雪を溶かすように

春野ひつじ

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第一章

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 ドアを開けて入ってきたのは、悠だった。

「薫、体調はどうだ?」

「朝よりはよくなった気がする。」

よかった、と小さくつぶやくと、ホッとした表情を見せる悠。そして僕はさっき葉に言われたことを思い出して、

「あの、僕の国の人に手紙を書きたい。」

と言った。

「おぉ!じゃあレターセットがいるな!えっとどこにあったかな…」

そう言って部屋の棚の中をゴソゴソと探し始める。ちらっと見えた棚の中は色々なものが一緒に入っていて、ごちゃごちゃしていた。悠は片付けが苦手なのかもしれない。そして、しばらく探して見つからなかったのか、おかしいなぁ、と呟いていた。僕のそばにいた葉が、こっそりと、

「そうでした。悠様は片付けが苦手なので、大量のレターセットは見つからない可能性が高いですね。」

と言う。やっぱり手紙は大丈夫と言おうとすると、悠はよしっ、と言いながら立ち上がり、僕に、

「レターセットは家出してしまったようだ。体調が良くなったら、一緒に買いに行かないか?」

とちょっと申し訳なさそうな顔で聞く。家出?と思いつつ、正直手紙を書きたい気持ちは強かったので、

「うん、行きたい!」

と答える。

「よし、決まりだな!」

と言うと小さくガッツポーズをする。王子だから那のように冷たい感じかと思いきや、偉そうな感じもなくとても親しみやすいし、なんだか少し抜けているところもあるなぁと思い、ふふっと笑ってしまった。すると、部屋にいた葉と悠が静かだったので、どうしたんだろう?と思って顔を上げると二人ともびっくりした顔をしていた。笑っちゃダメだったのかな?と不安になっていると、ハッとした様子で悠が、楽しみだな、と言ってくれてホッとした。



 その後、体調を治すのが最優先だと言われ、時計を見ると七時を少し過ぎていた。今僕がいるのが悠の部屋だったら、悠はどこで過ごしているのか尋ねると、余っている部屋にいるそうだ。なんでもこの部屋以外はそんなに家具を置いていないらしい。悠も困るだろうし、部屋が広すぎるとも思っていたところだったので、移動したいことを言うと、レターセットと一緒に家具も買おうと約束してくれた。今日は久しぶりにたくさん話したからか、すぐに寝れそうだ。買い物を楽しみに思いながら、眠りについた。
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