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1章 チュートリアル
7話 新しい勇者が派遣されてきた
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「お前が先に召喚された、マミヤトウジか」
(…あっ、関わると面倒なタイプだ)
王様といい、チンピラといい、絡んできたやつにまともだった試しがほとんどない。というか今回の場合、おそらくその王様が関係してるだろう。
「そうですけど、初対面の人に『お前』はないんじゃないですかね」
俺も大概だったわ。
「そんなことはどうでもいい。俺は勇者としてこの世界に呼ばれた。小倉啓一という…お前、魔王を倒す気はあるのか?」
「まあ、ありますよ。家に帰りたいし」
「そうか、じゃあ代わりに俺が魔王を倒してやるよ」
じゃあの意味知ってんのかコイツ。ちょっと腹立ってきたな。
「いえ、結構です。俺はこの人と自分たちの手で魔王を倒す約束をしてるんで。」
それにしても…
「その大層な装備どうしたんですか?召喚されたの俺より後だと思うんですが」
おそらく今日か昨日召喚されたばかりだろう。俺の話を王か誰かに聞いて会いにきたんじゃないだろうか
「ん?これは召喚された時に国王殿から譲り受けたものだ」
わぁ、随分歓迎されたんですね。
「それで、何の要件ですか。まさかさっきの事伝えるためだけにこんな時間まで張ってた訳じゃないですよね」
隣でカルミアが笑いを堪えている。それを見て勇者様、顔を真っ赤にして、
「もちろんだ。お前、街で噂されているぞ。夜中の悪魔と言っているのか」
「いや俺が言い出したんじゃないんですけど…」
「とにかくだ。一応勇者として召喚された者がそんな噂を立てられるとは…恥ずかしくないのか」
「いや別に。言わせておけばいいじゃないですか」
「こんな奴が勇者に選ばれたのか…おい、勝負しろ。」
来たばかりだろうに、血の気が多いな。城の人らに煽てられたか、元々の性格か。どうでもいいや。
「いいけど。ルールはどうする?」
「最初に降参した方の負けでいいだろ」
「わかった。木剣持ってくるから待ってて」
「武器はそのままで」
…あぁ、こいつ相当拗らせてるな。
「いいよ」
ギルドの外はそれなりの広場がある。幸いまだ周りを歩いてる人はいない。また変な噂増えるのは嫌だし、今のうちにぱぱっと終わらせちゃおう。
外に出ると、勇者は背中に背負っていた大剣を鞘から抜き、こちらに構えた。トウジも腰に提げている直剣を引き抜き構える。ある程度の距離を保ち相手の出方を窺う。
初めに動いたのは勇者だ。大剣を高く掲げて走って来る。隙だらけだ。相手が振り下ろすタイミングで横に避ける。勇者が反動で動けない間に距離を詰め、押し倒そうと左手を伸ばす…が、
「なっ…んだそれ!」
勇者の着ていた鎧が突然光だし、10センチほどもある長い針が無数にトウジへ放たれた。かろうじて避けるが、伸ばしていた左腕に2本突き刺さる。
引き抜こうとするが、どうやら返しがあるらしく、無理に引くと激痛が走る。
「まったく悪趣味な鎧着てんな。それを託したやつ性格悪そう」
と嫌味を吐くと、
「国王に対する侮辱…お前こそ随分性格が悪いな」
「その国王に対する厚い信頼なんなの。何吹き込まれたんだよ」
今度はこちらから攻撃を仕掛ける。体勢を低くし、最高速で近づく。鎧が光り、針が飛んでくる。それを全て躱す。掠りはするが、刺さらない。勇者の表情に驚きと焦りが見える。どうやら針を連続して飛ばすにはクールタイムがいるようだ。
勇者を押し倒し、スライムをテイムした時にちゃっかり手に入れていたスキル『粘性』を発動。物理攻撃を無効化する。全身がスライム状になるため動きが遅くなるのが欠点だが、
「掴んだ後なら関係ないな」
再び飛んでくる無数の針はスライム状の体にダメージを与えられない。勇者の首元に刃を近づける。
「お前の負け」
「くっ…なんだそれ、ずるいだろ!」
「そんな装備着て言われても…あ、」
周りに人が集まり始めた。
「とにかく、もう絡んでくるなよ!」
そう言い残し、急いで宿に帰ったのだった。
*
「もう、置いていかないでよ」
宿に着き少しして、カルミアが荷物をぶら下げ帰ってきた。
「…なにそれ」
「戦利品」
「まさか、あの勇者のやつ?」
「そ」
お金や回復薬などをたんまり剥ぎ取って来たらしい。
