのが不思議だなと思う拓哉。

「ビーチェありがとう。お礼じゃないけど、3人で食事にしないか?」

「はい!食べます。クリーン」

速攻で全員が食べられるように、クリーンをかけるビーチェ。
フレアも、喜びの舞のように、笑顔で飛び回る。

「今日は、アップルパイだぞ。焼き立てだからすぐ食べてくれ」

フレアは、アップルパイに抱き着くようにしてムシャムシャ食べ始める。
ビーチェも、おいしそうに食べている。

「サクサクのトロトロの甘々でおいしいです。止まりませんよ~使徒様~」

小動物かのように、前歯でサクサクと食べる姿が可愛過ぎるビーチェ。

「まだまだあるからいっぱい食べてくれよ。それにしても、本当にうまいな」

「リンゴがトロトロで、普通より甘いのですが、なんでですか~」

「熱しながら砂糖漬けにしているから甘いんだよ。それに、この畑で取れたやつだから元々酸っぱさより甘さが勝って普通のリンゴじゃないみたいだけどね」

噛んだら凄い水分が溢れ出して糖度MAXのような甘さがあり、リンゴの旨味も凄い、魔境産リンゴである。

「そうなんですね~ジュワッと溢れる水分がジュースみたいで、アップルパイ最高のお菓子です」

ビーチェもフレアも、どこにそれだけ入るんだというほど食べて、フレアに至っては、拓哉の肩でお腹をパンパンにして横になっている。今日も平和な魔境の村であった。
しおりを挟む
感想 1,411

あなたにおすすめの小説

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

処理中です...