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30 新宮結の独白(7)
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「お願いが、あります」
「新宮家の妖力者が俺に何の用や?」
「……妖力者でも妖術師になる方法、知っていますよね?」
海葦村を離れた私は、その日のうちに大阪にある御三家の一角雨宮家の一人息子、雨宮渚が一人暮らしをしているという住宅街に紛れた四人家族が適正の一軒家を訪れた。
インターホンを押すと、みずみずしい果物のような女性が現れた。恐らく使用人だろう。
使用人に話をつけると彼女はすぐに首を縦に振り、雨宮渚がお籠りしているという部屋に通してくれた。
その部屋は非常に暗かった。昼間なのにここまで暗い屋内はコイツの部屋とお化け屋敷くらいだろう。
しかし足音に気づいたらしい雨宮渚はすぐさま電気をつけ、こちらを向いていた。にんまりと、私が来るのを分かっていたように。
「それが人に物を頼む態度なん?」
「お望みなら土下座でもします」
使用人は退出し、雨宮渚が座る椅子以外何もない部屋で、私は雨宮渚と向かい合っていた。
本来ならまず頭を下げ、挨拶をしなければならないのだが、舐められないよう、彼より高い目線を、力強く放った。
「お前の土下座に何の価値があるん?」
「……それに関しては返す言葉もありません」
雨宮渚と会い、言葉を交わすのは初めてだったが、噂通りという第一印象を得た。
腕を組み、足を組む。目線は下にあるのに、私の心臓は震えあがっている。
雨宮渚。大学生妖術師。力のある者には対等に接するが、ないものには容赦しないという脳筋クソ関西弁野郎と聞いている。
「妖力者が妖術師になるかぁ……ま、普通に考えたら出来へんことやな」
「それは私が一番よく知っていることよ」
「だろうな」
「だから貴方に聞きに来たの。ここは新宮家より文献が充実している。それにどの文献も違和感だったのよ」
「『正攻法で妖術師に昇格した者はいない』だろう?」
「……何か、知っているでしょう?」
一つ呼吸を置き、問い詰める。私なりに険しい剣幕を出しているつもりなのだが、雨宮渚はちっとも表情を、声色を、態度を変えない。
多分、本気で相手にしていないのだろう。
「さぁな。俺はな――んにも知らん」
「嘘。さっさと教えなさい」
「そもそも急にどうしたん? 大好きなお姉ちゃんが死んで、自暴自棄になったんか? シスコン妖力者」
「……そうね。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
妖術師になりたいと思うことは何度もあった。お姉ちゃんを楽させるために、人の命を身勝手に奪うあやかしから一般人を守るために。
今思えばあの時の思いは本気じゃなかったのかもしれない。
私はお姉ちゃんほどの善人を知らない。誰よりも他人を思いやるお姉ちゃんはたった一人の憎悪によって殺された。
「なんやねん、それ」
「……私が妖術師になれば、貴方にはメリットしかないわ」
「へぇ? それは?」
「私が……マインドコンダクタ―になれば、貴方に協力してあげるわ」
その一言は私の中での切り札だった。
生憎、私は善人ではない。人の心を覗くのに、変えるのに、何の抵抗もない。
切り札の効果は絶大だった。彼の耳がピクリと動き、馬鹿にしたようなにやついた面に少々の本気が注がれる。
「へぇ……お前が、マインドコンダクタ―にか?」
「雨宮様がどうしてそこまで心操術式にこだわるかは知らないし、興味もない。でも、もし私がマインドコンダクタ―になれれば……絶対に貴方の言う通りにする」
この人は嘘をつくのが苦手らしい。身が完全に乗り出している。
「ほぉ……絶対に、か?」
「……私は許さない。お姉ちゃんを殺した海葦村の人間を」
「ふぅん?」
「私は、出来ないなりに努力していると勘違いしていた。もっと、もっとやれることはあった。お願い、します……! 私を妖術師にして!」
