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第二章
26 side悠
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薫が那のところに行ってから、もう三日が経つ。心に大きな穴がぽっかりと空いてしまったようで、何にも手につかない。そんな俺を見て、葉も暖も、何も言わずにそっとそばにいてくれた。いつから俺のことが嫌いだったのだろう?今思えば自惚れていたのかもしれないが、那よりは好かれていると思っていた。あんなに俺と過ごした時に笑ってくれたのに。いつも嬉しそうにしていたのは嘘だったのか?そんな思いを抱えてぐるぐるとしていると、突然暖がぼそっとつぶやく。
「俺は、薫はあんたのこと嫌ってないと思いますけどねえ」
「兄さんは実際に聞いてないからわかんないんだよ」
葉が言うことに、俺も力なく頷く。
「でもよ、この前会った時に長い時間過ごしたわけじゃない俺でもあんたのことが好きってオーラがわかりましたよ」
「多分それは見間違えだろう」
そう言って、俺がまた落ち込みモードになり、暖が口を開こうとした、その時だった。何か黒っぽい、犬よりも二回りほど大きいものが、空いていた窓から飛び込んできた。
「悠様!!」
葉が慌てて俺とその黒っぽいものの間に立ち、俺を守ろうとしてくれる。さすがだ。めちゃくちゃ速かった。よく目を凝らして見てみると、それは一匹の狼だった。
「狼?!」
葉と暖の声が重なる。こちらに向かってくる狼を見ながら、なぜここに狼が?、と不思議に思う。しかし、その疑問はすぐに解決された。狼が一歩一歩歩くたびに、シャラン、シャランと金色をした右耳のピアスが揺れるのが見えたからだ。獣人だ。青みがかかった艶のある黒色の毛並み、金色に輝く瞳は、俺が怯んでしまうほど、強い光を灯していた。次の瞬間、狼が姿を変えた。
「俺は、薫はあんたのこと嫌ってないと思いますけどねえ」
「兄さんは実際に聞いてないからわかんないんだよ」
葉が言うことに、俺も力なく頷く。
「でもよ、この前会った時に長い時間過ごしたわけじゃない俺でもあんたのことが好きってオーラがわかりましたよ」
「多分それは見間違えだろう」
そう言って、俺がまた落ち込みモードになり、暖が口を開こうとした、その時だった。何か黒っぽい、犬よりも二回りほど大きいものが、空いていた窓から飛び込んできた。
「悠様!!」
葉が慌てて俺とその黒っぽいものの間に立ち、俺を守ろうとしてくれる。さすがだ。めちゃくちゃ速かった。よく目を凝らして見てみると、それは一匹の狼だった。
「狼?!」
葉と暖の声が重なる。こちらに向かってくる狼を見ながら、なぜここに狼が?、と不思議に思う。しかし、その疑問はすぐに解決された。狼が一歩一歩歩くたびに、シャラン、シャランと金色をした右耳のピアスが揺れるのが見えたからだ。獣人だ。青みがかかった艶のある黒色の毛並み、金色に輝く瞳は、俺が怯んでしまうほど、強い光を灯していた。次の瞬間、狼が姿を変えた。
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