30 / 148
【第一章】青い地球
第三十話……女王アメーリア
しおりを挟む
「ヨウコソ、レオナルド神聖王国ヘ!」
「ワタシハ女王アメ-リアデアル」
タコ星人の女王様から歓迎の言葉を受ける。
雰囲気から察するに、どうやら彼女は女王様というより、神に仕える巫女という存在に近いらしい。
「……アナタニ頼ミガアル」
「なんでしょう?」
「我ガ国ハイズレ未知ナル強国ニ併呑サレル恐レガアル小国ジャ」
「ヨッテ富国ノ為、周辺諸国ヲ見テ回リタイノジャ」
「はぁ……」
「アナタノ船ニ乗セヨトイウコトジャ!」
「ぇ!?」
「嫌カノ? 褒美ハトラスゾ!」
この女王さまを載せると、この地に伝わる古代アヴァロンの遺産を頂けるとのことだった。
それが何かは判らなかったが、少しでもハンニバルを強化したい私には魅力的な条件に映った。
「はぁ……、むさ苦しいところでよろしければ、あと安全は保障できませんよ?」
「ウム、ヨキニハカラエ」
安全が保障できない点に、タコ星人たちは怪訝な顔をしたが、女王様は構わないといった感じだった。
結局、女王様を載せ、帝国領に帰還することとなった。
偵察任務により、新しい勢力を発見できたことは、帝国にとって重要な情報だったのだ。
帝国総司令部に簡易メッセージを送り、ハンニバルは出港準備を整える。
巨大なガス惑星を飛び立ち、ハンニバルは帝国に向けて、最初の長距離跳躍を開始した。
再び危険宙域に飛び込んだのだった。
☆★☆★☆
カリバーン歴850年6月。
ハンニバルは通信環境が悪かった危険宙域から抜け出すと、皇帝の敗死やら宰相の裏切りについての情報が入ってきた。
「……」
「……」
「ぽこぉ~」
戦略マップを見て唖然とした……。
帝国主星系アルバトロスでさえ、いまやホーウッド公爵自治領の中に組み込まれていたのだ。
カリバーン帝国政府は主星系アルバトロスを捨て、共和国から離れた地方星系24個の支持のもと、再起を図ることになった。
ちなみにこの中には、蛮王さまが治めるエールパ星系も入っていた。
アウグスト2世には、わずか4歳の娘しかおらず、その娘を皆で皇帝に即位させた。
しかし、それまでの帝国の支配体制とは違い、実際には24個の地方勢力の合意のもとに成り立つ連邦制国家の様相も示していた。
なにしろ、皇帝の下に24名の地方の有力者から成る帝国議会が制定されたのである。
純粋な帝政とは程遠くなった。
私が所属する帝国の軍隊も、近代的な組織から、むしろ有力者の私兵の集まりといった体を成してきていた。
☆★☆★☆
超高速通信ビデオチャットの画面に、帝国軍総司令官クレーメンス公爵元帥の姿が映る。
「ヴェロヴェマ大佐、新しい勢力を発見したと聞いたが……」
「はい、左様です」
「こちらがそのレオナルド王国の女王アメーリア様です」
私は超高速ビデオ通信室にアメーリア女王を招き入れ、総司令部へ紹介した。
外交機密があるとやらで、私は説明もそこそこに防音扉を閉め、そこから退出した。
「これは設計図なのかなぁ?」
「解析してみませんとわかりませんが、そうかもしれませんわね」
「楽しみポコ♪」
アメーリアさんから貰った古代アヴァロンの遺物は、コンピューターで解析したところ、やはり古代超文明アヴァロンの超兵器の設計図のようだった。
しかし、作るのも古代遺跡からの部品が必要のようだった。
我々の文明で作れる部品は8割に満たない。
……宝探しみたいだな、と思った。
再び、超高速ビデオ通信室に呼ばれる。
「大佐、アメーリア女王陛下を総司令部まで送迎してくれ。失礼のないようにな!」
「はっ、かしこまりました!」
ハンニバルの巨体は、今度は女王様の護衛任務を抱き発進する。
目指すはツェルベルス星系の新帝都バルバロッサだった。
ハンニバルはツェルベルス星系に向かう途中、惑星リーリヤに降り立ち、蛮王様にアメーリア女王を紹介する。
その間に、エネルギーと物資の補給を急ぎ、簡易的なメンテナンスも行った。
「ブヒブヒ!?」
「ギギギ……」
蛮王様と女王陛下の会話は、翻訳ツールを介さないとこのような言語であり、少し笑ってしまった。
多分コッチ側の言語も向こうからすると変なのだろうなと思う。
☆★☆★☆
蛮王様と別れ、ツェルベルス星系に向かうハンニバル。
二度目の長距離跳躍を無事行ったあと、私は個室で煙草を嗜んでいた。
「ゲームの中だと、煙草が美味しいのよね~♪」
と、独り言を言っていると……。
「艦長! はいりますクマ!」
「どうぞ~」
……って、いまなんて言った? クマ??