私の土下座に価値はない。しかし、だからといってしないのは違う。私の誠意を、決意を伝えるため、おでこと床をこすり合わせる。床からはほんのり、血の匂いがした。
「……妖力者が妖術師になる方法は、確かにある。でもなぁいっつも音を上げるんだよ、アイツらは。お前は俺の時間を無駄にしないと、約束できんのか?」
彼は私の髪を、女の子の、私の自慢の黒髪を、お姉ちゃんが褒めてくれた、いいと言っているのにドライヤーをしたがった髪を、これでもかと強く張っぱり顔を近づける。恐らく私を脅しているつもりなのだろう。その高い鼻と、私を見下ろす目をぶん殴ってやりたい。
「出来る。私は絶対妖術師になる。雨宮さ……アンタは安心して、私に時間を与えればいい」
彼は私を睨んだ。当然だ。私ごときが御三家の妖術師に意見するなど決して許されないこと。だからこそ、私は啖呵を切った。
彼に負けないよう、さらに目に力を入れる。怯んじゃダメだ。妖術師になるにはもっと辛いことが待っているのだから。
「……ふっ。流石新宮の人間やぁな。アイツ……未来とは違った強さがある」
彼は突き放すように私から手を放し笑った。彼の笑顔は姉と違い、非常にムカつく者だった。
「えっと……新宮二世、」
「結、です」
人の名前くらい覚えろよ。人付き合いの基本だろ。
「名前なんて何でもええやん」
「……そうですね」
バレないように舌打ちをかます。ああそうだった。コイツ、こういう人間だった。
「不満が顔に出てるでー」
「すみません。ポーカーフェイスは苦手なので」
「ま、安心せぇ。お前が無事にマインドコンダクタ―になれたら、覚えてやるわ」
「……絶対に覚えさせます」
「その意気だよ、新宮二世。一週間くらいは楽しませてや、雑魚妖力者?」
「いいですよ。その嫌みしか言えないひん曲がった不細工な口、叩きつぶしてやりますよ」
傍から見れば私は命知らずの愚か者だ。妖術師、しかも雨宮家の長男にここまでメンチを切る妖力者など数百年の歴史の中で私だけだろう。
もしかするとこの場で殺されていたかもしれない。でもそれでもいいと思った。
妖術師になれないなら、私の命に価値はない。死んでも構わない。
「私は絶対に妖術師になる。世界で一番の善人を殺したアイツらを断罪するために、私がマインドコンダクタ―になる。私が……新宮家の次期当主として、お姉ちゃんの正義の味方になる」
「……口だけにならないことを願う。俺から言えることはそのくらいだな」
それから私は一度も家に帰ることなく、半年ほどの期間、この家で過ごした。
「本当に、いいんだな?」
「……はい」
この世は不公平だ。ルールもクソもない悪人はしぶとく生き続け、他人を大事に思い、自分で決めたルールを守り続けた善人は死ぬ。そんなの、私が許さない。
どんな理由であれ、人を殺せば悪人。それでもいい。私は、それでも正義の味方でいたい。たった一人の、誰よりも優しい彼女の、味方でいたい。
「いただきます」
それが、それだけが、私が妖術師になる理由。
命の感謝を、小学生のように手を合わせ、挨拶をする。
ご立派な漆器の椀に閉じ込められた妖物を箸で摘み、躊躇いなく口に運ぶ。
妖物を食べる、それは隊則違反ギリギリの行為、妖力界では、禁忌とされている行為だった。
一応、完全に祓われたと確認済みの妖怪の肉なので、隊則違反ではない。しかし、これを喰った者は記録上、起源となる妖術師の三名のみ。いくら妖力者と言っても、妖物を食べるのは危険とみなされ、暗黙の了解として扱われていた。
案の定、死には至らなかったものの、頭痛、腹痛、精神的苦痛が続いた。
今でこそ和らいではいるものの、あの半年間は地獄だった。絶対に、あやかしに喰われたほうがマシだろう。
その中で行われた戦闘訓練はこの世界にいる誰もが味わったことない苦しみだった。
「どうした? 限界か? パパが待ってるお家に帰るか?」
「うるさい……! 帰る訳ないでしょう!」
頭は圧縮され、腹は雑巾のように絞られ、足は鉛のように重く、体を動かすたびに全身に針を打たれたような感覚。その中でまだ出来もしない妖術式を使い、雨宮家が用意した妖怪と戦うという無理難題を終日、繰り返した。
雨宮家で過ごした半年間を、私は一生忘れない。
あれは何億もの人生が紡がれたこの地球で一番苦痛だった半年だと自信を持って言える。
「新宮家の妖力者が俺に何の用や?」
「……妖力者でも妖術師になる方法、知っていますよね?」
海葦村を離れた私は、その日のうちに大阪にある御三家の一角雨宮家の一人息子、雨宮渚が一人暮らしをしているという住宅街に紛れた四人家族が適正の一軒家を訪れた。
インターホンを押すと、みずみずしい果物のような女性が現れた。恐らく使用人だろう。
使用人に話をつけると彼女はすぐに首を縦に振り、雨宮渚がお籠りしているという部屋に通してくれた。
その部屋は非常に暗かった。昼間なのにここまで暗い屋内はコイツの部屋とお化け屋敷くらいだろう。
しかし足音に気づいたらしい雨宮渚はすぐさま電気をつけ、こちらを向いていた。にんまりと、私が来るのを分かっていたように。
「それが人に物を頼む態度なん?」
「お望みなら土下座でもします」
使用人は退出し、雨宮渚が座る椅子以外何もない部屋で、私は雨宮渚と向かい合っていた。
本来ならまず頭を下げ、挨拶をしなければならないのだが、舐められないよう、彼より高い目線を、力強く放った。
「お前の土下座に何の価値があるん?」
「……それに関しては返す言葉もありません」
雨宮渚と会い、言葉を交わすのは初めてだったが、噂通りという第一印象を得た。
腕を組み、足を組む。目線は下にあるのに、私の心臓は震えあがっている。
雨宮渚。大学生妖術師。力のある者には対等に接するが、ないものには容赦しないという脳筋クソ関西弁野郎と聞いている。
「妖力者が妖術師になるかぁ……ま、普通に考えたら出来へんことやな」
「それは私が一番よく知っていることよ」
「だろうな」
「だから貴方に聞きに来たの。ここは新宮家より文献が充実している。それにどの文献も違和感だったのよ」
「『正攻法で妖術師に昇格した者はいない』だろう?」
「……何か、知っているでしょう?」
一つ呼吸を置き、問い詰める。私なりに険しい剣幕を出しているつもりなのだが、雨宮渚はちっとも表情を、声色を、態度を変えない。
多分、本気で相手にしていないのだろう。
「さぁな。俺はな――んにも知らん」
「嘘。さっさと教えなさい」
「そもそも急にどうしたん? 大好きなお姉ちゃんが死んで、自暴自棄になったんか? シスコン妖力者」
「……そうね。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
妖術師になりたいと思うことは何度もあった。お姉ちゃんを楽させるために、人の命を身勝手に奪うあやかしから一般人を守るために。
今思えばあの時の思いは本気じゃなかったのかもしれない。
私はお姉ちゃんほどの善人を知らない。誰よりも他人を思いやるお姉ちゃんはたった一人の憎悪によって殺された。
「なんやねん、それ」
「……私が妖術師になれば、貴方にはメリットしかないわ」
「へぇ? それは?」
「私が……マインドコンダクタ―になれば、貴方に協力してあげるわ」
その一言は私の中での切り札だった。
生憎、私は善人ではない。人の心を覗くのに、変えるのに、何の抵抗もない。
切り札の効果は絶大だった。彼の耳がピクリと動き、馬鹿にしたようなにやついた面に少々の本気が注がれる。
「へぇ……お前が、マインドコンダクタ―にか?」
「雨宮様がどうしてそこまで心操術式にこだわるかは知らないし、興味もない。でも、もし私がマインドコンダクタ―になれれば……絶対に貴方の言う通りにする」
この人は嘘をつくのが苦手らしい。身が完全に乗り出している。
「ほぉ……絶対に、か?」
「……私は許さない。お姉ちゃんを殺した海葦村の人間を」
「ふぅん?」
「私は、出来ないなりに努力していると勘違いしていた。もっと、もっとやれることはあった。お願い、します……! 私を妖術師にして!」
私の土下座に価値はない。しかし、だからといってしないのは違う。私の誠意を、決意を伝えるため、おでこと床をこすり合わせる。床からはほんのり、血の匂いがした。
