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迷い込んだ料理人
第22話 新作料理完成!
屋台を休んでいるせいか、人の出入りも少ない。いつもなら広場から聞こえてくるざわめきも今日はない。
それが妙に落ち着かなくて、タクミは早くから火を入れていた。
鍋ではなく、小さめの鉄鍋。
隣には味噌の入った桶が置かれている。
「昨日言ってたのほんとに作るんだ」
ミリアが、後ろから顔を出した。
「試作だ。今は、やってみるしかない」
タクミは、うまい料理を出すしか出来ることはないと答える。
味噌を少量取り、鍋に落とす。ジュッと音がして、すぐに香りが立ち上がった。
「わっ!なんか、いつもの匂いと違う」
ミリアは、芳醇かつ香ばしく、なんともいえない香りに思わず目を閉じて楽しむ。
「今まで隠してた味だ」
「隠してたの?」
「敢えて少しだけな」
タクミは、鍋を傾けながら、肉を焼き付ける。
表面が色づき、香ばしさが増す。そこへ味噌を溶き込んだタレを絡めると、甘さと深みのある香りが一気に広がった。
「これ......すごい」
「まだ途中だ。ここから、更に深みを与える」
タクミは、火加減を細かく調整する。
焼くだけじゃなく、焦がしすぎれば苦くなる。味噌は、扱いを間違えると一気に崩れるからだ。
その手つきは、どこか懐かしい動きだった。湯気の向こうに、なぜか一瞬だが、昔の厨房が重なった。
タクミは、小さく息を吐き、意識を戻す。
「よし!完成だな」
出来上がった料理を皿に盛りつける。
肉にまとわりついた味噌の香ばしい照りが、今までの煮込みとは明らかに違っていた。
「食べてみろ」
ミリアは、恐る恐る一口食べる。
そして、目を見開いた。
「え......なにこれ」
「まずかったか?」
「逆!美味しすぎるよ!こんなの食べたことない」
ミリアは、言葉を探すより先にどんどんと口を動かす。
「香りがガンって来て、それから甘いっていうか、おいしいっていうか.....」
ミリアは、食べたことない食べ物なので、言葉を探すのに迷う。
「まぁ、そういう味だ。今回のテーマは、脳に焼き付けるくらいの印象を与えるだからな」
タクミは、うまくいきそうだと、少しだけ笑った。
今までの料理が染みる味だとしたら、これは引き込む味である。
これぞザ・屋台だと言わんばかりだ。
「明日からこれを出すの?」
「まだだ。もう少し調整する」
タクミは、首を振る。
「絶対売れるよ!」
「売れるかどうかじゃない!あっと驚かせるくらいじゃないとな」
タクミは、鍋を見つめて、広場の方向を見て、ただ戻るだけじゃ意味がないと考える。
「なんかやる気だね」
その言葉に、ミリアはいつも以上に、本気になるタクミを見て、にやりと笑った。
「まぁな。色々言われたが、正々堂々料理であっと言わせてみたいだろ」
タクミは、塩気、甘み、香りを再度確かめると、まだ少し尖っている印象だった。
「ねぇ、これ名前は?」
「名前か?」
「新しい料理なんでしょ」
タクミは、顎に手をやり少し考えた。
焼き付けた味噌の香り、熱と匂いで食欲を引き寄せる料理に相応しいのはなんだろうかと。
「味噌焼き煮込みかな」
「そのまんまじゃん」
「分かりやすいだろ」
ミリアは、タクミのネーミングセンスに笑いながら、もう一口食べる。
「これ、絶対みんなびっくりするよ」
「だといいな。じゃなきゃ、このまま屋台は終わるだろうからな。よし、最終調整だ」
タクミは、屋台を止めた朝。火のない広場。
あの静けさは、もう味わいたくないと考えた。お客から、あの屋台が戻ってきたではなく、前よりすごくなって戻ってきたと言わせたいと思った。
「明日、出してみるか」
「ほんと!?」
