異世界傭兵物語~物理と魔法を極めた最強の魔族になりました。仲間と楽しく冒険したり、領地経営もしちゃいます!~

黒鯛の刺身♪

文字の大きさ
65 / 73

第六十五話……ズン王国、南方の町

しおりを挟む
「変化せよ、幻惑せよ! ロケーション・イリュージョン!」



 ズン王国の関所があるたびに、マリーが得意の変化の幻惑魔法を使う。

 これにより、一般的な見慣れた馬車に見えるようになる。

 まさか小型のドラゴンが曳く荷車を、普通に通してくれるはずはなかったからだ。





「よし! 通行証を見せろ!」



 スコットさんが作った魔法のスクロールを、関所の衛兵に見せる。

 衛兵には見慣れた通行証に見えているはずだった。





「行って良し!」



 この手口で、ズン王国領の各地の町にも入ることが出来た。





――1か月後。



 とある南方の町で、宿屋で厩を借り、町への散策に乗りだしたのだった。







☆★☆★☆



「ここまでくると、だいぶ温かいですな!」



「温かいポコ!」



 スコットさんとポココが、温かい陽気にご満悦。

 ちなみに、スコットさんも古代竜の再生の光を浴びたため、昼間でもフードを深く被れば戦闘以外のことは出来るようになっていた。


 ズン王国ということで、人間以外の沢山の種族も雑踏としている街並みだった。

 町に売られている品物も、地域性の違いから、パウルス王国では見慣れないものも多かった。





「おお! トウモロコシだ!」



「コーンだね、これがどうかしたの?」



「これって確か、荒れ地でも作れるよね?」



「ええと、そうですな!」



 スコットさんが古城から持ってきた図鑑をめくりながら調べてくれる。





「これはジャガイモだよね? ジャガイモも貧しい土地で植えられるよね?」



「そうですな、ポテトも代替作物候補ですな!」



 持ってきた金貨でトウモロコシと、ジャガイモを大量に買い付ける。

 ジャガイモは種芋用。

 トウモロコシは主に代替食糧用途だ。



 買ったものを入れる袋は、魔法の袋で体積を無視できるが、質量は保存される。

 ……よって、メチャクチャに重い。

 その重さにより、荷物持ちは私の仕事だ。





「ガウ、お野菜の種も買おうよ!」



「うん、どんどん買って!」



 ここはズン王国でも南部に位置しており、未だ寒波の影響を受けていなかった。

 しかし、いずれ値上がりの波が押し寄せてくるだろう。



 我々は、寒さに強い野菜の種などを優先的に購入。

 私達にしては珍しく、金に糸目は付けなかった。





「小麦も安く売ってるポコ!」



「……え!?」



 少し驚いたが、ここはドラゴの足で1か月も離れた遠い地。

 小麦も比較的に安く売っていたのだ。





「でも、もう運べないよ!」



「残念ぽこ~」



 流石にドラゴの曳く荷車でも、重さに限界はある。

 そんなことを言っていると、





「お金を頂けるなら、保管しておきますよ!」



 食料を扱う商人がニコニコ顔で話しかけてきた。



 ……そうだ。

 今は運べないが、とりあえずはある程度買ってしまおう。

 後で方法を考えて、取りにくればいいのだ。





「じゃあ、この金貨で買える分ほどお願いします!」



「毎度あり!」



 此方の事情を知らない商人は、大量の金貨を見てニコニコ顔だ。

 保管料を差し引いた小麦の量を書いた権利書を受け取る。





「信用なるのですかな?」



「一応とりあえずは信用しとこうよ!」



 スコットさんは心配そうだが、商人の最大の武器は信用である。

 多分……、そうであるはずだった。





「ガウ、このお花、奇麗だよ!」



「奇麗ポコ!」



 南方の見たことのないお花だ。

 マリーが気に入ったものを少し買ってみる。





「これも見たことのない果実ですね!」



「美味しそうポコ!」



 次は南方特有の果実店だ。

 アイリーンとポココが指さす物を購入。

 その場で皆で食べてみた。





「美味しいね!」



「甘いですな!」



 これにはスコットさんもご満悦。

 日が昇り、少し汗ばむ陽気にもなっていたのもあって、果物も美味しかった。





「お魚も売っているポコね!」



「流石にお魚は持って帰れないから、買えないよ!」



 残念そうなポココ。

 でも、沢山見たことのない魚が売っていた。

 スコットさんと、図鑑をめくりながら調べたのも楽しかった。







☆★☆★☆



――その晩。



 大きめの宿屋で出てきたのは、珍しい南国料理。





「ガウ、おいしいね!」



「美味しいぽこ」



 マリーとポココは美味しいと言っていたが、正直に言うと私の口には合わなかった。

 スコットさんやアイリーンも、微妙な顔をしていた。



 ……まぁ、好みの問題である。





「星が奇麗だね!」



「奇麗ポコ!」



 食後のお風呂はなんと露天風呂。

 珍しくお湯につかるタイプと、蒸気サウナ風呂の併設だった。

 どうりで宿賃が高かった訳だ。





「うはうは……うへぇ……」



 変な声を出しているのはスコットさん。

 彼は幽体なので、お湯には浸からない。



 その分、危険なほどにサウナ風呂が大好きなのだ。

 発言がおかしくなるほど、温まったあと、冷水に浸かる。



 ……体に悪くないんだろうか?





「旦那様、御背中流しますね!」



「ありがとう!」



 有難く、アイリーンに背中を洗ってもらう。



 面倒くさいので、ズン王国に入ってからは、ずっと人間の姿だ。

 最近思ったのだが、人間の方の姿も背が高くなって、肩がしっかりしてきていた。



 前世でも、こんなしっかりした体だったらなぁ……。

 なんだか自分の体が恨めしい。



 気が付いたのだが、お湯に映る自分の顔も、まぁまぁのイケメンだ。

 前世の自分とは大違いだ。

 ……なんだか嫉妬してしまう。



 皆で楽しく温まり、そして皆で温かくして眠ったのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処理中です...