23 / 32
23話 モグラ獣人ニコラ
しおりを挟む
夏はエーヴァの苦手とする季節だ。
角が抜け落ちて違和感がある上、少し動いても汗が出るし、体にこもった熱が逃げにくい。
北方出身者には、夏の体調不良はよく見られることだった。
逆に、ディミトリスやマリトは、南方出身なので夏に強かった。
きつそうにしているエーヴァを、二人は心配している。
「エーヴァ、今日は休んではどうかな? 顔色が良くないよ」
「血の気が引いているし、フラフラしているわ。エーヴァさん、お医者さんに診てもらいましょう」
小学校はすでに夏休み期間に入っている。
しかし、エーヴァは保護者との個人面談を控え、その資料作りのために連日残業をしていた。
それが祟ったのかもしれない。
このところ、ずっと吐き気がしていた。
朝食に出される大好きなライ麦パンも、残してしまう。
夏風邪を引いたのかもしれないとエーヴァは予想していたが、そうではなかった。
仕事を休んでベッドへ横になっていたエーヴァを、診察してくれたのはかかりつけ医のベンジャミンだ。
問診の間に、ロマナが前向きに治療に励んでいることも教えてもらった。
そしてベンジャミンが下した診断が、エーヴァは妊娠しているのではないかというものだった。
「エーヴァさんの症状は、夏風邪とは異なります。もう少し日数が経てば、お腹が大きくなって、はっきりするでしょう」
腕のいい産婆を紹介しますよ、とまだ状況を飲み込めていないディミトリスに言葉を残し、ベンジャミンは帰っていった。
「まあ! まあ! まあ! どうしたらいいの? こういうときは? 私じゃ分からないから、ニコラを呼んでくるわね!」
そう叫ぶと、マリトは興奮気味にエーヴァの部屋を出て行く。
いつもなら使用人にニコラを呼ぶよう頼むのだが、マリトも思考回路が追い付いていないようだ。
自らニコラの部屋まで走っていってしまった。
エーヴァは妊娠している可能性を指摘されてから、ずっとお腹に手をやり、そこを見ている。
「エーヴァ……その」
ようやく動いたディミトリスは、エーヴァの横たわるベッドの脇に跪き、エーヴァの手に己の手を重ねる。
「僕は今、とても嬉しいと思っている。だが、妊娠は女性ばかりがつらいと聞く。実際に、今もこうして苦しんでいるのはエーヴァだ。……エーヴァのつらさを、肩代わりできないことが僕は不甲斐ない」
慶事を喜びたいけれど、エーヴァのことが心配だ。
ディミトリスの複雑な表情が、そう言っていた。
エーヴァはディミトリスの手を握り返す。
「私も嬉しいと思っています。だけど、まだ実感が湧かないんです。……なんだか、ふわふわした気持ちで」
そう言うエーヴァは、少しだけ頬を赤らめた。
可愛いエーヴァに我慢が出来ず、ディミトリスはその頬にキスをする。
「何でも言って欲しい。エーヴァの望みは、全て僕が叶える。出産するまで、僕をエーヴァの手足だと思って」
きりっとした顔つきになったディミトリスは、エーヴァへの忠誠を誓う。
くすぐったい気持ちでそれを聞いていたエーヴァの耳に、ドタドタと慌ただしい足音が届いた。
音のする方へ顔を向けると、嬉々としたマリトが困惑顔のニコラの腕を引っ張って部屋へ入ってきた。
「さあ、エーヴァさんを見てちょうだい、ニコラの出番よ!」
「私が勉強しているのは、ナニーの資格なんですよ。赤ちゃんが生まれないと、私の出番じゃないんですよ」
マリトに強引につれてこられて、やれやれといった風情のニコラだったが、エーヴァにはおめでとうございますと笑顔で声をかけてくれた。
「ニコラさん、赤ちゃんが生まれたら、私にいろいろ教えてくれませんか?」
「そうだわ! ニコラがナニーの資格を取得したら、このままうちで働けばいいじゃない!?」
「マリト、それはニコラが決めることだよ。とは言え、僕もエーヴァも気心が知れたニコラなら、安心して任せられるんだけどね」