「試しに一回だけな。怒られたらその時考えよう」
女性から止められたら、その時考えればいいと明日驚くお客のことだけを考えるのだった。
それが妙に落ち着かなくて、タクミは早くから火を入れていた。
鍋ではなく、小さめの鉄鍋。
隣には味噌の入った桶が置かれている。
「昨日言ってたのほんとに作るんだ」
ミリアが、後ろから顔を出した。
「試作だ。今は、やってみるしかない」
タクミは、うまい料理を出すしか出来ることはないと答える。
味噌を少量取り、鍋に落とす。ジュッと音がして、すぐに香りが立ち上がった。
「わっ!なんか、いつもの匂いと違う」
ミリアは、芳醇かつ香ばしく、なんともいえない香りに思わず目を閉じて楽しむ。
「今まで隠してた味だ」
「隠してたの?」
「敢えて少しだけな」
タクミは、鍋を傾けながら、肉を焼き付ける。
表面が色づき、香ばしさが増す。そこへ味噌を溶き込んだタレを絡めると、甘さと深みのある香りが一気に広がった。
「これ......すごい」
「まだ途中だ。ここから、更に深みを与える」
タクミは、火加減を細かく調整する。
焼くだけじゃなく、焦がしすぎれば苦くなる。味噌は、扱いを間違えると一気に崩れるからだ。
その手つきは、どこか懐かしい動きだった。湯気の向こうに、なぜか一瞬だが、昔の厨房が重なった。
タクミは、小さく息を吐き、意識を戻す。
「よし!完成だな」
出来上がった料理を皿に盛りつける。
肉にまとわりついた味噌の香ばしい照りが、今までの煮込みとは明らかに違っていた。
「食べてみろ」
ミリアは、恐る恐る一口食べる。
そして、目を見開いた。
「え......なにこれ」
「まずかったか?」
「逆!美味しすぎるよ!こんなの食べたことない」
ミリアは、言葉を探すより先にどんどんと口を動かす。
「香りがガンって来て、それから甘いっていうか、おいしいっていうか.....」
ミリアは、食べたことない食べ物なので、言葉を探すのに迷う。
「まぁ、そういう味だ。今回のテーマは、脳に焼き付けるくらいの印象を与えるだからな」
タクミは、うまくいきそうだと、少しだけ笑った。
今までの料理が染みる味だとしたら、これは引き込む味である。
これぞザ・屋台だと言わんばかりだ。
「明日からこれを出すの?」
「まだだ。もう少し調整する」
タクミは、首を振る。
「絶対売れるよ!」
「売れるかどうかじゃない!あっと驚かせるくらいじゃないとな」
タクミは、鍋を見つめて、広場の方向を見て、ただ戻るだけじゃ意味がないと考える。
「なんかやる気だね」
その言葉に、ミリアはいつも以上に、本気になるタクミを見て、にやりと笑った。
「まぁな。色々言われたが、正々堂々料理であっと言わせてみたいだろ」
タクミは、塩気、甘み、香りを再度確かめると、まだ少し尖っている印象だった。
「ねぇ、これ名前は?」
「名前か?」
「新しい料理なんでしょ」
タクミは、顎に手をやり少し考えた。
焼き付けた味噌の香り、熱と匂いで食欲を引き寄せる料理に相応しいのはなんだろうかと。
「味噌焼き煮込みかな」
「そのまんまじゃん」
「分かりやすいだろ」
ミリアは、タクミのネーミングセンスに笑いながら、もう一口食べる。
「これ、絶対みんなびっくりするよ」
「だといいな。じゃなきゃ、このまま屋台は終わるだろうからな。よし、最終調整だ」
タクミは、屋台を止めた朝。火のない広場。
あの静けさは、もう味わいたくないと考えた。お客から、あの屋台が戻ってきたではなく、前よりすごくなって戻ってきたと言わせたいと思った。
「明日、出してみるか」
「ほんと!?」
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