144 / 148
【第四章】さらば地球、遥かなる銀河へ
第百四十四話……帝国再統一!!
しおりを挟む
「敵要塞へ降下せよ!」
「「「了解!」」」
私は二足歩行可変型機種の艦載機二機を引き連れ、要塞地表部へと向かう。
愛機である重雷撃機ケルベロスも、二足歩行機動歩兵に姿を変える。
……機動歩兵。
この世界にて装輪戦車と並ぶ地上における決戦兵器である。
全高15mにもなる装甲を施されたパワードスーツの一種だった。
「散開!」
リヴァイアサン要塞地表の4割は岩石で、6割は金属だった。
私はその岩石部に降り立った。
岩石部は起伏があり、遮蔽遺物も多く、隠蔽率が高かったため有利に戦えるからだ。
……いつの時代の戦いも、最後は地上戦となる。
いわば人類宿命の戦いであった……。
「前方に装輪戦車、多数!」
「擲弾筒用意!」
我々を見つけた要塞側も、すぐさま戦車を繰り出してきた。
土煙をもうもうと上げてこちらに迫りくる。
――ドドドォォォン
後方からやってきた通常の歩兵隊が、迫撃砲で支援してくれた。
それに合わせて、私も重粒子ガトリンク砲等で攻撃に転じる。
……しかし、敵砲火が激しく、前進が難しい。
「こちらケルベロス、F-998地点へ支援砲火を要請する!」
「こちらハンニバル、了解!」
遥か彼方の装甲戦艦と、上空の艦載機からの支援射撃により、敵装輪戦車が消し飛ぶ。
「前進だ!」
「「「了解!」」」
我々は岩肌の窪地から飛び出て、急いで前進。
2時間にわたる激しい砲火ののち、敵地上部隊の壊滅と飛行場の占領に成功した。
「こちらケルベロス、P-9地点の飛行場を制圧した。この地点へ惑星揚陸艦を着陸されたし!」
「了解だ! アニキ待ってろ!」
アルベルトの声が聞こえる。
これより先の要塞内部の戦いは、ドラグニル陸戦隊を始めとした荒くれ者の白兵戦部隊の独壇場だ。
私の出番はない。
「これより地表の残敵を掃討する! 続け!」
ケルベロスと僚機2機は重雷撃機へと可変し、飛び立つ。
他の戦線で戦っている地上部隊を支援するためだ。
――更に4時間後。
地表部では目立った抵抗は減っていく。
大要塞攻略戦は最終段階へと入っていった……。
☆★☆★☆
「おかえりなさいですわ!」
「おかえりポコ!」
「ただいま!」
ハンニバルへと帰った私は、装甲服を脱ぎ捨て、幕僚たちから報告を聞く。
「ほぼ全ての地域で我が方が優勢! 要塞占領は時間の問題ですわ!」
「地下通路の戦いも優勢ポコ!」
「そうか、良かった!」
この戦いは、味方の艦隊の総攻撃が起因となり、戦局は大きくこちら側へと転がりこんだ形となっていた。
……あとは惑星地上軍の仕事だ。
私は提督席に深く座って、少し休んだ。
ちなみに、ハンニバルに提督席なんてものはない。
艦長席にA4の紙に『提督席』とマジックで書いてあるものを貼り付けているのだ。
次の設計で、椅子を新設してもいいかもしれないね……。
――4時間後。
「敵、要塞司令官リーゼンフェルト提督より、降伏の意思ありとのことです!」
「お繋ぎしろ!」
「了解!」
……戦いは決した。
リヴァイアサン要塞の周りには無数の艦艇の残骸が散らばり、この要塞の手ごわさを顕著に顕していた。
空間に大量に飽和したエネルギーが、あちらこちらでプラズマの様相を見せていた。
☆★☆★☆
大要塞リヴァイアサンを落とされたクレーメンス派に、もはや抵抗する牙城は無く、全面降伏の形となった。
幽閉されていたパウルス元帥とアーベライン伯爵も助け出された。
降伏した皇帝クレーメンスとリーゼンフェルト提督は、政治的身分を中級貴族等に格下げされた後に、惑星セイレーンへと移住することとなった。
――標準歴3年5月。
ここにカリバーン帝国は、皇帝パウリーネのもとに再統一を果たした。
首都星セイレーンは辺境地であることから、首都星は近日中にアルバトロス星系へと遷都となる。
民衆の歓喜の声が、皇帝パウリーネを讃えた。
長きにわたった帝国内の内乱の終焉だった。
――その10日後。
戦勝式典が帝都アルバトロスで行われた。
私はこの式典に出席。
内乱収束の功績により、国家元帥に昇進。
爵位も伯爵となった。
「朕は、そちに感謝しておるぞ!」
「有難き幸せ!」
日増しに美しくおなりのパウリーネ様から、大きな勲章を授かる。
――その翌日。
私は退役した。
自分の領地である、ラム星系に引き籠ることにしたのだ。
「……本当にこれでよいのかね?」
パウルス元帥に問われる。
「構いません、しばらく戦いもないでしょうし……」
「……そうか、又、君の出番がないようにしないといかんな!」
私は退役し、中将待遇でカリバーン帝国宇宙軍の顧問就任となることになった。
いわゆる嘱託社員であった。
……これでシャルンホルスト退役中将と同じような待遇となったわけだ。
伯爵としての私有戦力、若しくはラム星系艦隊として、装甲戦艦ハンニバルといくらかの艦艇は私の指揮下として残ることを許された。
グングニル共和国もルドミラ教国も、今は傷つき、カリバーン帝国に攻め寄せる力はない。
平和な時代になれば、軍は再び派閥争いだ。
……私は無用な派閥争いを避け、この機に色々な地域へ旅立ってみたくなったのだ……。
「「「了解!」」」
