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番外編(ゲニウス)
3
ハッと目覚めたら肩に上着がかかっていた。寝不足だったせいで作業場で眠っていたらしい。
永遠を生きるだの未来の精霊だのというなら、まず睡眠と食事がなくても生きられるようにしてくれ。切実にそう思いながら俺は身体を起こした。
かかっていた上着はルイスのもので、それを持ち上げたら俺の膝で持ち主が眠っていた。
「……」
俺の膝に頬を乗せて、床に広がるローブの裾に座り丸まって寝ている。……器用な奴だな。
膝の上のぷくりとした頬に指先を軽く沈ませてみた。「んん」とわずかに眉を寄せて俺の膝にまた頬をすり寄せてくるから、思わず吹き出して笑ってしまう。
「あれ、……師匠?」
笑う振動で目覚めたルイスを抱き上げ、膝の上に抱き上げた。
寝起きの気怠そうな様子は思ったよりも色気がある。こいつは俺と夜を過ごすようになってから、子供っぽさが薄れて妙に色気を醸し出すようになって困っていた。
小さくあくびをしたルイスの目元は涙に潤んで、抱き寄せる俺の体温に心地よさそうに身を擦り付けてきた。
「は、……誘い方が上手くなったな、ルイス」
「えっ、さそい……って! え、え、あの……ごかいっ……」
下肢のベルトに手を伸ばし、背中を支えたままそれを一気にずり下げて後ろへ放った。細く見えるわりには山育ちでしっかり筋肉のついた太股が露出して、俺は唇の端をつり上げる。
「昨日可愛がった分、まだ柔らかいな」
「っあ、……っん、ぁんっ……」
引き締まった白い尻に指を這わせ、ヒクつく穴に指を潜らせる。吸い付くような内壁が俺の指を食い締めた。
作業台に転がっていた未開封のグリスを開けて、滑りを後ろへ足していく。濡れた音を立てすぐに綻んできたそこは俺の指を柔らかく飲み込んでいた。十分に解れているそこから指を引き抜き猛った熱を押し当てる。
「――ッ」
ぬかるんだ穴に先端を押し込んだ直後、工房の方でチリンと呼び鈴が鳴った。
――こんな時間に来客か。さて、この時間だとヴィセンテか、ルイスの馴染みの店員か。
向こうで窓辺の猫に話しかける声がわずかにしている。扉が分厚いので男か女かもわからない。
「……ッ、ぅ……んっ」
ルイスは目を見開いて硬直していたが、その中へゆっくりと俺をねじ込んでいった。批難するような視線を向けられたが知ったことか。ここは俺の工房なんだから、取り込み中にきた客なんか相手にする必要はない。無視だ、無視。
作業場の扉を無断で開けてくる命知らずはいないだろうが、俺もルイスも一応服は着ているように見える。ルイスは上に着ている服の裾が長いから、ほぼ下肢が隠れていた。
「や、……ししょ、……ッ」
それでもルイスは人の気配が嫌なのか、首を横に振って声を堪えている。中もいつもより締め付けが強い。軽く揺らしてやるだけで良い所に擦れるらしく、ルイスは震える息を吐きながら俺にしがみついてきた。
「煽るんじゃねえよ」
「……っ、ちが……――ッ!」
頭の後ろを強く掴み、口付けてルイスの声をすべて封じた。その状態で俺は抱き上げた身体を作業台の上へ押し倒す。
ガシャッ、といくつか箱が押しやられて音を立てたが構っている余裕がない。
いつもなら甘えるようなルイスの喘ぎを心地良く堪能するところだが、今日は仕方ない。口付けたまま腰を揺らし、深く、奥まで突き上げる。
ビクビクッと背を震わせながらルイスがイッた。見たところ精液は漏れていないので、中だけで絶頂できるようになったのか。
「……まだ付き合えるだろ」
「っ、ぁ……――ッ!」
店舗の方の人の気配はとっくになくなっていたが、ルイスはそれに気づかない。泣きそうな顔のまま声を堪え、必死に快感をこらえているのが堪らなくそそる。
「――は、……ッ」
二度目の絶頂の締め付けを感じながら、中に白濁を注ぎ込んだ。
俺のものだと教え込むように身体の奥深くへ、ねじ込んで染めていった。俺しか知らない身体はすぐに蕩けて、匂い立つような色香を放つ。
もう本当の意味でのルイスの価値は、俺しか知らない。俺だけのものだ。誰にも奪わせない。
「ルイス……」
オパール色の目から宝石のようにこぼれ落ちた涙を舌ですくい取り、再び熱を持った下肢を揺らして、激しく突き上げた。
――夕暮れの工房で、半裸のままルイスはベッドに転がっていた。
俺の背に半分乗っかり、何故か編み込みの金髪を編み直して遊んでいる。
「楽しいのか、それ」
「すごく楽しい……俺の作ったビーズ編み込んでもいい?」
「勝手にしろ」
鼻歌まじりに俺の髪を櫛で梳き、ルイスの繊細な指先が動くのを横目で見つめる。
そういえば、最初に俺の髪を編み込んで飾り立てるようにし始めたのはルイだった。
師匠は自分の身なりは気にしないくせに、神殿に立ち寄れば可能な限り俺の服を新調した。子供の成長は楽しいね、などと目をキラキラさせていた気がする。
――ルイが死んだのは、一緒に旅を始めて十五年ほど経った頃だった。
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