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【第一章】青い地球
第八話……『ヘガクサイ』
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事情がよく呑み込めないが、とりあえず急いでハンニバルを減速停止させた。
しばらくすると、停船要請をしてきた船が見えてくる。
青と緑のカラフルなゼブラ模様のド派手な駆逐艦だった。
この世界の駆逐艦は、戦術短距離跳躍を活かした機動戦術を得意とする船だ。
決して弱い艦ではなく、むしろ上級者好みと聞く。
その駆逐艦は我がハンニバルの左前部にぶつかってきた。
ガラスをひっかくような衝撃と、鈍く赤い火花が飛ぶ。
油断せず空間シールドを強化しなかったのが悔やまれる。
ビデオチャットの受信を確認し応答すると、画面に現れたのは茶色の髪をした小柄な男だった。後ろには、げっ歯類の風貌の長身の赤髪の女性も見えた。
「おう、ぶつけてすまんな、新入り! ちょっと入れてくれや!」
この男性を照合すると、クラン・シェリオのNO2であるツイト子爵だった。後ろの女性はバニラ大尉。これもまたクラン・シェリオのメンバーだ。
……正直、めっちゃ面倒臭そう。
気は進まなかったが、カリバーン帝国の士官は帝国貴族に真摯でなければならないとの規則がある。しかたなく外部接続用のハッチにお出迎えすることにした。面倒ごとは起こしたくない。早めにお帰り頂こう。
正直、艦内戦闘に詳しいタヌキ軍曹がいなくて心細かった。
――シュー
勢いよく蒸気圧が逃げ、ハッチが開く。
白い煙の中から現れたツイト子爵は、中折れ帽にサングラスといった服装で、大きな葉巻もくわえている。どこかのマフィアのような雰囲気である。
対して、後ろのバニラ大尉は普通に軍の制服だ。二人の服装のギャップが酷い。
ツイト子爵はノシノシと近づいてきた。
「ほう、お前が熊被りの新人か!?」
「は……、はぁ」
「はぁじゃねぇよ! ボケ! 先輩よろしくおねがいします! だろ!?」
「あ、よろしくお願いします」
艦に備え付けの簡素な応接セットに彼らを案内する。
お茶を入れ、備え付けのお菓子もお出しした。
その後、ツイト子爵にこのゲームにおける有難いお話を30分ほど頂く。内容は『新人は挨拶が基本』と『ここは学校じゃない、学生気分でやるな』の二つだけだったが。
一応中身は社会人なのだが……。
惑星を一個まるまる貰ったのだ、おとなしく聞いておこう。
ぷぅ~
シマッタ! 昨日食べたお芋のせいか、ぷ~がでた。
「ぎゃはは! くせぇ!」
「すいません」
「いいよ、いいよ、新人だし。今日からお前の名前は『ヘガクサイ』にしてやる」
「は?」
「は、じゃねえよ新人。先輩に対しての返事は『YES』に決まってんだろ?」
「はい、先輩」
「なんなら、師匠と呼ばれてやってもいいぞ! あはは!」
気が滅入る時間が過ぎ、二人と連絡先の交換を無理やりさせられた。
帰り際にツイト子爵は『今度は靴の裏でも舐めさせてやる!』と仰って帰っていった。
何と言ってくれてもいいから、帰ってくれて助かった。
ふう……、疲れた。
ゲームの中も意外と楽じゃないな。
ツイト子爵は面倒さそう。
しかし、よく考えたらバニラ大尉は全然口を開かない人だったな。
無口なのかな?
☆★☆★☆
ド派手な駆逐艦と別れを告げ、長距離跳躍を果たす。
その後、無事にエールパ星系外縁に到達した。
目指すは惑星リーリヤ。
私だけの星。
緑が豊かな、自然が美しく、水も豊かで資源が豊富な惑星、だったよね?
――急ぐ理由もなく、ゆっくりと航行していた時。
PIPIPI……、メールの着信だ。
誰からだろう?
バニラ大尉……!?
