魔王討伐までがチュートリアル〜廃ゲーマーが異世界転移したので最弱からやりこんでみた〜

1章 チュートリアル

9話 二人でパラキシアをまわってみた

　パラキシアに着き、宿を探している途中、

「ねぇ、いつまでも夜中に動いてちゃダメだと思うの」

「そうは言ってもなぁ」

「せっかくパラキシアに来たんだからここにいる間だけでも昼に外に出てみない？それに、ここら辺の夜中の魔物は向こうとは比べ物にならないくらい強いみたいだし。来る時にもチラッと見えたでしょう」

　確かに、ヘリコニアで出会った魔物とは大きさも威圧感も全然違った。

「一番小さいのでも熊くらいの大きさだったからなぁ」

「だから、この機会に昼動くことに慣れておこうよ。それに、」

「？」

「国を見て回りたいし…」

「それは見に行けばいいでしょ」

　カルミアは少し驚おどろいた顔をして、

「はぁ…」

　と深くため息をついた。

「え、どうしたの」

「何でもないです～」

　そう言うと、カルミアの歩く速度が少し上がった。

「まぁ、明日は昼にも出歩いてみるかな」

「…ほんと？じゃあ早く宿見つけて明日に備そなえて今日は早く寝ましょ」

「早くって言ってももう夜明け前だけどね」

「私は馬車で寝てたから大丈夫」

「ずっと寝てたね」

「しょうがないでしょ、景色がほとんど変わらなかったんだから」

　そんな会話をしながら、こちらを見ている影に気づかない二人は宿へ向かうのだった。

　＊

　朝になった。

「起きて！朝になったよ」

閉め切られたカーテンを全開にして起こされた。眩まぶしさに驚き急激きゅうげきに目が覚める。

「体感だと30分くらいしか寝てない感じがする」

「実際そのくらいだったわよ」

　そう言ったカルミアは着替えも済ませ準備万端だ。

「外で待ってるから、早く着替えてきてね」

「了解」

　10分後…

「おまたせ。それじゃあ、行こう」

　＊

「昨日は暗くて見づらかったけど、昼間だと更さらに広く感じるな。」

「この国には一部を除いて世界中の花が揃そろっているのよ」

「へぇ、よく集めたもんだ」

「それが、勝手に生えてきたらしいよ。10年くらい前に突然。しかも、枯れないから水やりも必要ないみたい。成長しすぎたらまずいから手入れはしてるらしいけど」

「なにそれ、なんかのスキルだったりして」

「面白いよね」

　その後、店で服や道具を買い…

「…暑い」

「え、そう？」

「日差しがキツくなってきた」

「昼間だからね」

　約3年半ぶりに太陽の下に出た上に、この国は元の世界の夏場くらい暑い。

「今日はご飯食べたら帰らない？」

「えー…まぁ、いっか」

　こうして二人の無意識ながらの初デートは幕を閉じた。