扉から現れたのは、小さなクマだった。
「よろしくクマ~♪」
「ぇ? 誰!?」
……あとで知ったのだが、私がこの世界の言語に慣れたので、必要がなくなった通訳機の熊帽子を使って、クマ型アンドロイドを副官殿が作ったらしい。
最近、どおりでクマの毛皮ジャケットも無いと思った。
……あとで、あのクマとモフモフしてやろっと~♪
長期航行中の暇つぶしが少し手に入った私だった。
「ワタシハ女王アメ-リアデアル」
タコ星人の女王様から歓迎の言葉を受ける。
雰囲気から察するに、どうやら彼女は女王様というより、神に仕える巫女という存在に近いらしい。
「……アナタニ頼ミガアル」
「なんでしょう?」
「我ガ国ハイズレ未知ナル強国ニ併呑サレル恐レガアル小国ジャ」
「ヨッテ富国ノ為、周辺諸国ヲ見テ回リタイノジャ」
「はぁ……」
「アナタノ船ニ乗セヨトイウコトジャ!」
「ぇ!?」
「嫌カノ? 褒美ハトラスゾ!」
この女王さまを載せると、この地に伝わる古代アヴァロンの遺産を頂けるとのことだった。
それが何かは判らなかったが、少しでもハンニバルを強化したい私には魅力的な条件に映った。
「はぁ……、むさ苦しいところでよろしければ、あと安全は保障できませんよ?」
「ウム、ヨキニハカラエ」
安全が保障できない点に、タコ星人たちは怪訝な顔をしたが、女王様は構わないといった感じだった。
結局、女王様を載せ、帝国領に帰還することとなった。
偵察任務により、新しい勢力を発見できたことは、帝国にとって重要な情報だったのだ。
帝国総司令部に簡易メッセージを送り、ハンニバルは出港準備を整える。
巨大なガス惑星を飛び立ち、ハンニバルは帝国に向けて、最初の長距離跳躍を開始した。
再び危険宙域に飛び込んだのだった。
☆★☆★☆
カリバーン歴850年6月。
ハンニバルは通信環境が悪かった危険宙域から抜け出すと、皇帝の敗死やら宰相の裏切りについての情報が入ってきた。
「……」
「……」
「ぽこぉ~」
戦略マップを見て唖然とした……。
帝国主星系アルバトロスでさえ、いまやホーウッド公爵自治領の中に組み込まれていたのだ。
カリバーン帝国政府は主星系アルバトロスを捨て、共和国から離れた地方星系24個の支持のもと、再起を図ることになった。
ちなみにこの中には、蛮王さまが治めるエールパ星系も入っていた。
アウグスト2世には、わずか4歳の娘しかおらず、その娘を皆で皇帝に即位させた。
しかし、それまでの帝国の支配体制とは違い、実際には24個の地方勢力の合意のもとに成り立つ連邦制国家の様相も示していた。
なにしろ、皇帝の下に24名の地方の有力者から成る帝国議会が制定されたのである。
純粋な帝政とは程遠くなった。
私が所属する帝国の軍隊も、近代的な組織から、むしろ有力者の私兵の集まりといった体を成してきていた。
☆★☆★☆
超高速通信ビデオチャットの画面に、帝国軍総司令官クレーメンス公爵元帥の姿が映る。
「ヴェロヴェマ大佐、新しい勢力を発見したと聞いたが……」
「はい、左様です」
「こちらがそのレオナルド王国の女王アメーリア様です」
私は超高速ビデオ通信室にアメーリア女王を招き入れ、総司令部へ紹介した。
外交機密があるとやらで、私は説明もそこそこに防音扉を閉め、そこから退出した。
「これは設計図なのかなぁ?」
「解析してみませんとわかりませんが、そうかもしれませんわね」
「楽しみポコ♪」
アメーリアさんから貰った古代アヴァロンの遺物は、コンピューターで解析したところ、やはり古代超文明アヴァロンの超兵器の設計図のようだった。
しかし、作るのも古代遺跡からの部品が必要のようだった。
我々の文明で作れる部品は8割に満たない。
……宝探しみたいだな、と思った。
再び、超高速ビデオ通信室に呼ばれる。
「大佐、アメーリア女王陛下を総司令部まで送迎してくれ。失礼のないようにな!」
「はっ、かしこまりました!」
ハンニバルの巨体は、今度は女王様の護衛任務を抱き発進する。
目指すはツェルベルス星系の新帝都バルバロッサだった。
ハンニバルはツェルベルス星系に向かう途中、惑星リーリヤに降り立ち、蛮王様にアメーリア女王を紹介する。
その間に、エネルギーと物資の補給を急ぎ、簡易的なメンテナンスも行った。
「ブヒブヒ!?」
「ギギギ……」
蛮王様と女王陛下の会話は、翻訳ツールを介さないとこのような言語であり、少し笑ってしまった。
多分コッチ側の言語も向こうからすると変なのだろうなと思う。
☆★☆★☆
蛮王様と別れ、ツェルベルス星系に向かうハンニバル。
二度目の長距離跳躍を無事行ったあと、私は個室で煙草を嗜んでいた。
「ゲームの中だと、煙草が美味しいのよね~♪」
と、独り言を言っていると……。
「艦長! はいりますクマ!」
「どうぞ~」
……って、いまなんて言った? クマ??
扉から現れたのは、小さなクマだった。
「よろしくクマ~♪」
「ぇ? 誰!?」
……あとで知ったのだが、私がこの世界の言語に慣れたので、必要がなくなった通訳機の熊帽子を使って、クマ型アンドロイドを副官殿が作ったらしい。
最近、どおりでクマの毛皮ジャケットも無いと思った。
……あとで、あのクマとモフモフしてやろっと~♪
長期航行中の暇つぶしが少し手に入った私だった。
9
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる