適正異世界

sazakiri

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第106話

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さて…とりあいず、探してみることにはしたが…
何処から行くのかが問題だ。
下手すれば、今日中に見つからんかもしれない

「アリス」
「なに?」
「とりあいず、新聞を買うのが良いと思うのだが」
「確かに…それが良いかもね」

まずは新聞を買うことを目的にした。
理由は簡単。
何処で捕まったとかが書いてあったら、大体の場所は予想できるからだ。
あとはそこで、聞き回りとかすれば……

これは案外、良い策なのでは?

「アリス」
「なに?」
「今、俺たちは何してるんだ?」
「ゴミ漁りだけど?」
「ゴミ漁りだけど?じゃねぇよ…」
さっきまでの完璧かと思われた策は何処に?

ご覧のとおり、俺とアリスは今、ゴミを漁っている。
逆にどうやったら、こーなるかって?

それは俺が聞きてぇよ…

「なぁアリス」
「なーに?」
「なんで俺たちはゴミを漁ってるんだっけ?」
当然の事ながら、漁っていたアリスが逆に怖い。
俺は思ったことをそのままこいつに問いかける。

「トウマはこの街に来てから、間もないから知らないかも知れないけど…」
「新聞は朝しか売ってないんだよ」
「あー…そゆこと」
なるほどね…確かに理解できた。

でもこれはこの街だけのことでは無いことを思い出す。
俺が住んでいた現世でも、「新聞配達」っていう言葉は存在していた。

新聞配達っていうぐらいだから、朝一番に新聞を配達する。
まぁ今はコンビニとかの普及でそーゆうのは無くなり始めてるらしいけどな。

だが…この世界には「コンビニ」っていう単語は存在しない。

つまり前者の新聞配達が主流なハズだ。
そしてさっきアリスが言っていた通りに、朝にしか街中でも売らないという始末。

この連鎖が重なって、俺たちは今、ゴミを漁っている。

「ん?」
アリスが声をだす。
「どうした?」
「これはもしかして…」
「あったか?!」
まさかの早期発見かのかもしれない…

これなら、今までの災難も水に流して…

「違った」
「なんでだよ」
はい。安定の流れです。

「期待したのに…」
「しょうがないでしょ?紙だったんだから」
「まー、見えなくもねぇけど…」
「でしょ!」
「喜ぶのは違うぞ」
「まぁ、トウマも現実を受け入れな」
「へいへい」

ないやかんやで一時間が経過した。
そう。このゴミ漁りで。

「おい」
「なに?」
「結局新聞なんて無かったんですけど??」
「しょうがないよ!運がからんでるんだから!」
それなら、最初から選ぶルートではないだろっていう言い分は心の中に止めておく。 

まぁそんなことより…
「しかしな…アリス?」 
「なに?」
「これは本当に運が重要なのかなぁ」
「当たり前だよ!そんなゴミ箱にタイミング良く新聞が入ってるなんてこと!」

「じゃあ…このゴミは何処の店なんだろうなぁ」
「そりゃあ…この店のだよ!」
「だろぉ?」
「うん!」
「じゃあこの店って何売ってのかなぁ」
「そんなの料理に決まってんじゃん!」

「それだよ」
うん。それだよ?
そもそもゴミを漁るっていう最終手段に対して、料理店のゴミを漁るやつおる?

いましたね!はい。僕たちです

「いやー、ミスっておるよね!」
「やかましいわ」
「まぁ一時間で済んだだけマシ的な?」
「はぁ……」
俺はため息を漏らす。

さて、これからどうするかなぁ…
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