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【第一章】青い地球
第十話……蛮王様とのお酒
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――お酒
人類最古の友。
合法麻薬の一つとも言われ、数々の禁酒法を打倒し、未だに身近な嗜好品。
もちろん嫌いな人も大勢いるが、好きな人も大勢いるのも事実だろう。
たぶん健康に悪いのだが……。
……調べたところ、この惑星の蛮王様はお酒が大好きとのことだった。
にこやかに、買ってきた高級ウイスキーを渡すと、
「話が分かるな。では、晩にまた会おう!」
と言われ、追い返された。
その後、官庁街でお昼を食べる。
サラダ付きの定食にした。
陸上では新鮮な野菜を多く食べるのが、宇宙船乗りの習わしらしい。
約束の晩御飯にまで、散策して過ごした。
ここは石造りの家が多い、きっと地震が少ないのだろう。
その後、指定されたホテルの晩さん会に出向いた。
もちろん蛮王様主催だ。
ご存知のように、現代でも有力者はパーティー三昧だ。
知己増やし、有力者とも顔合わせする。
ビデオチャットを販売するIT企業の社長でさえ飛行機で飛び廻り、直接会って会食をするのだ。
主賓の挨拶が終わり、30分を過ぎたくらいに末席に座っていた私は別室に呼ばれた。
そこには蛮王様がいた。
「まぁ飲め!」
「ありがとうございます」
心の底からお酒が美味しいかどうか聞かれたら、彼も私も違うのだろう。
かくいう私も、以前はあまりお酒を飲まなかった。
しかし、異文化である相手と素早く打ち解けるには、お酒の魔力を借りるというのが今までの人類の歴史だったのだろう。
杯を重ね、蛮王様も私も顔が赤くなっていく。
「でだ、惑星の権利書の件だが……」
「はい……」
唐突に本題が来る。
私は用意した権利書を見せ、条件を提示した。
「鉱山開発の権利が欲しいだと?」
「はい、是非にも」
蛮王様は髭をさすり、こちらの要望書を読んでくれた。
シェリオ伯爵をはじめ、いままでの権利者は間接統治を求めて失敗していた。
支配権を正当に認めてやるから、沢山の分け前をよこせといった手口だ。
相手からすれば、いきなり権利書を片手に『金よこせ!』といわれても納得しないのが普通だが、誰しも『権利』という強大な力を手にすると、相手の気持ちを考えにくくなるものだ。
しかもこの惑星には戦略資源ともいえるミスリル鉱石を産出する。この鉱石で作った超硬質鋼材は特殊なバクテリアを飼うことができ、痛んでもその力で修復する能力があるのだ。ハンニバルの外殻もその鋼材で作られていた。
もちろんその権益を熱望する者は多かったが、その権益の大きさゆえにこの蛮王と決裂し、生臭いいさかいが絶えなかったようだ。
私はそのような歴史背景を考慮し、その中核的な利権に対し、かなり控えめな条件を提示しておいた。
「これだけでいいのか?」
「ええ、結構です」
結局、鉱山開発などに参入する権利を得ることに引き換え、この惑星の権利書を引き渡した。
もちろんシェリオ伯爵に払う10%の義務もお願いした。
名実ともに蛮王様がこの惑星の支配者になった喜ばしい日だった。
当然のようにその後、嫌というほど飲まされ、気持ちが悪くなりながらホテルに戻った。
――その晩。
コンコン。
深夜、ホテルの扉をノックする音がした。
気持ちが悪いので、明日にしてほしい。
悪いが眠ったふりをした。
――が、
「カズヤ様、いらっしゃいますか?」
『……ぇ?』
慌てて鏡を見る。
一つ目巨人の姿だ。
ゲームの中に違いない。
なぜ私のリアルの世界の名前を知っている!?
ベッドから飛び起き、急いでドアを開ける。
そこには背の小さな老婆がいた。
「へっへっへ、こんばんは」
暗闇で見透かされたようにニヤリと笑われた……。
人類最古の友。
合法麻薬の一つとも言われ、数々の禁酒法を打倒し、未だに身近な嗜好品。
もちろん嫌いな人も大勢いるが、好きな人も大勢いるのも事実だろう。
たぶん健康に悪いのだが……。
……調べたところ、この惑星の蛮王様はお酒が大好きとのことだった。
にこやかに、買ってきた高級ウイスキーを渡すと、
「話が分かるな。では、晩にまた会おう!」
と言われ、追い返された。
その後、官庁街でお昼を食べる。
サラダ付きの定食にした。
陸上では新鮮な野菜を多く食べるのが、宇宙船乗りの習わしらしい。
約束の晩御飯にまで、散策して過ごした。
ここは石造りの家が多い、きっと地震が少ないのだろう。
その後、指定されたホテルの晩さん会に出向いた。
もちろん蛮王様主催だ。
ご存知のように、現代でも有力者はパーティー三昧だ。
知己増やし、有力者とも顔合わせする。
ビデオチャットを販売するIT企業の社長でさえ飛行機で飛び廻り、直接会って会食をするのだ。
主賓の挨拶が終わり、30分を過ぎたくらいに末席に座っていた私は別室に呼ばれた。
そこには蛮王様がいた。
「まぁ飲め!」
「ありがとうございます」
心の底からお酒が美味しいかどうか聞かれたら、彼も私も違うのだろう。
かくいう私も、以前はあまりお酒を飲まなかった。
しかし、異文化である相手と素早く打ち解けるには、お酒の魔力を借りるというのが今までの人類の歴史だったのだろう。
杯を重ね、蛮王様も私も顔が赤くなっていく。
「でだ、惑星の権利書の件だが……」
「はい……」
唐突に本題が来る。
私は用意した権利書を見せ、条件を提示した。
「鉱山開発の権利が欲しいだと?」
「はい、是非にも」
蛮王様は髭をさすり、こちらの要望書を読んでくれた。
シェリオ伯爵をはじめ、いままでの権利者は間接統治を求めて失敗していた。
支配権を正当に認めてやるから、沢山の分け前をよこせといった手口だ。
相手からすれば、いきなり権利書を片手に『金よこせ!』といわれても納得しないのが普通だが、誰しも『権利』という強大な力を手にすると、相手の気持ちを考えにくくなるものだ。
しかもこの惑星には戦略資源ともいえるミスリル鉱石を産出する。この鉱石で作った超硬質鋼材は特殊なバクテリアを飼うことができ、痛んでもその力で修復する能力があるのだ。ハンニバルの外殻もその鋼材で作られていた。
もちろんその権益を熱望する者は多かったが、その権益の大きさゆえにこの蛮王と決裂し、生臭いいさかいが絶えなかったようだ。
私はそのような歴史背景を考慮し、その中核的な利権に対し、かなり控えめな条件を提示しておいた。
「これだけでいいのか?」
「ええ、結構です」
結局、鉱山開発などに参入する権利を得ることに引き換え、この惑星の権利書を引き渡した。
もちろんシェリオ伯爵に払う10%の義務もお願いした。
名実ともに蛮王様がこの惑星の支配者になった喜ばしい日だった。
当然のようにその後、嫌というほど飲まされ、気持ちが悪くなりながらホテルに戻った。
――その晩。
コンコン。
深夜、ホテルの扉をノックする音がした。
気持ちが悪いので、明日にしてほしい。
悪いが眠ったふりをした。
――が、
「カズヤ様、いらっしゃいますか?」
『……ぇ?』
慌てて鏡を見る。
一つ目巨人の姿だ。
ゲームの中に違いない。
なぜ私のリアルの世界の名前を知っている!?
ベッドから飛び起き、急いでドアを開ける。
そこには背の小さな老婆がいた。
「へっへっへ、こんばんは」
暗闇で見透かされたようにニヤリと笑われた……。
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