雪を溶かすように

春野ひつじ

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第一章

26 side悠

「あぁ、なるほど」

答えたはいいが、全く理解できない。

「あのね、獣人には能力があるんだ!それで怪我を治したんだよ!」

誇らしげに言う。

「初めて知った。みんな持っているのか?」

「ううん、たまに持ってない人もいるって」

「目がすごくよかったりとか、上手に楽器を弾けたりする人もいるよ。あっ、でもこのことは人間には内緒だから、言っちゃダメだよ?」

そう言って首を傾けて、俺と指切りげんまんをしてくる。

「わかった。そして、怪我を治してくれて本当にありがとう。何か恩返しがしたいんだが……」

「じゃあ、お兄ちゃん、遊びに来て!お話しする人がいなかったから」

そう言う様子が寂しそうだった。

「もちろん!」

「よかった!また明日、ここで会おうね!」

そう約束して、子供は森の中に消えて行った。傷はどうなったのかと身体を見てみると、跡は残ってはいるものの、すっかりふさがっていた。本当にありがたい、と思いながら立ち上がり、今度は道を忘れないように来た道を帰った。森を出ると、従者達が大勢いて、俺を探していた。

「どこにいらっしゃったのですか?!」

そう言いながら俺の身体に大量についた血を見て驚く。怪我はもうないと言っても、皆が心配してすぐに宿に連れて帰られたが、怪我についてはなんとか誤魔化した。
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