「どうせなら装備も貰っとけばよかったのに」
「だって君も私もあんな重い物持って戦えないでしょう」
「…それもそうか」
(…あっ、関わると面倒なタイプだ)
王様といい、チンピラといい、絡んできたやつにまともだった試しがほとんどない。というか今回の場合、おそらくその王様が関係してるだろう。
「そうですけど、初対面の人に『お前』はないんじゃないですかね」
俺も大概だったわ。
「そんなことはどうでもいい。俺は勇者としてこの世界に呼ばれた。小倉啓一という…お前、魔王を倒す気はあるのか?」
「まあ、ありますよ。家に帰りたいし」
「そうか、じゃあ代わりに俺が魔王を倒してやるよ」
じゃあの意味知ってんのかコイツ。ちょっと腹立ってきたな。
「いえ、結構です。俺はこの人と自分たちの手で魔王を倒す約束をしてるんで。」
それにしても…
「その大層な装備どうしたんですか?召喚されたの俺より後だと思うんですが」
おそらく今日か昨日召喚されたばかりだろう。俺の話を王か誰かに聞いて会いにきたんじゃないだろうか
「ん?これは召喚された時に国王殿から譲り受けたものだ」
わぁ、随分歓迎されたんですね。
「それで、何の要件ですか。まさかさっきの事伝えるためだけにこんな時間まで張ってた訳じゃないですよね」
隣でカルミアが笑いを堪えている。それを見て勇者様、顔を真っ赤にして、
「もちろんだ。お前、街で噂されているぞ。夜中の悪魔と言っているのか」
「いや俺が言い出したんじゃないんですけど…」
「とにかくだ。一応勇者として召喚された者がそんな噂を立てられるとは…恥ずかしくないのか」
「いや別に。言わせておけばいいじゃないですか」
「こんな奴が勇者に選ばれたのか…おい、勝負しろ。」
来たばかりだろうに、血の気が多いな。城の人らに煽てられたか、元々の性格か。どうでもいいや。
「いいけど。ルールはどうする?」
「最初に降参した方の負けでいいだろ」
「わかった。木剣持ってくるから待ってて」
「武器はそのままで」
…あぁ、こいつ相当拗らせてるな。
「いいよ」
ギルドの外はそれなりの広場がある。幸いまだ周りを歩いてる人はいない。また変な噂増えるのは嫌だし、今のうちにぱぱっと終わらせちゃおう。
外に出ると、勇者は背中に背負っていた大剣を鞘から抜き、こちらに構えた。トウジも腰に提げている直剣を引き抜き構える。ある程度の距離を保ち相手の出方を窺う。
初めに動いたのは勇者だ。大剣を高く掲げて走って来る。隙だらけだ。相手が振り下ろすタイミングで横に避ける。勇者が反動で動けない間に距離を詰め、押し倒そうと左手を伸ばす…が、
「なっ…んだそれ!」
勇者の着ていた鎧が突然光だし、10センチほどもある長い針が無数にトウジへ放たれた。かろうじて避けるが、伸ばしていた左腕に2本突き刺さる。
引き抜こうとするが、どうやら返しがあるらしく、無理に引くと激痛が走る。
「まったく悪趣味な鎧着てんな。それを託したやつ性格悪そう」
と嫌味を吐くと、
「国王に対する侮辱…お前こそ随分性格が悪いな」
「その国王に対する厚い信頼なんなの。何吹き込まれたんだよ」
今度はこちらから攻撃を仕掛ける。体勢を低くし、最高速で近づく。鎧が光り、針が飛んでくる。それを全て躱す。掠りはするが、刺さらない。勇者の表情に驚きと焦りが見える。どうやら針を連続して飛ばすにはクールタイムがいるようだ。
勇者を押し倒し、スライムをテイムした時にちゃっかり手に入れていたスキル『粘性』を発動。物理攻撃を無効化する。全身がスライム状になるため動きが遅くなるのが欠点だが、
「掴んだ後なら関係ないな」
再び飛んでくる無数の針はスライム状の体にダメージを与えられない。勇者の首元に刃を近づける。
「お前の負け」
「くっ…なんだそれ、ずるいだろ!」
「そんな装備着て言われても…あ、」
周りに人が集まり始めた。
「とにかく、もう絡んでくるなよ!」
そう言い残し、急いで宿に帰ったのだった。
*
「もう、置いていかないでよ」
宿に着き少しして、カルミアが荷物をぶら下げ帰ってきた。
「…なにそれ」
「戦利品」
「まさか、あの勇者のやつ?」
「そ」
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「…それもそうか」
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