適正異世界

sazakiri

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第35話

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「おい」
「なに?」
「まだ着かないのか?」
「まだ少ししか歩いてないよ?」
「そうか…」
「うん」
今俺と桜川はごく普通の会話をしている。
俺が「あとどれぐらいで着くんだ?」と聞き。
「まだ少ししか歩いてないでしょ?笑」と言う。
これは他のラブコメとかなら良いシーンなんだろう。

しかしだ。
俺はこいつに時間を尋ねた。
そしてこいつは「まだ少ししか歩いていない」と答えた

本当にそうだろうか?
答えはNOだ。

今俺たちは宿を後にして一時間は経過している。
極めつけにはさっき同じ道らしき風景を見たことだ。
これはヤバいのでは?

「おい」
「なに?」
「まだ着かないのか?」
「まだ少ししか歩いてないよ?」
「そうか」
「うん」
「……」
「……」
「嘘つけ」
「はぁ!?なんだよ?!」
「ここ同じ道なんだよ!」
「そうかしら…?」
「こんな短時間で見間違いするわけねぇだろぉが」
「でもね!」
「なんだよ」
「ほら!たくさん異世界の景色を楽しめるでしょ?」
「やかましいわ」

「はぁ…」
俺はため息をつく。
マジでこんな所で迷子イベント発生はヤバいだろ。
このまま日が暮れれば宿はどうするんだ?
また借金か?
いや、こんな迷っていることを認めないやつがまたギルを貸してくれるとは思えん。
つまり……野宿というわけか。

「おーい」
「なんだよ」
「もうお昼だし、ご飯食べない?」
こいつはホントに呑気なやつだな。
「あぁ」
「しかしこんなに遠いとはねぇ」
「それはお前が迷ってるからだろ」
「はぁ?案内してもらってる人に対する言葉?」
「はぁ…」
これは疲れるタイプの人だ。

「ねぇねぇ!」
「今度はなんだよ?」
「ここにしましょ!」
桜川が指を指す先にはレストラン的な店があった。

「じゃあ行くか」
腹もそれなりに空いてるし、ちょうど良い時間だろう。

「しかしな?」
「なに?」
「本当に装備は買えるのか?」
「まぁ私にまかせなさい」
「期待しないでおく」

「いらっしゃいませ!」
店に入ると人が出迎えてくれる。

「お二人ですか?」
「はい」
「じゃあこちらのお席へ!」
「ありがとうございます」
と案内される席へ向かう。

そこはテーブルが1つと椅子が2つの席だった。

「注文をどうぞ!」

「んー」
そう言って桜川が考える素振りを見せる。
「じゃあこのダイギュのステーキで!」
おいおい…
なんだよそれ?俺そんなもの知らないんだが。

「そちらのお客様はなにになされます?」
「じゃあ俺も同じので」
「かしこまりましたー」
定員の人が注文を厨房に届けに行く。

さて食べれるものが来ると良いが。
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