「……妖力者が妖術師になる方法は、確かにある。でもなぁいっつも音を上げるんだよ、アイツらは。お前は俺の時間を無駄にしないと、約束できんのか?」
彼は私の髪を、女の子の、私の自慢の黒髪を、お姉ちゃんが褒めてくれた、いいと言っているのにドライヤーをしたがった髪を、これでもかと強く張っぱり顔を近づける。恐らく私を脅しているつもりなのだろう。その高い鼻と、私を見下ろす目をぶん殴ってやりたい。
「出来る。私は絶対妖術師になる。雨宮さ……アンタは安心して、私に時間を与えればいい」
彼は私を睨んだ。当然だ。私ごときが御三家の妖術師に意見するなど決して許されないこと。だからこそ、私は啖呵を切った。
彼に負けないよう、さらに目に力を入れる。怯んじゃダメだ。妖術師になるにはもっと辛いことが待っているのだから。
「……ふっ。流石新宮の人間やぁな。アイツ……未来とは違った強さがある」
彼は突き放すように私から手を放し笑った。彼の笑顔は姉と違い、非常にムカつく者だった。
「えっと……新宮二世、」
「結、です」
人の名前くらい覚えろよ。人付き合いの基本だろ。
「名前なんて何でもええやん」
「……そうですね」
バレないように舌打ちをかます。ああそうだった。コイツ、こういう人間だった。
「不満が顔に出てるでー」
「すみません。ポーカーフェイスは苦手なので」
「ま、安心せぇ。お前が無事にマインドコンダクタ―になれたら、覚えてやるわ」
「……絶対に覚えさせます」
「その意気だよ、新宮二世。一週間くらいは楽しませてや、雑魚妖力者?」
「いいですよ。その嫌みしか言えないひん曲がった不細工な口、叩きつぶしてやりますよ」
傍から見れば私は命知らずの愚か者だ。妖術師、しかも雨宮家の長男にここまでメンチを切る妖力者など数百年の歴史の中で私だけだろう。
もしかするとこの場で殺されていたかもしれない。でもそれでもいいと思った。
妖術師になれないなら、私の命に価値はない。死んでも構わない。
「私は絶対に妖術師になる。世界で一番の善人を殺したアイツらを断罪するために、私がマインドコンダクタ―になる。私が……新宮家の次期当主として、お姉ちゃんの正義の味方になる」
「……口だけにならないことを願う。俺から言えることはそのくらいだな」
それから私は一度も家に帰ることなく、半年ほどの期間、この家で過ごした。
「本当に、いいんだな?」
「……はい」
この世は不公平だ。ルールもクソもない悪人はしぶとく生き続け、他人を大事に思い、自分で決めたルールを守り続けた善人は死ぬ。そんなの、私が許さない。
どんな理由であれ、人を殺せば悪人。それでもいい。私は、それでも正義の味方でいたい。たった一人の、誰よりも優しい彼女の、味方でいたい。
「いただきます」
それが、それだけが、私が妖術師になる理由。
命の感謝を、小学生のように手を合わせ、挨拶をする。
ご立派な漆器の椀に閉じ込められた妖物を箸で摘み、躊躇いなく口に運ぶ。
妖物を食べる、それは隊則違反ギリギリの行為、妖力界では、禁忌とされている行為だった。
一応、完全に祓われたと確認済みの妖怪の肉なので、隊則違反ではない。しかし、これを喰った者は記録上、起源となる妖術師の三名のみ。いくら妖力者と言っても、妖物を食べるのは危険とみなされ、暗黙の了解として扱われていた。
案の定、死には至らなかったものの、頭痛、腹痛、精神的苦痛が続いた。
今でこそ和らいではいるものの、あの半年間は地獄だった。絶対に、あやかしに喰われたほうがマシだろう。
その中で行われた戦闘訓練はこの世界にいる誰もが味わったことない苦しみだった。
「どうした? 限界か? パパが待ってるお家に帰るか?」
「うるさい……! 帰る訳ないでしょう!」
頭は圧縮され、腹は雑巾のように絞られ、足は鉛のように重く、体を動かすたびに全身に針を打たれたような感覚。その中でまだ出来もしない妖術式を使い、雨宮家が用意した妖怪と戦うという無理難題を終日、繰り返した。
雨宮家で過ごした半年間を、私は一生忘れない。
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