三者三様で妊娠の知らせに嬉しさをあふれさせるエーヴァ、マリト、ディミトリスの姿を見て、ニコラはおかしくなった。
まだ合格するかも分からない内から、娼婦あがりのニコラを、大事な子のナニーとして迎え入れようとしてくれる。
そんな3人の気持ちが嬉しかった。
ニコラは比較的裕福な家庭に生まれ育ったが、兄が悪友にそそのかされて怪しい投機に出資、大失敗して一家は多大な借金を抱えてしまう。
両親は返済のために、所有していたあらゆる私財を手放し、金の無心に駆けずり回った。
その隙に元凶である兄は行方をくらます。
まだ幼い妹にまで苦労をさせたくなくて、ニコラは自らも借金を背負い、高級娼婦となることを決意した。
しかし借金取りに薄暗い部屋へ誘導され、満足に内容を読めないのにニコラは契約書にサインをしてしまった。
モグラ獣人の目が悪いことは有名だ。
相手は最初から、世間知らずで箱入りのニコラを、だますつもりだったのだ。
4年で年季が明けるはずが、5年経っても借金の半分も返し終えていなかった。
おかしいと気づいたニコラが娼館の店主に楯突いているところを、接待で店に来ていたディミトリスが助けた。
ディミトリスは娼館が入っている建物の所有者に、このまま娼館で行われている不正を見逃すなら、こちらも警察への通報を躊躇わないと牽制してくれた。
ディミトリスは不動産業界で顔が利く。
睨まれたら商売がし難くなると思ったのだろう。
建物の所有者に促され、娼館の店主は娼婦たちと交わした契約書を書き直し、ニコラは自分が担った分の借金を返済し終えたのだ。
その後、家族が離散していたことを知り、帰る家をなくしたニコラを、ディミトリスは妻として迎え入れ、これまで支援し続けてくれた。
こんなことで恩が返せるとは思えないが、今のニコラに出来ることはこれしかない。
「必ず合格してナニーになります。お返事はそれからさせてください」
ニコラは毅然と宣言したのだった。
◇◆◇
エーヴァが校長先生に、妊娠したかもしれないと報告すると、体調に気をつけて、無理のない範囲で仕事をするよう約束させられた。
つい頑張ってしまうエーヴァに、校長先生なりに釘を刺しておきたかったのだろう。
保護者との個人面談については、副担任の先生が半分を受け持ってくれることになり、エーヴァの負担は軽くなった。
夏休みが終わると、生徒たちは学年が1つ上がり、エーヴァが受け持っていた学級には新しい担任の先生が就いた。
エーヴァが産休と育休を取りやすいように、校長先生が配慮してくれたのだ。
今、エーヴァは担任と副担任の補佐として、体調のいいときだけ小学校で働いている。
相変わらずディミトリスは、愛するエーヴァを壊れ物を扱うように大切に送迎した。
次第にディミトリスの存在が小学校でも公となり、二人の結婚の話が自然と広まっていくのだった。
そうして穏やかに週数を重ね、エーヴァのお腹はゆるやかに膨らんでいった。
間違いなく妊娠しているとベンジャミンが判断して、すぐに産婆の手配をしてくれた。
ベンジャミン推薦のキツネザル獣人の産婆が、定期的にエーヴァのお腹を観察しては、赤ちゃんは順調ですよと言ってくれる。
その言葉が嬉しくて、エーヴァはディミトリスと手を取り合って喜んだ。
秋も深まれば、ディミトリスとの結婚式が待っている。
産婆からは、ちょうど安定期だから、大丈夫でしょうとお墨付きをもらっていた。
デザイナーと試行を重ねたウエディングドレスが出来上がったとマリトが知らせに来たり、資格試験を受けたニコラが自己採点では合格圏内に入っていたと教えてくれたり。
エーヴァとその周囲は、温かく幸せな未来に向かって、進んでいた。
◇◆◇
そんなエーヴァとは裏腹に、疑心暗鬼になって神経をすり減らしているアンネのもとに、ようやくビリーからの連絡が入る。
「姉ちゃん、番さんが通ってる場所、やっと突き止めたよ」
角が抜け落ちて違和感がある上、少し動いても汗が出るし、体にこもった熱が逃げにくい。
北方出身者には、夏の体調不良はよく見られることだった。
逆に、ディミトリスやマリトは、南方出身なので夏に強かった。
きつそうにしているエーヴァを、二人は心配している。
「エーヴァ、今日は休んではどうかな? 顔色が良くないよ」
「血の気が引いているし、フラフラしているわ。エーヴァさん、お医者さんに診てもらいましょう」
小学校はすでに夏休み期間に入っている。
しかし、エーヴァは保護者との個人面談を控え、その資料作りのために連日残業をしていた。
それが祟ったのかもしれない。
このところ、ずっと吐き気がしていた。
朝食に出される大好きなライ麦パンも、残してしまう。
夏風邪を引いたのかもしれないとエーヴァは予想していたが、そうではなかった。
仕事を休んでベッドへ横になっていたエーヴァを、診察してくれたのはかかりつけ医のベンジャミンだ。
問診の間に、ロマナが前向きに治療に励んでいることも教えてもらった。
そしてベンジャミンが下した診断が、エーヴァは妊娠しているのではないかというものだった。
「エーヴァさんの症状は、夏風邪とは異なります。もう少し日数が経てば、お腹が大きくなって、はっきりするでしょう」
腕のいい産婆を紹介しますよ、とまだ状況を飲み込めていないディミトリスに言葉を残し、ベンジャミンは帰っていった。
「まあ! まあ! まあ! どうしたらいいの? こういうときは? 私じゃ分からないから、ニコラを呼んでくるわね!」
そう叫ぶと、マリトは興奮気味にエーヴァの部屋を出て行く。
いつもなら使用人にニコラを呼ぶよう頼むのだが、マリトも思考回路が追い付いていないようだ。
自らニコラの部屋まで走っていってしまった。
エーヴァは妊娠している可能性を指摘されてから、ずっとお腹に手をやり、そこを見ている。
「エーヴァ……その」
ようやく動いたディミトリスは、エーヴァの横たわるベッドの脇に跪き、エーヴァの手に己の手を重ねる。
「僕は今、とても嬉しいと思っている。だが、妊娠は女性ばかりがつらいと聞く。実際に、今もこうして苦しんでいるのはエーヴァだ。……エーヴァのつらさを、肩代わりできないことが僕は不甲斐ない」
慶事を喜びたいけれど、エーヴァのことが心配だ。
ディミトリスの複雑な表情が、そう言っていた。
エーヴァはディミトリスの手を握り返す。
「私も嬉しいと思っています。だけど、まだ実感が湧かないんです。……なんだか、ふわふわした気持ちで」
そう言うエーヴァは、少しだけ頬を赤らめた。
可愛いエーヴァに我慢が出来ず、ディミトリスはその頬にキスをする。
「何でも言って欲しい。エーヴァの望みは、全て僕が叶える。出産するまで、僕をエーヴァの手足だと思って」
きりっとした顔つきになったディミトリスは、エーヴァへの忠誠を誓う。
くすぐったい気持ちでそれを聞いていたエーヴァの耳に、ドタドタと慌ただしい足音が届いた。
音のする方へ顔を向けると、嬉々としたマリトが困惑顔のニコラの腕を引っ張って部屋へ入ってきた。
「さあ、エーヴァさんを見てちょうだい、ニコラの出番よ!」
「私が勉強しているのは、ナニーの資格なんですよ。赤ちゃんが生まれないと、私の出番じゃないんですよ」
マリトに強引につれてこられて、やれやれといった風情のニコラだったが、エーヴァにはおめでとうございますと笑顔で声をかけてくれた。
「ニコラさん、赤ちゃんが生まれたら、私にいろいろ教えてくれませんか?」
「そうだわ! ニコラがナニーの資格を取得したら、このままうちで働けばいいじゃない!?」
「マリト、それはニコラが決めることだよ。とは言え、僕もエーヴァも気心が知れたニコラなら、安心して任せられるんだけどね」
三者三様で妊娠の知らせに嬉しさをあふれさせるエーヴァ、マリト、ディミトリスの姿を見て、ニコラはおかしくなった。
まだ合格するかも分からない内から、娼婦あがりのニコラを、大事な子のナニーとして迎え入れようとしてくれる。
そんな3人の気持ちが嬉しかった。
ニコラは比較的裕福な家庭に生まれ育ったが、兄が悪友にそそのかされて怪しい投機に出資、大失敗して一家は多大な借金を抱えてしまう。
両親は返済のために、所有していたあらゆる私財を手放し、金の無心に駆けずり回った。
その隙に元凶である兄は行方をくらます。
まだ幼い妹にまで苦労をさせたくなくて、ニコラは自らも借金を背負い、高級娼婦となることを決意した。
しかし借金取りに薄暗い部屋へ誘導され、満足に内容を読めないのにニコラは契約書にサインをしてしまった。
モグラ獣人の目が悪いことは有名だ。
相手は最初から、世間知らずで箱入りのニコラを、だますつもりだったのだ。
4年で年季が明けるはずが、5年経っても借金の半分も返し終えていなかった。
おかしいと気づいたニコラが娼館の店主に楯突いているところを、接待で店に来ていたディミトリスが助けた。
ディミトリスは娼館が入っている建物の所有者に、このまま娼館で行われている不正を見逃すなら、こちらも警察への通報を躊躇わないと牽制してくれた。
ディミトリスは不動産業界で顔が利く。
睨まれたら商売がし難くなると思ったのだろう。
建物の所有者に促され、娼館の店主は娼婦たちと交わした契約書を書き直し、ニコラは自分が担った分の借金を返済し終えたのだ。
その後、家族が離散していたことを知り、帰る家をなくしたニコラを、ディミトリスは妻として迎え入れ、これまで支援し続けてくれた。
こんなことで恩が返せるとは思えないが、今のニコラに出来ることはこれしかない。
「必ず合格してナニーになります。お返事はそれからさせてください」
ニコラは毅然と宣言したのだった。
◇◆◇
エーヴァが校長先生に、妊娠したかもしれないと報告すると、体調に気をつけて、無理のない範囲で仕事をするよう約束させられた。
つい頑張ってしまうエーヴァに、校長先生なりに釘を刺しておきたかったのだろう。
保護者との個人面談については、副担任の先生が半分を受け持ってくれることになり、エーヴァの負担は軽くなった。
夏休みが終わると、生徒たちは学年が1つ上がり、エーヴァが受け持っていた学級には新しい担任の先生が就いた。
エーヴァが産休と育休を取りやすいように、校長先生が配慮してくれたのだ。
今、エーヴァは担任と副担任の補佐として、体調のいいときだけ小学校で働いている。
相変わらずディミトリスは、愛するエーヴァを壊れ物を扱うように大切に送迎した。
次第にディミトリスの存在が小学校でも公となり、二人の結婚の話が自然と広まっていくのだった。
そうして穏やかに週数を重ね、エーヴァのお腹はゆるやかに膨らんでいった。
間違いなく妊娠しているとベンジャミンが判断して、すぐに産婆の手配をしてくれた。
ベンジャミン推薦のキツネザル獣人の産婆が、定期的にエーヴァのお腹を観察しては、赤ちゃんは順調ですよと言ってくれる。
その言葉が嬉しくて、エーヴァはディミトリスと手を取り合って喜んだ。
秋も深まれば、ディミトリスとの結婚式が待っている。
産婆からは、ちょうど安定期だから、大丈夫でしょうとお墨付きをもらっていた。
デザイナーと試行を重ねたウエディングドレスが出来上がったとマリトが知らせに来たり、資格試験を受けたニコラが自己採点では合格圏内に入っていたと教えてくれたり。
エーヴァとその周囲は、温かく幸せな未来に向かって、進んでいた。
◇◆◇
そんなエーヴァとは裏腹に、疑心暗鬼になって神経をすり減らしているアンネのもとに、ようやくビリーからの連絡が入る。
「姉ちゃん、番さんが通ってる場所、やっと突き止めたよ」
4
あなたにおすすめの小説
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる