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17話 瞳と同じ緑色のドレス
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「来月がディミーさんの誕生日なんですか?」
「言ってなかったかしら? 一階の大広間で、毎年ちょっとしたパーティをするの。だからドレスをオーダーしましょ。生地見本が届いているのよ。そうだ、ニコラも呼ばないと」
談話室で週末ワイン会の準備をしていると、マリトが大きな本を持ってきて、そんなことを言い出した。
使用人にニコラへの言伝を頼むと、マリトはテーブルの上に重たそうな本をどさりと置いて、分厚いページをめくる。
そこには実物の布が見本として貼られていて、手触りや光沢を確かめられるようになっていた。
「この中から希望するものをいくつかリストアップしたら、実際に布を持ってきてくれるわ。採寸のときにそれを身に当てながら、デザインを決めるのよ」
マリトはウキウキとドレス製作の工程を教えてくれる。
エーヴァには、全く身近ではない世界の話だ。
そこへ呼ばれたニコラがやってきた。
「マリトさん、私は、今年のお誕生日パーティは欠席します。ちょうど、試験勉強の追い込み時期なんです」
「あら、残念ねえ。勉強は順調に進んでるの?」
「おかげさまで、手ごたえはあるんです。しっかり2年かけて、勉強させてもらったおかげです」
ニコラはそう言って礼をすると、談話室を出て行った。
「ニコラさんは、何の勉強をされているんですか?」
「ナニーの資格を取るために、頑張っているのよ。娼婦だった過去を乗り越えるには、それくらいの資格がないと駄目だって、奮起しているの」
エーヴァは自分も田舎町を出るために、教わる相手もいない中、必死に勉強したことを思い出した。
エーヴァが取得したのは教員資格だったが、子ども相手という点では共通している。
なんとなくニコラに親近感を覚えたエーヴァだった。
「エーヴァさんには、この辺りの緑色が似合うと思うのよ。どうかしら? ディミーの瞳と同じ緑色のドレスをまとって、自分をプレゼントにするというのは?」
すっかりドレスのことが頭から抜けていたエーヴァに、マリトの爆弾発言が飛んでくる。
「マ、マリトさん、そ、その、どういう……?」
「うふふ、二人の関係、けっこう進んでるんでしょ? この間、顔を真っ赤にしたディミトリスが、ずっと執務室で呆けていると家令から密告があったわ。私の予想では、エーヴァさんが唇へのキスを許したのではない?」
恋愛経験の少ないエーヴァは、自分のどこからそんなに情報が駄々洩れしているのか分からなかったが、マリトの言うことは正解だった。
つい先日、これまでは頬にキスしていたディミトリスに、エーヴァは唇を差し出した。
ラーシュ以外とする、初めてのキス。
ちゅっちゅと音を立てて、嬉しそうに何度もディミトリスはついばんできた。
ディミトリスの顎髭はやっぱり柔らかくて、もしょもしょとエーヴァの肌をくすぐったのを思い出す。
エーヴァが顔を真っ赤にさせたので、マリトはしてやったりという顔をした。
「当たりね! 良かったわ、順調に交際が続いているようで。なにしろディミトリスは初恋でしょ? どうなるか危ぶんでいたのよ」
マリトは緑色の布見本のページを開いたまま、それをエーヴァの方に押しやる。
そしてペールの中から冷えたスパークリングワインを取り出すと、栓を開け始める。
「やっぱりいいことがあったときは、泡よね。お行儀が悪いけど、今日だけは盛大に飛ばすわよ!」
マリトはそう言うと、ポーンッと音をさせて、コルクを高々と天井に向けて放った。
放物線を描いたコルクは、厚手の絨毯の上に着地して、コロリと転がる。
しゅわしゅわとあふれそうな金色のワインを、慌ててフルート型のグラスに注ぎ入れ、エーヴァにも渡してきた。
「乾杯しましょ。二人の素敵な未来に!」
「マリトさん、応援してくれて、ありがとうございます」
チンと小さく音を立てて、グラスを合わせると、エーヴァは冷たいワインを喉に流す。
パチパチと弾ける気泡と、きゅっと引き締まった辛口のワインが、火照った体に心地よい。
飲み干したエーヴァのグラスに、マリトがすぐにお代わりを注ぐ。
「それで、どうなの? エーヴァさん自身をプレゼントにする案は、却下かしら?」
マリトの中で、緑色のドレスの話はまだ続いていたようだ。
エーヴァも大人だ。
いつまでも、キスのままでいいとは、思っていない。
ディミトリスからは、はっきり愛していると告げられているし、唇を許したエーヴァの気持ちも、きっと伝わっているだろう。
始まりのきっかけが欲しいエーヴァにとって、マリトの案は悪くない。
「いいえ、私、マリトさんの案を採用します。緑色のドレスにします」
「そうこなくちゃ! じゃあ、生地の説明をするわね。この生地は厚みがあって、体に沿わせるタイプのデザインにはいいけど、ドレープをつくるのには適していないの。逆にこっちの生地は――」
そこからは、見本誌を間にしてマリトのファッション勉強会が始まり、エーヴァは緑色の生地のページを、隅から隅まで学ぶことになった。
「マリトさん、ドレスと同布でチョーカーを作りたいのですが、どれが相応しいですか?」
「なるほど、よりプレゼント感を出すのね。いいアイデアだわ!」
それから二人で生地の候補を絞り、夜遅くまでドレス談義は盛り上がった。
具体的なことを考えているうちに、エーヴァの決心も固まってきた。
いつまでも、ディミトリスからの愛を、受け取るだけでは嫌だ。
ディミトリスに、愛を返せる人になりたい。
空っぽになっていたエーヴァの心は、今やディミトリスからの愛で満ち、溢れんばかりとなっている。
エーヴァはもう、必要とされない存在ではなく、ディミトリスにとって、かけがえのない存在となった。
あの夜に受けた傷は、完全に塞がっていた。
一歩を踏み出すのはこの機会しかない。
ディミトリスの誕生日が、二人の新たな門出の日となるのだ。
◇◆◇
翌々日、朝の早いうちから、仕立て屋が大量の織物を抱えてやってきた。
マリトとエーヴァは、一番広い応接室で、それぞれ採寸をしてもらう。
そのため応接室には、家令の指示によって、大きな衝立が運び込まれていた。
胸が小さいことを気にしているエーヴァに、年配のネズミ獣人のお針子さんから、励ましの声が飛ぶ。
「大丈夫ですよ。お嬢さまの体形は、ドレスのシルエットが最も美しく映える体形です。堂々となさってください」
その言葉に力をもらって、エーヴァは初めての全身採寸の苦行に耐えた。
毎年オーダーしているマリトは、数値に差分が出ていないか部分的に確認するだけでよかったので、採寸が終わり次第、デザインの打ち合わせをしている。
「私のドレスはこんなところね。次はエーヴァさんのドレスなんだけど……」
採寸に時間がかかっているエーヴァに代わり、昨日夜遅くまで話し合った案を、マリトがデザイナーに伝えてくれる。
自分ではうまく伝えられるか不安だったエーヴァは、マリトに感謝した。
「ふむふむ、プレゼントのリボンのように、ですね。では、こういう感じはどうでしょう?」
その場で、しゃっしゃと鉛筆を滑らせ、画を完成させていくシマウマ獣人のデザイナー。
どうやら、その仕上がりがマリトのお眼鏡に適ったようだ。
「いいわね、大胆に開いた背中に、揺れるリボンが流れる感じがセクシーだわ。そうすると生地は光沢があって、軽やかなほうが合うわね?」
大胆に開いた背中という言葉に、ビクッとしたエーヴァだが、お針子さんから「動かないでくださいね」と言われて元の姿勢に戻る。
このままマリトに任せていては、マリト仕様のアダルトでゴージャスなドレスが出来上がるのではないか。
そんな不安にドキドキしながら、エーヴァは早く衝立の向こうに行けるよう、巻き尺を操るお針子さんに万全の協力体制をとる。
しかし、その努力は間に合わず、エーヴァが着替え終える頃には、マリトとデザイナーがガッシリと握手を交わしていた。
