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第十話-1
しおりを挟む夕食は携帯食に焼いた怪魚がついていた。
騎士団の面々も、生徒達も、これがモンスターの残骸だとは知らず近隣の村からの差し入れとして有り難く頂いたらしい。知っているのは俺とマグナスだけだ。
エルヴェはオーギュストの立場を最大限に利用して、夕食を三人分テント内で食べられるようにしてくれた。
上げ膳据え膳で何もかもをエルヴェがやってくれるので、これは慣れてしまったらダメになりそうだと思った。
俺はオーギュストのような王族ではないのだから、勘違いしないようにしなくては。
「ウォルフハルド様、魚の骨が取れました」
「うん」
「はい。お口を開けてください」
「ん」
隣でオーギュストでさえ魚の骨くらい自分でとっているが?なんなんだこれは。どういう状況だ。
何故か俺はエルヴェの膝にどっかりと座って寄りかかり、後ろから回された手でせっせと給仕をされている。
いや、これは給仕なのか?介護では?勘違いしないようにと思ってる側からこれだ。
テント内には食事用の椅子やテーブルがあるわけではない。
厚めの敷物の上に寝床を作っているその一角に、食事場所としてさらに布を敷き、寝床に座っていた。
こんな場所でオーギュストが黙々と食事をしているのも目を疑うが、俺はなんでこんな幼児みたいに食事をさせられているのか。
まあ楽なのでいいんだが……。エルヴェも心底楽しそうなのでいい……のか?
「……ウォルフハルド様、殿下が羨ましそうなので」
「ん?」
「携帯食に触れて汚れた指や、口元を清める役割を与えたらいかがでしょう」
「……そうだな。オーギュスト、来い」
先に食事を終えていたオーギュストを呼ぶと、彼はいそいそと近寄ってきて俺の前に跪いた。エルヴェは俺の椅子になったまま器用に食事の後片付けをしている。
クッキーのように穀物を焼いた携帯食は、指で摘まむと粉になりやすい。それに汚れた俺の手を恭しく引き寄せると、オーギュストは舌を使って指先をぺろりと舐めて清めた。
す、と僅かに薬草の匂いがして、彼が食事を終えたあと洗浄魔法で口と身体を清めてきたのだと判る。恐らく俺に呼ばれるのを考えて、だ。
……うん、本当にけなげで可愛い犬だな。
「オーギュスト」
指だけでなくこちらも、と顎を上げると柔らかな舌が俺の口元をぺろぺろと撫でていった。
唾液が触れる感じはあるが、同時に洗浄魔法を使っているのでベタつく感じは全くない。ほのかに温かくて、香り付けに使われている薬草の匂いが心地良いくらいだった。
これはオーギュストが独自に編み出した魔法なのだろうか。
一気に全身を洗浄すれば簡単だろうに、こんな触れ方でもどかしく清められるとは思わなかった。毎日身体を拭かれていた心地良さを思い出してしまう。
「湯がないのが残念だな。サロンのようにはいかないか」
「……全身、私が清める」
「俺の全身をなめ回す気か?舌が疲れるからやめておけ」
しゅん、と少し項垂れたオーギュストだったが、そのまま俺の目元までぺろぺろ舐めてくる。
そして鼻先、唇、顎まで。洗浄魔法が触れるたび、ふわりと心地良さが通り抜けていく。
ふと、後ろからエルヴェの魔力を感じた。自分の手など一部に洗浄魔法をかけていたのを横目で確認する。
「殿下の真似をしてみました。私も出来そうです」
「そうか。……2人ならどうだろう」
「そうですね。2人なら全身ではなく半分ですから、ご心配なく。ウォルフハルド様」
にこ、と笑ったエルヴェが俺の耳朶にキスを落した。
カチャリ、と眼鏡が軽くぶつかって音をたてる。ふう、とため息をついたエルヴェは眼鏡を外して服にしまい込んだ。
いつもは硝子越しの紫の目が、すっと間近で細められる。
「よろしいですよね、ウォルフハルド様」
※
オーギュストと、その側近のエルヴェの連携はとてつもなく良い。
目で合図なども必要ないほどお互いの動きを熟知していて、俺に触れる時も迷いなくそれぞれの最善を選び取ってくる。
「……ぁ、……ん、んっ」
半分、と言っていたから右半分と左半分でわけたのだと思ったが、股間に関しては違うらしい。
俺は四つん這いになってオーギュストの顔の上に跨がり、口淫をうけていた。後ろからはエルヴェが、持ち上げた俺の尻を両手で割ってアナルを舐めてくる。
腰を下げるとオーギュストを窒息させてしまいそうだが、ぱちぱちと弾けるような強い快感に力が入らない。
エルヴェが腰を支えていなければ崩れ落ちていただろう。
苦手なアナルの濡れた感触に意識を向けるヒマもなく、前後からの快感の嵐に翻弄された。
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