私は二足歩行可変型機種の艦載機二機を引き連れ、要塞地表部へと向かう。
愛機である重雷撃機ケルベロスも、二足歩行機動歩兵に姿を変える。
……機動歩兵。
この世界にて装輪戦車と並ぶ地上における決戦兵器である。
全高15mにもなる装甲を施されたパワードスーツの一種だった。
「散開!」
リヴァイアサン要塞地表の4割は岩石で、6割は金属だった。
私はその岩石部に降り立った。
岩石部は起伏があり、遮蔽遺物も多く、隠蔽率が高かったため有利に戦えるからだ。
……いつの時代の戦いも、最後は地上戦となる。
いわば人類宿命の戦いであった……。
「前方に装輪戦車、多数!」
「擲弾筒用意!」
我々を見つけた要塞側も、すぐさま戦車を繰り出してきた。
土煙をもうもうと上げてこちらに迫りくる。
――ドドドォォォン
後方からやってきた通常の歩兵隊が、迫撃砲で支援してくれた。
それに合わせて、私も重粒子ガトリンク砲等で攻撃に転じる。
……しかし、敵砲火が激しく、前進が難しい。
「こちらケルベロス、F-998地点へ支援砲火を要請する!」
「こちらハンニバル、了解!」
遥か彼方の装甲戦艦と、上空の艦載機からの支援射撃により、敵装輪戦車が消し飛ぶ。
「前進だ!」
「「「了解!」」」
我々は岩肌の窪地から飛び出て、急いで前進。
2時間にわたる激しい砲火ののち、敵地上部隊の壊滅と飛行場の占領に成功した。
「こちらケルベロス、P-9地点の飛行場を制圧した。この地点へ惑星揚陸艦を着陸されたし!」
「了解だ! アニキ待ってろ!」
アルベルトの声が聞こえる。
これより先の要塞内部の戦いは、ドラグニル陸戦隊を始めとした荒くれ者の白兵戦部隊の独壇場だ。
私の出番はない。
「これより地表の残敵を掃討する! 続け!」
ケルベロスと僚機2機は重雷撃機へと可変し、飛び立つ。
他の戦線で戦っている地上部隊を支援するためだ。
――更に4時間後。
地表部では目立った抵抗は減っていく。
大要塞攻略戦は最終段階へと入っていった……。
☆★☆★☆
「おかえりなさいですわ!」
「おかえりポコ!」
「ただいま!」
ハンニバルへと帰った私は、装甲服を脱ぎ捨て、幕僚たちから報告を聞く。
「ほぼ全ての地域で我が方が優勢! 要塞占領は時間の問題ですわ!」
「地下通路の戦いも優勢ポコ!」
「そうか、良かった!」
この戦いは、味方の艦隊の総攻撃が起因となり、戦局は大きくこちら側へと転がりこんだ形となっていた。
……あとは惑星地上軍の仕事だ。
私は提督席に深く座って、少し休んだ。
ちなみに、ハンニバルに提督席なんてものはない。
艦長席にA4の紙に『提督席』とマジックで書いてあるものを貼り付けているのだ。
次の設計で、椅子を新設してもいいかもしれないね……。
――4時間後。
「敵、要塞司令官リーゼンフェルト提督より、降伏の意思ありとのことです!」
「お繋ぎしろ!」
「了解!」
……戦いは決した。
リヴァイアサン要塞の周りには無数の艦艇の残骸が散らばり、この要塞の手ごわさを顕著に顕していた。
空間に大量に飽和したエネルギーが、あちらこちらでプラズマの様相を見せていた。
☆★☆★☆
大要塞リヴァイアサンを落とされたクレーメンス派に、もはや抵抗する牙城は無く、全面降伏の形となった。
幽閉されていたパウルス元帥とアーベライン伯爵も助け出された。
降伏した皇帝クレーメンスとリーゼンフェルト提督は、政治的身分を中級貴族等に格下げされた後に、惑星セイレーンへと移住することとなった。
――標準歴3年5月。
ここにカリバーン帝国は、皇帝パウリーネのもとに再統一を果たした。
首都星セイレーンは辺境地であることから、首都星は近日中にアルバトロス星系へと遷都となる。
民衆の歓喜の声が、皇帝パウリーネを讃えた。
長きにわたった帝国内の内乱の終焉だった。
――その10日後。
戦勝式典が帝都アルバトロスで行われた。
私はこの式典に出席。
内乱収束の功績により、国家元帥に昇進。
爵位も伯爵となった。
「朕は、そちに感謝しておるぞ!」
「有難き幸せ!」
日増しに美しくおなりのパウリーネ様から、大きな勲章を授かる。
――その翌日。
私は退役した。
自分の領地である、ラム星系に引き籠ることにしたのだ。
「……本当にこれでよいのかね?」
パウルス元帥に問われる。
「構いません、しばらく戦いもないでしょうし……」
「……そうか、又、君の出番がないようにしないといかんな!」
私は退役し、中将待遇でカリバーン帝国宇宙軍の顧問就任となることになった。
いわゆる嘱託社員であった。
……これでシャルンホルスト退役中将と同じような待遇となったわけだ。
伯爵としての私有戦力、若しくはラム星系艦隊として、装甲戦艦ハンニバルといくらかの艦艇は私の指揮下として残ることを許された。
グングニル共和国もルドミラ教国も、今は傷つき、カリバーン帝国に攻め寄せる力はない。
平和な時代になれば、軍は再び派閥争いだ。
……私は無用な派閥争いを避け、この機に色々な地域へ旅立ってみたくなったのだ……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-
半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる