7 / 13
七話 バチバチの火花
しおりを挟む
やっぱりね。
ブルーベル王女さまは、ガッツリと肉食系だったわ。
我が家にもいたから、そのやり口は知っているわよ。
女の戦いは先手必勝、マウントを取りに来ているのでしょう?
出鼻をくじくのが一番だって、グレイスもシンデレラも言っていたわ。
「ソフィアさま、貴女って後ろ盾がないのですってね? 王子殿下のご寵愛が薄れてしまえば、あなたの味方はいなくなるわ。私が相手にするには力不足のようだけど、ご自身ではどうお考えになっているの?」
ソフィアの隠しようのない事実をあげつらい、戦闘意欲を削ぐつもり?
そんな初手、ありきたりすぎて痛くもかゆくもないわ。
どうせならシンデレラのように、いきなり噛み付いて来なさいよ。
あれは本当に痛いわよ!
そして血が出るわ!
「セオドアさまのご寵愛は深まりこそすれ、薄れることはありませんわ」
ソフィアは落ち着いて返答する。
王女さまがそんなギラついた目をしている限り、セオドアさまがその瞳を覗き込むことはない。
ソフィアが気をつけなくてはいけないのは、国民の総意のほうだ。
ソフィアよりもブルーベル王女が国益をもたらすと判断されてしまえば、上院議員だけでなく下院議員の支持も受けて、王子妃のすげ替えが行われるかもしれない。
今は米の関税を下げるためにこの国に来ている王女さまだが、本気を出せばもっとこの国に有利な手札を切れるはず。
そうなる前にソフィアも少し王女さまの鼻っ柱を叩き折っておこう。
あまりソフィアを舐めてやんちゃをするようだと、容赦はしないという意味を込めて。
「ブルーベル王女は、外交官である第三王子殿下の代理でいらっしゃったはず。この国で何か問題を起こせば、それは翻って第三王子殿下の不祥事となるでしょう。果たして、ディランシア王国の国王陛下はそれをお許しになるでしょうか?」
ブルーベル王女の顔がやや剣呑になる。
そうだ、ここは突かれたくない要点のはずだ。
第三王子殿下は、ディランシア王国の国王陛下が寵愛する側妃が生んだ王子だ。
第三という立場に関わらず、国王陛下の覚えはめでたい。
ブルーベル王女は正妃が生んだ王女だが、ディランシア王国の正妃と側妃の立場はほぼ対等。
寵愛があるだけ側妃のほうが上かもしれないという微妙さだ。
何か問題が起きたとき、国王陛下が切り捨てるのは正妃側だろう。
ディランシア王国の内情について知識武装してきてよかった!
「ふん、少しは歯ごたえがありそうね。でもそれだけよ。私が味方につけた高位貴族たちは続々と王子殿下の情報を届けてくれるわ。私に攻略できない殿方などいないことを思い知らせてあげる」
清楚な顔をして不敵な笑みを浮かべる王女さまとソフィアの間で、バチバチと火花が飛び散るお茶会は、その後すぐに解散となった。
「そうか、そんなことがあったのか。どうりでね」
今夜も、ブルーベル王女対策会議はソフィアの部屋で行われている。
すでにソフィアはセオドアさまの膝の上だ。
お茶会であったことを聞き、なんだかしたり顔のセオドアさま。
「何かあったんですか?」
「関税交渉の場以外で、ブルーベル王女とよく出くわすようになったんだ。奇遇ですね、なんて言っているけど、間違いなく僕の行動予定表をもらした高位貴族がいるはずだ」
そうでなければあの頻度はおかしい、とセオドアさまは言う。
「しかもなぜか僕の好きな色がベージュだと思われている。ソフィアの部屋をその色で内装したからかな? ブルーベル王女は毎回ベージュ色のドレスを着て関税交渉の場にやってくるんだ」
呆れた。
高位貴族たちがしていることは、ストーカーのほう助だ。
「だけどさすがに王女さまだね。質素に見えるベージュ色のドレスだけでは、国の威厳が保てないのだろう。パールが縫い付けてあったり、光沢のある布材だったり、僕の目にはてんで優しくないよ」
セオドアさまは目をすがめた。
関税交渉の場では向かい合わせに座っている二人だ。
どうしても光が目に入るのだろう。
「髪の色も瞳の色も、ブルーベル王女は僕と同じだろう? なんだか僕自身を見ているようなんだよね。舌なめずりしながら獲物をどう食べてやろうかと虎視眈々としている様なんてさ、ソフィアの前にいる僕のようだよ」
「え!?そ、それは、その!?」
油断した。
また甘いセリフをぶっ込まれた!
「こんな不毛な会議じゃなく、もっと有意義なことに使いたいよね、夜の時間は貴重なんだから」
セオドアさまに顎をすくわれ、いわゆる顎クイの状態でソフィアはセオドアさまと視線を合わせる。
思慮深いと言われるセオドアさまの瞳は、いつでもしっとり潤んでいるように見える。
それがとても色っぽくて、ソフィアはその瞳に捉えられるともう駄目だ。
「ソフィア、口を開いて。僕を受け入れて」
ここから何が始まるのか、もうソフィアは知っていた。
米の関税についての話し合いは、セオドアさまと下院議員が頑張って、なんとか平行線状態を保っている。
高級品の香辛料サフランが欲しい上院議員や、嗜好品を融通してくれるブルーベル王女との繋がりを希望している上院議員は、このままではらちが明かないと、セオドアさまにブルーベル王女を歓迎する宴を催してはどうかと進言したきた。
「せっかく遠くから来てくださっているのですから、せめて滞在中に夜会のひとつでも開いてはどうでしょう?」
「交渉でお疲れのブルーベル王女にも、なにか楽しみがありませんとな」
「王子殿下がダンスにお誘いすれば、喜ばれるのではないですか?」
「ああ、それはいい! 美男美女のお二人のダンスは、きっと絵になる!」
「宴の予算については、私どもが拠出したいと思っております」
金に糸目をつけず、しっかりと逃げ道を防いできた。
何が何でも、セオドアさまとブルーベル王女を縁づかせたいのだろう。
セオドアさまの隣にソフィアがいようとお構いなしに、ブルーベル王女の美点をぺらぺらしゃべる高位貴族たち。
ブルーベル王女を王子妃に据え、ディランシア王国からの優遇措置を受けたい思いで必死なのだ。
もう、その願望を隠そうともしない。
そっちがその気なら、こっちも容赦はしないわ。
ブルーベル王女はソフィアが恐れていた国民の総意を得るという切り札を切る気もないようだ。
国民を放ったらかしにする王女なんて、国民の損益に心を痛めない高位貴族なんて、ソフィアが叩きのめしてやる。
そうと決まれば段取りの鬼の血が騒ぐ。
こういう裏でアレコレする仕事は、ソフィアの適性なのかもしれないわね。
うんざりしているセオドアさまの顔色も読まず、宴の日取りや会場設営の担当決めで盛り上がる高位貴族たちの寝首をかく計画に、ソフィアはさっそく取り掛かるのだった。
ブルーベル王女に気に入ってもらおうと、高位貴族たちは気合いを入れて宴の準備をしてくれた。
おかげでこちらも計画を実行に移す時間が稼げた。
なにしろ重要人物の到着には、ある程度の日数が必要だったからだ。
ソフィアは入念に計画の見直しをしつつ、イザというときのために騎士団長のレオさんにも相談をした。
「それならシンデレラを起用するといいよ。まだ見習いだけど、いい仕事をするよ」
ソフィアの護衛としてシンデレラを傍付きにすることを薦められた。
「シンデレラは外見だけ見ればどこぞのご令嬢だ。きっとあちらさんも油断するに違いない」
中身は闘犬だけどな、とレオさんは笑う。
あ、やっぱり闘犬ですよね?
