宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

黒鯛の刺身♪

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【第二章】赤い地球

第百九話……新たなる展開 ~邪眼の宿命~

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(……怪しげな一室)



「パウリーネ陛下はいずこ?」

「ハンニバルという船の中だそうです。この船ごと消し去りましょう!」



「……いや、あの船は堅い。安易には沈まぬ」

「し、しかし、この機会を逃がしては……」



「しかも、艦長のヴェロヴァマは邪眼持ちとの噂だ。惜しいが、時機を待とう」



「わかりました……」







☆★☆★☆



「もうすぐツエルベルク星系ですわ!」

「誰も襲ってこなかったポコね」



「……まぁ、計画があるかも? ってくらいだったんじゃないのかな?」





 ハンニバルは最後の長距離跳躍を終え、ツエルベルク星系の帝都バルバロッサへの皇帝護衛に成功した。

 この功績に際し、ヴェロヴェマ中将に感謝状と勲章が贈られた。



 同時に食料輸送船団の護衛任務も成功。

 帝国の民衆を飢えから救うことになる……。



 こののち、ハンニバルはラム星系の準惑星ツーリアの宇宙港へと帰投した。







☆★☆★☆



「お客さんが来てるポコ」

「はいはい」



 準惑星ツーリアの私の執務室。

 お客様は惑星ベルの漁業者だった。





「領主様! 新たな施設を作りたいのですが、お金がありません。貸してもらえないでしょうか?」

「……えと、いま手持ちが……」



 ……私個人はいつも貧乏である。





「旦那様、少しくらいなら公社の予備費からお出しできますよ」



「あ! じゃあ、それでお願いします」



 執事のヨハンさんが助け舟を出してくれた。

 開発公社の予備費からお金を貸すことにした。



 我がラム星系は辺境地なので、お金を貸してくれる星間ギルドの支店がない。

 ……よって、概ねの事業者は多かれ少なかれ資金不足だった。





「ふむう……、星間ギルドに支店出してもらうか?」



 ヨハンさんに聞いてみる。すると、





「我が公社で、銀行をされてみてはいかかです?」



 ……な、なるほど。

 目からうろこだった。

 私個人にお金はないが、公社にはお金がある程度あったのだ。

 その時々で貸すのではなく、事業査定も業務とするのだ。





「銀行カッコいいですわ!」

「銀行たのしそうポコ!」



 みんなも賛成のようだ。

 こうして、我がハンニバル開発公社は、小さいながらも銀行業を開始。

 名誉ある初代頭取には私の名前が刻まれた。







☆★☆★☆



 銀行設立の日の晩。

 設立御祝の宴もあり、私はお酒にとても酔っていた。



 ……加えて、葉巻煙草も旨い。





――コンコン。

 自室の扉をノックされる。





「開いてますよ!」



 ハンニバルの艦長室の扉はいつも鍵がかかっていなかった。





「へっへっへっ……こんばんは」



 来訪者は、いつぞやの占い師のお婆さんだった。

 自称ルドミラの女神様だっけ!?





「また占ってやろうかと思ってな……」



 また怪しげなカードを出してくる。

 同時に急激な眠気が来て、その後の私の記憶はなかった。







☆★☆★☆



 現実世界のアパートにて起きる。

 空は良い天気だ。



 うぇ……、飲みすぎで気持ちが悪い。

 ゲームの中の二日酔いが、現実世界の体にも波及したようだ。





――ピンポーン

 玄関のチャイムが鳴る。



 宅配便だった。

 サインを書き、荷物を受け取る。





 荷物の差出人は再びの『VR・AVS』社。今やっているVRゲームの運営会社だ。



 メッセージカードには『当選おめでとうございます』と書かれている。



 箱を開けた中身は目薬だった。

 眼も疲れていたので、有難く眼薬をさす。





『!?』



 目薬をさした後、以前も貰った目薬をさしたことを思い出す。



 慌ててPCの電源を入れ、ゲームの中の自分のステータスを覗き込んだ。







【DATE】



名前・ヴェロヴェマ



提督レベル・AA+級

特定スキル・羅針眼

A級スキル・魔眼

S級スキル・邪眼【未習得】

乗艦・装甲戦艦ハンニバル

階級・中将

爵位・子爵

領地・衛星アトラス、衛星ガイア、惑星ベル、準惑星ツーリア



…………。

……。





『……!? S級スキル邪眼ってなんだ??』



 ……というか習得してないのか。

 フラグだけ立ったのかな?





 コンビニで買った弁当を平らげ、寛ぐ。

 テレビをつけるとニュースをやっていた。





 『我がN国政府は、パウリーネ陛下を脅かすクレーメンス公爵元帥の勢力に断固遺憾を表明するものであります!』





Σ( ̄□ ̄|||) ナンデスト!?



 ……あっちの帝国の内紛がコチラにも飛び火しているぞ!?



 しかも、それって内政干渉じゃないの?

 やらないほうが良くない?







――ピンポーン

 玄関のチャイムが鳴る。



 またお客さんか!?

 今日は忙しないな。



 扉を開けると小池勝議員だった。

 早速に、部屋に上がり込まれる。





「君! 我が政府は帝国に巣食う反徒どもを倒せねばイカン!」

「ぇ? どういうことです?」



「クレーメンス公爵元帥とリーゼンフェルト大将のことだよ、君!」

「ぇ? リーゼンフェルト大将とは仲が良かったんじゃないんです?」



 ……事情が良く呑み込めない。

 地球の案件担当は、軍部ではリーゼンフェルト提督だった記憶があるのだ。





「君! 外交情勢は常に変化を求めるものだよ、今は政敵だ!」

「……君には我が政府の味方をしてもらう! 頼んだよ!」



 返事をする前に、議員は秘書さんと共に、部屋から立ち去っていった……。

 いつもの如く1万円を置いて。



 ……てか、この重要案件の報酬は1万円ってことですかい!? (;’∀’)







【スキル】……邪眼【未開封】の取得権利が発生しました。

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