そして見せてもらったデザイン画を見て、エーヴァは全身から湯気を噴出させたのだった。
「言ってなかったかしら? 一階の大広間で、毎年ちょっとしたパーティをするの。だからドレスをオーダーしましょ。生地見本が届いているのよ。そうだ、ニコラも呼ばないと」
談話室で週末ワイン会の準備をしていると、マリトが大きな本を持ってきて、そんなことを言い出した。
使用人にニコラへの言伝を頼むと、マリトはテーブルの上に重たそうな本をどさりと置いて、分厚いページをめくる。
そこには実物の布が見本として貼られていて、手触りや光沢を確かめられるようになっていた。
「この中から希望するものをいくつかリストアップしたら、実際に布を持ってきてくれるわ。採寸のときにそれを身に当てながら、デザインを決めるのよ」
マリトはウキウキとドレス製作の工程を教えてくれる。
エーヴァには、全く身近ではない世界の話だ。
そこへ呼ばれたニコラがやってきた。
「マリトさん、私は、今年のお誕生日パーティは欠席します。ちょうど、試験勉強の追い込み時期なんです」
「あら、残念ねえ。勉強は順調に進んでるの?」
「おかげさまで、手ごたえはあるんです。しっかり2年かけて、勉強させてもらったおかげです」
ニコラはそう言って礼をすると、談話室を出て行った。
「ニコラさんは、何の勉強をされているんですか?」
「ナニーの資格を取るために、頑張っているのよ。娼婦だった過去を乗り越えるには、それくらいの資格がないと駄目だって、奮起しているの」
エーヴァは自分も田舎町を出るために、教わる相手もいない中、必死に勉強したことを思い出した。
エーヴァが取得したのは教員資格だったが、子ども相手という点では共通している。
なんとなくニコラに親近感を覚えたエーヴァだった。
「エーヴァさんには、この辺りの緑色が似合うと思うのよ。どうかしら? ディミーの瞳と同じ緑色のドレスをまとって、自分をプレゼントにするというのは?」
すっかりドレスのことが頭から抜けていたエーヴァに、マリトの爆弾発言が飛んでくる。
「マ、マリトさん、そ、その、どういう……?」
「うふふ、二人の関係、けっこう進んでるんでしょ? この間、顔を真っ赤にしたディミトリスが、ずっと執務室で呆けていると家令から密告があったわ。私の予想では、エーヴァさんが唇へのキスを許したのではない?」
恋愛経験の少ないエーヴァは、自分のどこからそんなに情報が駄々洩れしているのか分からなかったが、マリトの言うことは正解だった。
つい先日、これまでは頬にキスしていたディミトリスに、エーヴァは唇を差し出した。
ラーシュ以外とする、初めてのキス。
ちゅっちゅと音を立てて、嬉しそうに何度もディミトリスはついばんできた。
ディミトリスの顎髭はやっぱり柔らかくて、もしょもしょとエーヴァの肌をくすぐったのを思い出す。
エーヴァが顔を真っ赤にさせたので、マリトはしてやったりという顔をした。
「当たりね! 良かったわ、順調に交際が続いているようで。なにしろディミトリスは初恋でしょ? どうなるか危ぶんでいたのよ」
マリトは緑色の布見本のページを開いたまま、それをエーヴァの方に押しやる。
そしてペールの中から冷えたスパークリングワインを取り出すと、栓を開け始める。
「やっぱりいいことがあったときは、泡よね。お行儀が悪いけど、今日だけは盛大に飛ばすわよ!」
マリトはそう言うと、ポーンッと音をさせて、コルクを高々と天井に向けて放った。
放物線を描いたコルクは、厚手の絨毯の上に着地して、コロリと転がる。
しゅわしゅわとあふれそうな金色のワインを、慌ててフルート型のグラスに注ぎ入れ、エーヴァにも渡してきた。
「乾杯しましょ。二人の素敵な未来に!」
「マリトさん、応援してくれて、ありがとうございます」
チンと小さく音を立てて、グラスを合わせると、エーヴァは冷たいワインを喉に流す。
パチパチと弾ける気泡と、きゅっと引き締まった辛口のワインが、火照った体に心地よい。
