適正異世界

sazakiri

文字の大きさ
上 下
15 / 129

第15話

しおりを挟む
今、俺たちの前には壁がある。
そしてあと30秒でここは完全に崩壊する。
どうするんだこれ
「トーマさん」
「なんだ?」
「私に任せてください」とセツナが言う
この言葉を何回聞いたのだろう。
「頼む」
だが、ここはこいつがこの壁を破壊しなければ明らかに俺たちは天国直行だ。こいつを信じるしかない。
「サーヴェント・フレイム」とセツナは唱えると
セツナの本から魔方陣らしきものが出現した。
そして巨大な焔の球体を壁に放つ。
「バァァァァァァン」
音をたて砂ぼこりが舞う。
「トーマさん!私やりましたよ!」
「おう!」
今改めてこいつが魔術師だと言うことを知る。
「早く出口へ!」
「分かってる」
二人で出口まで全力で走る。
後からは崩れ落ちる落石の音がしているが、今は振り向く余裕はない。

そして俺たちは洞窟を脱出することに成功した。
「危なかったですね!」
「誰のせいだとこうなったのか覚えてる?」
「えへへ」とセツナが苦笑いする。
「でも助かった」
「え?」
「あの時壁が破壊できなかったら俺たち死んでただろ?」
「そういえばそうですねぇ」
こいつは他人事みたいに言ってるが実はすごいやつなんだな。

「じゃあトーマさん!」
「ん?」
「この森を脱出しますよ!」
「あぁ…そうだったな」
そういえばこの森も「死亡の森」っていう異名がついているんだった。
「帰り道をしってるのか?」
「知らないですよ?」
「は?」
なにを言ってるんだこいつはさっきの尊敬の感情を返せよ。
「あれれ?トーマさん?」
「なんだよ」
「テレポート知らないんですか?」
「テレポート?」
「指定した場所にワープできる魔法ですよ!」
「どこにでもか?」
「どこにでもではないです!あらかじめ魔法陣を仕込んでおくんですよ」と説明してくれる
「なるほどな」
こいつは便利な魔法だな。俺も習得できれば良いんだが。魔法って難しそうだしなぁ。
「じゃあワープしますよー」
「おう」
「トーマさんは私の何かを掴んでくださいね!」
「なにかってなんだよ?」
「うーん」
「?」
「あ!今なにかエッチなこと考えましたね!」
「考えてねぇよ」
こいつはすぐそうゆう考えになるからな
「じゃあ杖を掴んでください」
「分かった」
「じゃあ行きますよー!」

「テレポート・ザ・ドア!」とセツナが唱えると
ガチャっと音がしてセツナの頭の上に扉が現れた。
「出発!!」と掛け声と同時に俺たちは扉に入った。

眩しい光を浴びたあと目を開けると…
そこには美しい緑が広がっていた。
しおりを挟む

処理中です...