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【第三章】燃え盛るカリバーン帝国
第百二十四話……民衆奪還と屈辱の外交交渉
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「提督! 謎の輸送船団に、乗っていらした方々のリーダー格の方をお連れしましたわ!」
「お通ししてくれ!」
「わかりましたわ!」
副官殿に連れられてきたのは白髪の老人だった。
恭しく席をすすめる。
「なぜ、あんなところにいたのですか?」
早速に話をふると、老人は答える。
「いや何、私どもは家も土地も全て取り上げられましてな。ついにはこの体自体も売られることになったんですじゃ……」
老人は苦笑しながら答える……。
「売られる? どこにですか?」
「グングニル共和国ですじゃ」
話を聞くと、皇帝になったクレーメンスは、その財政を立て直すため、帝都から離れた地域の民衆から私財を没収したらしい。
それに飽き足らず、その民衆自体もグングニル共和国に売却し、彼らに媚を売ると共に、財貨を得ようとしていたのだった。
私と戦ったトロスト提督は、偶然にも民衆狩りをした途中に、ハンニバルと出くわしたようだった。
「そのようなことをしていては帝国が、なり行かなくなりますな……」
……と言うと、
「あなたも軍人さんじゃろ、同じようなもんじゃないか」
と言われ、二の句が出なかった。
とりあえず、彼らは惑星ベルに移住してもらうことにした。
しかし、その数なんと6000名。
生活物資だけでかなりのモノが必要になる。
この世界は食料と並んで人間が大変貴重だ。
労働力でもあり、生産力でもあり、そして兵力でもあるのだ。
彼らを敵にすることはできない。
いや決してしてはいけないのだ……。
☆★☆★☆
惑星リーリアで、皇帝パウリーネ様がご無事のことを内外に宣伝する。
しかし、敵対するクレーメンス帝国の勢力圏の星系からは無視されることになった。
多分、惑星破壊砲が怖いのだろう。
情報によると、あの兵器はもう一つあるらしい。
次に機会があれば必ず破壊しておきたいところだ。
結局、皇帝パウリーネ様に従う星系は五つだけと言う結果になった。
……しかし、祝いの席にややこしい客も来た。
グングニル共和国と、ルドミラ教国からの外交官である。
「ご無事で何より……」
共和国からの使者は、形通りの挨拶だけして帰っていったが、問題はルドミラ教国からの使者であった。
「 ご無事で何より……」
「さて、 我が国は貴国と仲良くしたいと思っておりまする」
「それは嬉しく思うぞ」
パウリーネ様が答える。それに対して、
「我が国と貴国、どちらが大きいでございますかな?」
「それはそちらのお国の方が大きいかろう!」
外交官に対し、パウリーネ様が答える。
「ではそれに対する礼儀が必要でございますよな?」
「な、なんですと!?」
パウリーネ様付きの、初老の侍従が憤る。
……いわば、外交上の上下の関係を要求してきたのだ。
しかし断るわけにはいかない。
ルドミラ教国は20以上もの星系を有する大国だったのだ。
今、戦える余裕はないのだ。
「礼儀であるとな? ではどれくらいで礼儀に相応しいのかな?」
「そうですな、1ヶ月あたり 2億帝国ドルほど、純金でお納めください……」
……くっ、足元を見て来るな。
「わかりました、その代わり、それに応じた支援はいただけましょうな?」
同席していた蛮王様が、冷静に応じてくれた。
結局、カリバーン帝国はルドミラ教国に年間24億帝国ドルを納める代わりに、グングニル共和国やクレーメンス帝国が攻めてきた場合に、援軍送ってくれることを約束してくれた。
……どれくらい約束があてになるものか分かったものではないが。
一応は、ルドミラ教国は我々の盟友となったのだった。
☆★☆★☆
「ヨハンさんを呼んでくれ!」
「分かりましたわ」
副官殿に頼み、内政係で執事のヨハンさんを呼んでもらう。
「何かご用でしょうか? 旦那様!」
「実は買収してもらいたいものがある。お金が用意出来そうですか?」
「物にもよりまする、旦那様!」
ヨハンさんはお金に厳しい。
彼の眼鏡が鋭く光る。
「実は、クレーメンス帝国が共和国に売却しようとしている民衆を、裏で全てこちらで買ってしまってはどうかなと?」
「それはようございますな、旦那様」
「費用はすぐに回収できましょう、早速お金を用意させていただきます」
こうして私は、クレーメンスが売却しようとしている民衆を買い付けることにした。
ある程度の私財を貸し、職を与え、新興惑星である惑星ベルに移住してもらうのだ。
結局は税金という形で、子々孫々にわたり、買収資金は利子をたくさんつけて返してもらえることになるだろう。
だから、お金に厳しいヨハンさんも、にっこりと満面の笑顔で、応じてくれたのだった。
職を与えるというのは、一見厳しいように聞こえるが、我がハンニバル開発公社は、未だに造船部門がかなりの盛況だった。
いくらでも労働力は必要だったのである。
他にも、兵士にも応募してもらうつもりだ。
我々は5星系しかなく、軍備も不十分だったのだ。
……裏側での民衆の買収劇は、星間ギルドにお願いして行うことにした。
私は、ギルドに売った新造船の代金で、クレーメンスに売られた民衆を買い戻した。
彼らは帝国の民であり、間違いなく守るべきはずの存在だったのだ。