「では、当日の護衛はシンデレラに任せます。レオさんは万が一のためにセオドアさまに付いていてください」
ソフィアのキビキビした打ち合わせ姿に、レオさんは目を細めて嬉しそうにする。
「良かったなあ、王子にこんなにいいお嫁さんが来てくれて。この国も安泰だよ」
はっ!
さすが主従!
甘い言葉をぶっ込んでくるのは一緒ですか!?
ソフィアが赤い顔のままセオドアさまのもとに戻ったので、「レオに何を言われたのか」と嫉妬するセオドアさまから甘いお仕置きを受けたのはまた別の話だ。
ブルーベル王女さまは、ガッツリと肉食系だったわ。
我が家にもいたから、そのやり口は知っているわよ。
女の戦いは先手必勝、マウントを取りに来ているのでしょう?
出鼻をくじくのが一番だって、グレイスもシンデレラも言っていたわ。
「ソフィアさま、貴女って後ろ盾がないのですってね? 王子殿下のご寵愛が薄れてしまえば、あなたの味方はいなくなるわ。私が相手にするには力不足のようだけど、ご自身ではどうお考えになっているの?」
ソフィアの隠しようのない事実をあげつらい、戦闘意欲を削ぐつもり?
そんな初手、ありきたりすぎて痛くもかゆくもないわ。
どうせならシンデレラのように、いきなり噛み付いて来なさいよ。
あれは本当に痛いわよ!
そして血が出るわ!
「セオドアさまのご寵愛は深まりこそすれ、薄れることはありませんわ」
ソフィアは落ち着いて返答する。
王女さまがそんなギラついた目をしている限り、セオドアさまがその瞳を覗き込むことはない。
ソフィアが気をつけなくてはいけないのは、国民の総意のほうだ。
ソフィアよりもブルーベル王女が国益をもたらすと判断されてしまえば、上院議員だけでなく下院議員の支持も受けて、王子妃のすげ替えが行われるかもしれない。
今は米の関税を下げるためにこの国に来ている王女さまだが、本気を出せばもっとこの国に有利な手札を切れるはず。
そうなる前にソフィアも少し王女さまの鼻っ柱を叩き折っておこう。
あまりソフィアを舐めてやんちゃをするようだと、容赦はしないという意味を込めて。
「ブルーベル王女は、外交官である第三王子殿下の代理でいらっしゃったはず。この国で何か問題を起こせば、それは翻って第三王子殿下の不祥事となるでしょう。果たして、ディランシア王国の国王陛下はそれをお許しになるでしょうか?」
ブルーベル王女の顔がやや剣呑になる。
そうだ、ここは突かれたくない要点のはずだ。
第三王子殿下は、ディランシア王国の国王陛下が寵愛する側妃が生んだ王子だ。
第三という立場に関わらず、国王陛下の覚えはめでたい。
ブルーベル王女は正妃が生んだ王女だが、ディランシア王国の正妃と側妃の立場はほぼ対等。
寵愛があるだけ側妃のほうが上かもしれないという微妙さだ。
何か問題が起きたとき、国王陛下が切り捨てるのは正妃側だろう。
ディランシア王国の内情について知識武装してきてよかった!
