雪を溶かすように

春野ひつじ

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第三章

13 side悠

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「ロープをそこの木にくくりつけて、」

 凱は近くにあった幹の太い、大木を指さす。

「崖に垂らして、それをつたってあの岩まで降りよう」

 意外だが、それ以外方法はない。

「あの岩は人が乗っても崩れないか?」

「多分崩れないとは思うが……」

「では、何かものをぶつけてみましょう」

 言うや否や、両手で抱えるほどの石を、岩に向けて投げる。器用なことに、しっかりと花を避けて投げた。カツン、と音がして覗き込むと、岩は崩れていない。そこで俺はようやく思い出して、午前中に買ったランプをつける。

「十分強そうだな」

 凱が満足げに、うんうんと頷く。

「じゃあ、俺が行く」

「えっ?!悠様が?いえ、私が行きます!」

「ちょっと待て、どうして悠は行くって言ったんだ?」

「どうしてって、俺が多分この中じゃ一番体重が軽い。そして何より、俺を過去に助けて薫が今大変な思いをしているなら、俺が危険を冒してもその恩を返すべきだし、薫を助けたいからだ」

「もうそうするって決めてるみたいだし、俺たちはサポート、頑張ろうぜ」

 葉の肩をポンと叩く凱。葉は、まだ納得していない様子だが、渋々といったように頷いた。

「わかりました。もし貴方様に何かあったら、皆悲しみますし、兄に怒られることも間違いなしです。絶対に怪我はさせません」

 頼もしい。そう伝えると、一層気合を入れたようだ。
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