飲み干したエーヴァのグラスに、マリトがすぐにお代わりを注ぐ。
「それで、どうなの? エーヴァさん自身をプレゼントにする案は、却下かしら?」
マリトの中で、緑色のドレスの話はまだ続いていたようだ。
エーヴァも大人だ。
いつまでも、キスのままでいいとは、思っていない。
ディミトリスからは、はっきり愛していると告げられているし、唇を許したエーヴァの気持ちも、きっと伝わっているだろう。
始まりのきっかけが欲しいエーヴァにとって、マリトの案は悪くない。
「いいえ、私、マリトさんの案を採用します。緑色のドレスにします」
「そうこなくちゃ! じゃあ、生地の説明をするわね。この生地は厚みがあって、体に沿わせるタイプのデザインにはいいけど、ドレープをつくるのには適していないの。逆にこっちの生地は――」
そこからは、見本誌を間にしてマリトのファッション勉強会が始まり、エーヴァは緑色の生地のページを、隅から隅まで学ぶことになった。
「マリトさん、ドレスと同布でチョーカーを作りたいのですが、どれが相応しいですか?」
「なるほど、よりプレゼント感を出すのね。いいアイデアだわ!」
それから二人で生地の候補を絞り、夜遅くまでドレス談義は盛り上がった。
具体的なことを考えているうちに、エーヴァの決心も固まってきた。
いつまでも、ディミトリスからの愛を、受け取るだけでは嫌だ。
ディミトリスに、愛を返せる人になりたい。
空っぽになっていたエーヴァの心は、今やディミトリスからの愛で満ち、溢れんばかりとなっている。
エーヴァはもう、必要とされない存在ではなく、ディミトリスにとって、かけがえのない存在となった。
あの夜に受けた傷は、完全に塞がっていた。
一歩を踏み出すのはこの機会しかない。
ディミトリスの誕生日が、二人の新たな門出の日となるのだ。
◇◆◇
翌々日、朝の早いうちから、仕立て屋が大量の織物を抱えてやってきた。
マリトとエーヴァは、一番広い応接室で、それぞれ採寸をしてもらう。
そのため応接室には、家令の指示によって、大きな衝立が運び込まれていた。
胸が小さいことを気にしているエーヴァに、年配のネズミ獣人のお針子さんから、励ましの声が飛ぶ。
「大丈夫ですよ。お嬢さまの体形は、ドレスのシルエットが最も美しく映える体形です。堂々となさってください」
その言葉に力をもらって、エーヴァは初めての全身採寸の苦行に耐えた。
毎年オーダーしているマリトは、数値に差分が出ていないか部分的に確認するだけでよかったので、採寸が終わり次第、デザインの打ち合わせをしている。
「私のドレスはこんなところね。次はエーヴァさんのドレスなんだけど……」
採寸に時間がかかっているエーヴァに代わり、昨日夜遅くまで話し合った案を、マリトがデザイナーに伝えてくれる。
自分ではうまく伝えられるか不安だったエーヴァは、マリトに感謝した。
「ふむふむ、プレゼントのリボンのように、ですね。では、こういう感じはどうでしょう?」
その場で、しゃっしゃと鉛筆を滑らせ、画を完成させていくシマウマ獣人のデザイナー。
どうやら、その仕上がりがマリトのお眼鏡に適ったようだ。
「いいわね、大胆に開いた背中に、揺れるリボンが流れる感じがセクシーだわ。そうすると生地は光沢があって、軽やかなほうが合うわね?」
大胆に開いた背中という言葉に、ビクッとしたエーヴァだが、お針子さんから「動かないでくださいね」と言われて元の姿勢に戻る。
このままマリトに任せていては、マリト仕様のアダルトでゴージャスなドレスが出来上がるのではないか。
そんな不安にドキドキしながら、エーヴァは早く衝立の向こうに行けるよう、巻き尺を操るお針子さんに万全の協力体制をとる。
しかし、その努力は間に合わず、エーヴァが着替え終える頃には、マリトとデザイナーがガッシリと握手を交わしていた。
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