他にも、ハンニバルの修理も急ピッチで、準惑星ツーリアで行った。
流石に、先の戦いで、ハンニバルはかなりの損害を負っていたのだった。
……忙しい毎日が過ぎていった。
「お通ししてくれ!」
「わかりましたわ!」
副官殿に連れられてきたのは白髪の老人だった。
恭しく席をすすめる。
「なぜ、あんなところにいたのですか?」
早速に話をふると、老人は答える。
「いや何、私どもは家も土地も全て取り上げられましてな。ついにはこの体自体も売られることになったんですじゃ……」
老人は苦笑しながら答える……。
「売られる? どこにですか?」
「グングニル共和国ですじゃ」
話を聞くと、皇帝になったクレーメンスは、その財政を立て直すため、帝都から離れた地域の民衆から私財を没収したらしい。
それに飽き足らず、その民衆自体もグングニル共和国に売却し、彼らに媚を売ると共に、財貨を得ようとしていたのだった。
私と戦ったトロスト提督は、偶然にも民衆狩りをした途中に、ハンニバルと出くわしたようだった。
「そのようなことをしていては帝国が、なり行かなくなりますな……」
……と言うと、
「あなたも軍人さんじゃろ、同じようなもんじゃないか」
と言われ、二の句が出なかった。
とりあえず、彼らは惑星ベルに移住してもらうことにした。
しかし、その数なんと6000名。
生活物資だけでかなりのモノが必要になる。
この世界は食料と並んで人間が大変貴重だ。
労働力でもあり、生産力でもあり、そして兵力でもあるのだ。
彼らを敵にすることはできない。
いや決してしてはいけないのだ……。
☆★☆★☆
惑星リーリアで、皇帝パウリーネ様がご無事のことを内外に宣伝する。
しかし、敵対するクレーメンス帝国の勢力圏の星系からは無視されることになった。
多分、惑星破壊砲が怖いのだろう。
情報によると、あの兵器はもう一つあるらしい。
次に機会があれば必ず破壊しておきたいところだ。
結局、皇帝パウリーネ様に従う星系は五つだけと言う結果になった。
……しかし、祝いの席にややこしい客も来た。
グングニル共和国と、ルドミラ教国からの外交官である。
「ご無事で何より……」
共和国からの使者は、形通りの挨拶だけして帰っていったが、問題はルドミラ教国からの使者であった。
「 ご無事で何より……」
「さて、 我が国は貴国と仲良くしたいと思っておりまする」
「それは嬉しく思うぞ」
パウリーネ様が答える。それに対して、
「我が国と貴国、どちらが大きいでございますかな?」
「それはそちらのお国の方が大きいかろう!」
外交官に対し、パウリーネ様が答える。
「ではそれに対する礼儀が必要でございますよな?」
「な、なんですと!?」
パウリーネ様付きの、初老の侍従が憤る。
……いわば、外交上の上下の関係を要求してきたのだ。
しかし断るわけにはいかない。
ルドミラ教国は20以上もの星系を有する大国だったのだ。
今、戦える余裕はないのだ。
「礼儀であるとな? ではどれくらいで礼儀に相応しいのかな?」
「そうですな、1ヶ月あたり 2億帝国ドルほど、純金でお納めください……」
……くっ、足元を見て来るな。
「わかりました、その代わり、それに応じた支援はいただけましょうな?」
同席していた蛮王様が、冷静に応じてくれた。
結局、カリバーン帝国はルドミラ教国に年間24億帝国ドルを納める代わりに、グングニル共和国やクレーメンス帝国が攻めてきた場合に、援軍送ってくれることを約束してくれた。
……どれくらい約束があてになるものか分かったものではないが。
一応は、ルドミラ教国は我々の盟友となったのだった。
☆★☆★☆
「ヨハンさんを呼んでくれ!」
「分かりましたわ」
副官殿に頼み、内政係で執事のヨハンさんを呼んでもらう。
「何かご用でしょうか? 旦那様!」
「実は買収してもらいたいものがある。お金が用意出来そうですか?」
「物にもよりまする、旦那様!」
ヨハンさんはお金に厳しい。
彼の眼鏡が鋭く光る。
「実は、クレーメンス帝国が共和国に売却しようとしている民衆を、裏で全てこちらで買ってしまってはどうかなと?」
「それはようございますな、旦那様」
「費用はすぐに回収できましょう、早速お金を用意させていただきます」
こうして私は、クレーメンスが売却しようとしている民衆を買い付けることにした。
ある程度の私財を貸し、職を与え、新興惑星である惑星ベルに移住してもらうのだ。
結局は税金という形で、子々孫々にわたり、買収資金は利子をたくさんつけて返してもらえることになるだろう。
だから、お金に厳しいヨハンさんも、にっこりと満面の笑顔で、応じてくれたのだった。
職を与えるというのは、一見厳しいように聞こえるが、我がハンニバル開発公社は、未だに造船部門がかなりの盛況だった。
いくらでも労働力は必要だったのである。
他にも、兵士にも応募してもらうつもりだ。
我々は5星系しかなく、軍備も不十分だったのだ。
……裏側での民衆の買収劇は、星間ギルドにお願いして行うことにした。
私は、ギルドに売った新造船の代金で、クレーメンスに売られた民衆を買い戻した。
彼らは帝国の民であり、間違いなく守るべきはずの存在だったのだ。
他にも、ハンニバルの修理も急ピッチで、準惑星ツーリアで行った。
流石に、先の戦いで、ハンニバルはかなりの損害を負っていたのだった。
……忙しい毎日が過ぎていった。
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