雪を溶かすように

春野ひつじ

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第三章

57

 しばらく大樹のそばで寝転がって、のんびりと過ごしていた僕たちは、日が暮れる前に帰る方がいいと思って、予定よりも早めに帰った。

「空を飛ぶって、想像していたよりも気持ちいいんだな」

 部屋に着くと、悠はしみじみと思い出している様子。

「僕でよければいつでも乗せるよ?」

「ありがとう。でも、俺の膝の上で眠る薫も捨てがたいなぁ」

 悠はクスクスと笑いながら、昔の僕を思い出している。そうだ、あの時は疲れて眠ってしまったんだった。ん? 膝の上?

「えっ? 僕、悠の膝の上で寝てたの?!」

「そうだぞ。俺の向かい側で薫の首が揺れてたから、危ないと思って」

「知らなかった……」

 いつのまにか寝てしまったことは覚えていたが、悠の膝の上で寝ていたなんて。ありがたく思うと同時に、残念な気持ちになる。

「起きとけばよかった……」

 しゅんとうなだれる僕に悠があっけらかんと言う。

「じゃあ、今するか?」

「今? いいの?!」

「もちろん」

 悠はソファに腰掛けて、ぽんぽんと膝を叩く。

「お邪魔します」

 そおっと頭を乗せると、程よくついた筋肉を感じる。なんだか顔を見るのは恥ずかしいなと思って、いそいそと顔を横に向ける。ふふっと笑う声が聞こえたあと、優しく僕の髪を撫で始める。

「薫の髪はサラサラしていて気持ちいいな」

「ありがとう」

 なんだか次第に瞼が重くなってきた。いけない、もっと悠の膝枕を堪能したいのに。目に力を入れて、重くなってくる瞼をどうにかあげようとする。だけど瞼はとろ~んと降りてきて、夢の世界へと僕は旅立った。
感想 3

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