適正異世界

sazakiri

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第45話

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「トウマさんはこの世界の人じゃないんですか?」
「……」
「そうよ」
「おい!」
桜川のやつが勝手に返事を代弁する。
「え?!本当なんですか?トウマさん」
「まぁ合ってるけど…」
ここまで言ってしまったら隠しても無駄だな。
無駄な足掻きをするほうが罪が重くなるかもしれん。

誰にでもこんな経験あるだろう。
例えばテストの点が悪くて、親に見せてないとする。
すると時間が経ってしまったら聞かれてしまう。
そういう場合早く見せた方が多少怒られないものだ。
まぁ俺はそんなことなかったが。
は?っと思った人も居るかもしれない。
説明しよう!
俺は別に勉強ができる方ではない。
むしろ出来ない方である。
なら、なぜ聞かれないのかって?
そう。親は俺に興味がないのかもしれん。
だが、悲しいとかいう感情はないぞ?

「トウマさん!」
「うぉっ」
「なに驚いているんですか?」
「すまん」
「驚き方キモいわよ」
「うるせぇ」
頭の中で1人で会話してたら、周りが聞こえなくなる。
自分の世界ってやつだ。
そのせいで桜川のやつにバカにされたんだが?
まぁこんなやつにバカにされても何も思わないが。

「あのー」
ルナが俺たち二人に向けて話しかけてくる。
「御二人は同じ世界から来たんですか?」
「あぁ…そうだと思うが」
「悔しいけどね」
「やかましいわ」
まじでいちいち突っかかってくるなコイツ。

「二人は何歳なんです?」
「俺は17だ」
これでも俺は今高校2年生なのである。
「私もよ」
まぁだろうな。
同じ学校の制服着てるし

「俺たちは同じ高校だからな」
「え?!」
「ん?」
桜川のやつが驚いた表情を見せる。
「なんだよ?」
「なんで私とあんたが同じ高校なわけ?」
「だって制服で分かるだろ?」
「気持ち悪い!」
「なにがだよ」
なんで理由言ったら暴言を言われるわけ?

「私のこと見すぎなんじゃないの?」
「見てねぇよ」
「嘘をつくな!」
「ほんとだよ」
「なら良いけど…」
まじで諦めが早いところが余計に腹が立つ。

「大体な」
「なに?」
「同じ学校なら一度ぐらい顔を見たことあるだろ?」
「まぁ…そーね」
「ん?」
「なんでもないわよ!」
「ならいいけど…」
なんなのこいつ?
急にテンション落ちるじゃん。

「あのー」
「なんだ?ルナ」
「コウコウってなんですか?」
「それはな…」
「はい!」
ルナが笑顔を見せて聞いてくる。

まぁ現世から来たことに比べれば大したことはない。
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