甘美なる隷属

氷華冥

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支配の新たな策略

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凜香が入社してから3ヶ月が経過し、REIKAエンタープライズの業務にも慣れ始めていた。麗子は凜香や秘書課の他の社員に対して、仕事の基準は厳格だが、常に優雅で優しい態度で接していた。彼女の指導は的確で、凜香をはじめとする社員たちは麗子のカリスマと美意識に魅了され、彼女に心酔していた。一方で、陽翔に対しては、麗子の態度はまるで別人だった。些細なミス――書類の端の折れ目や会議での一瞬の遅れ――でも過剰に厳しく叱責し、陽翔の劣等感と「偽りの自分」への違和感をさらに深めた。特に、麗子、陽翔、凜香の3人だけでいるとき、麗子の陽翔への冷酷な態度は顕著だった。

凜香は麗子の陽翔への扱いに違和感を抱いていた。

(陽翔、大学時代はもっと堂々としてたのに…麗子社長、なんで陽翔にだけあんなに厳しいの?)

彼女の鋭い瞳は、陽翔の怯えた様子と麗子の二面性に疑問を投げかけていたが、麗子の圧倒的な存在感の前では、その疑問を口に出すことはなかった。

ある日、凜香が仕事に慣れてきた頃、麗子は彼女に内線で連絡した。「凜香、明日の17時ちょうどに、社長室内の『特別会議室』に来て。あなたと1on1のミーティングをしたいわ。」麗子の声は穏やかで、指導者としての温かさに満ちていたが、その裏には嗜虐的な企みが隠されていた。凜香は「はい、麗子社長、了解しました」と答え、内心で麗子との直接の対話を楽しみにしていた。

麗子は内線を切り、社長室の革張りの椅子に座りながら、ゾッとする笑みを浮かべた。

(凜香、そろそろ私の世界に足を踏み入れる時ね。陽翔の惨めな姿と、あなたの支配者の素質を、どう引き合わせようかしら。)

麗子の計画は、陽翔にはまだ知らされていなかった。陽翔の心は、麗子の調教によって「麗子の奴隷」としてのアイデンティティに完全に塗り潰されており、凜香の存在が彼の劣等感をさらに煽っていたが、麗子の新たな策略には気づいていなかった。

陽翔を呼び出した麗子は、冷たく命じた。「陽翔、明日の『特別会議室』でのミーティング、ちゃんと準備しなさい。私の期待を裏切ったら、いつも以上の『反省会』よ。」陽翔は首に隠された黒革の首輪と「Heaven and Hell」の締め付けを感じ、震える声で答えた。「はい…麗子様…。」麗子は陽翔の怯えた様子を見て、内心でほくそ笑んだ。

(陽翔、凜香の前で、お前の本当の姿をどう見せるか、楽しみだわ。)

麗子の目は、凜香への興味と陽翔への支配欲で輝いていた。

(凜香の輝きと陽翔の惨めさ…この対比を活かせば、二人とも私の支配の網に絡め取れる。)

陽翔の奴隷としての心は、麗子の策略によってさらに深く縛られ、凜香の登場が新たな試練と支配の幕開けを予感させていた。
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