――中身を読むと、
『惑星リーリヤには先住民がいます』
と書かれていた。
oh my God!
しばらくすると、停船要請をしてきた船が見えてくる。
青と緑のカラフルなゼブラ模様のド派手な駆逐艦だった。
この世界の駆逐艦は、戦術短距離跳躍を活かした機動戦術を得意とする船だ。
決して弱い艦ではなく、むしろ上級者好みと聞く。
その駆逐艦は我がハンニバルの左前部にぶつかってきた。
ガラスをひっかくような衝撃と、鈍く赤い火花が飛ぶ。
油断せず空間シールドを強化しなかったのが悔やまれる。
ビデオチャットの受信を確認し応答すると、画面に現れたのは茶色の髪をした小柄な男だった。後ろには、げっ歯類の風貌の長身の赤髪の女性も見えた。
「おう、ぶつけてすまんな、新入り! ちょっと入れてくれや!」
この男性を照合すると、クラン・シェリオのNO2であるツイト子爵だった。後ろの女性はバニラ大尉。これもまたクラン・シェリオのメンバーだ。
……正直、めっちゃ面倒臭そう。
気は進まなかったが、カリバーン帝国の士官は帝国貴族に真摯でなければならないとの規則がある。しかたなく外部接続用のハッチにお出迎えすることにした。面倒ごとは起こしたくない。早めにお帰り頂こう。
正直、艦内戦闘に詳しいタヌキ軍曹がいなくて心細かった。
――シュー
勢いよく蒸気圧が逃げ、ハッチが開く。
白い煙の中から現れたツイト子爵は、中折れ帽にサングラスといった服装で、大きな葉巻もくわえている。どこかのマフィアのような雰囲気である。
対して、後ろのバニラ大尉は普通に軍の制服だ。二人の服装のギャップが酷い。
ツイト子爵はノシノシと近づいてきた。
「ほう、お前が熊被りの新人か!?」
「は……、はぁ」
「はぁじゃねぇよ! ボケ! 先輩よろしくおねがいします! だろ!?」
「あ、よろしくお願いします」
艦に備え付けの簡素な応接セットに彼らを案内する。
お茶を入れ、備え付けのお菓子もお出しした。
その後、ツイト子爵にこのゲームにおける有難いお話を30分ほど頂く。内容は『新人は挨拶が基本』と『ここは学校じゃない、学生気分でやるな』の二つだけだったが。
一応中身は社会人なのだが……。
惑星を一個まるまる貰ったのだ、おとなしく聞いておこう。
ぷぅ~
シマッタ! 昨日食べたお芋のせいか、ぷ~がでた。
「ぎゃはは! くせぇ!」
「すいません」
「いいよ、いいよ、新人だし。今日からお前の名前は『ヘガクサイ』にしてやる」
「は?」
「は、じゃねえよ新人。先輩に対しての返事は『YES』に決まってんだろ?」
「はい、先輩」
「なんなら、師匠と呼ばれてやってもいいぞ! あはは!」
気が滅入る時間が過ぎ、二人と連絡先の交換を無理やりさせられた。
帰り際にツイト子爵は『今度は靴の裏でも舐めさせてやる!』と仰って帰っていった。
何と言ってくれてもいいから、帰ってくれて助かった。
ふう……、疲れた。
ゲームの中も意外と楽じゃないな。
ツイト子爵は面倒さそう。
しかし、よく考えたらバニラ大尉は全然口を開かない人だったな。
無口なのかな?
☆★☆★☆
ド派手な駆逐艦と別れを告げ、長距離跳躍を果たす。
その後、無事にエールパ星系外縁に到達した。
目指すは惑星リーリヤ。
私だけの星。
緑が豊かな、自然が美しく、水も豊かで資源が豊富な惑星、だったよね?
――急ぐ理由もなく、ゆっくりと航行していた時。
PIPIPI……、メールの着信だ。
誰からだろう?
バニラ大尉……!?
――中身を読むと、
『惑星リーリヤには先住民がいます』
と書かれていた。
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