「ふん、少しは歯ごたえがありそうね。でもそれだけよ。私が味方につけた高位貴族たちは続々と王子殿下の情報を届けてくれるわ。私に攻略できない殿方などいないことを思い知らせてあげる」
清楚な顔をして不敵な笑みを浮かべる王女さまとソフィアの間で、バチバチと火花が飛び散るお茶会は、その後すぐに解散となった。
「そうか、そんなことがあったのか。どうりでね」
今夜も、ブルーベル王女対策会議はソフィアの部屋で行われている。
すでにソフィアはセオドアさまの膝の上だ。
お茶会であったことを聞き、なんだかしたり顔のセオドアさま。
「何かあったんですか?」
「関税交渉の場以外で、ブルーベル王女とよく出くわすようになったんだ。奇遇ですね、なんて言っているけど、間違いなく僕の行動予定表をもらした高位貴族がいるはずだ」
そうでなければあの頻度はおかしい、とセオドアさまは言う。
「しかもなぜか僕の好きな色がベージュだと思われている。ソフィアの部屋をその色で内装したからかな? ブルーベル王女は毎回ベージュ色のドレスを着て関税交渉の場にやってくるんだ」
呆れた。
高位貴族たちがしていることは、ストーカーのほう助だ。
「だけどさすがに王女さまだね。質素に見えるベージュ色のドレスだけでは、国の威厳が保てないのだろう。パールが縫い付けてあったり、光沢のある布材だったり、僕の目にはてんで優しくないよ」
セオドアさまは目をすがめた。
関税交渉の場では向かい合わせに座っている二人だ。
どうしても光が目に入るのだろう。
「髪の色も瞳の色も、ブルーベル王女は僕と同じだろう? なんだか僕自身を見ているようなんだよね。舌なめずりしながら獲物をどう食べてやろうかと虎視眈々としている様なんてさ、ソフィアの前にいる僕のようだよ」
「え!?そ、それは、その!?」
油断した。
また甘いセリフをぶっ込まれた!
「こんな不毛な会議じゃなく、もっと有意義なことに使いたいよね、夜の時間は貴重なんだから」
セオドアさまに顎をすくわれ、いわゆる顎クイの状態でソフィアはセオドアさまと視線を合わせる。
思慮深いと言われるセオドアさまの瞳は、いつでもしっとり潤んでいるように見える。
それがとても色っぽくて、ソフィアはその瞳に捉えられるともう駄目だ。
「ソフィア、口を開いて。僕を受け入れて」
ここから何が始まるのか、もうソフィアは知っていた。
米の関税についての話し合いは、セオドアさまと下院議員が頑張って、なんとか平行線状態を保っている。
高級品の香辛料サフランが欲しい上院議員や、嗜好品を融通してくれるブルーベル王女との繋がりを希望している上院議員は、このままではらちが明かないと、セオドアさまにブルーベル王女を歓迎する宴を催してはどうかと進言したきた。
「せっかく遠くから来てくださっているのですから、せめて滞在中に夜会のひとつでも開いてはどうでしょう?」
「交渉でお疲れのブルーベル王女にも、なにか楽しみがありませんとな」
「王子殿下がダンスにお誘いすれば、喜ばれるのではないですか?」
「ああ、それはいい! 美男美女のお二人のダンスは、きっと絵になる!」
「宴の予算については、私どもが拠出したいと思っております」
金に糸目をつけず、しっかりと逃げ道を防いできた。
何が何でも、セオドアさまとブルーベル王女を縁づかせたいのだろう。
セオドアさまの隣にソフィアがいようとお構いなしに、ブルーベル王女の美点をぺらぺらしゃべる高位貴族たち。
ブルーベル王女を王子妃に据え、ディランシア王国からの優遇措置を受けたい思いで必死なのだ。
もう、その願望を隠そうともしない。
そっちがその気なら、こっちも容赦はしないわ。
ブルーベル王女はソフィアが恐れていた国民の総意を得るという切り札を切る気もないようだ。
国民を放ったらかしにする王女なんて、国民の損益に心を痛めない高位貴族なんて、ソフィアが叩きのめしてやる。
そうと決まれば段取りの鬼の血が騒ぐ。
こういう裏でアレコレする仕事は、ソフィアの適性なのかもしれないわね。
うんざりしているセオドアさまの顔色も読まず、宴の日取りや会場設営の担当決めで盛り上がる高位貴族たちの寝首をかく計画に、ソフィアはさっそく取り掛かるのだった。
ブルーベル王女に気に入ってもらおうと、高位貴族たちは気合いを入れて宴の準備をしてくれた。
おかげでこちらも計画を実行に移す時間が稼げた。
なにしろ重要人物の到着には、ある程度の日数が必要だったからだ。
ソフィアは入念に計画の見直しをしつつ、イザというときのために騎士団長のレオさんにも相談をした。
「それならシンデレラを起用するといいよ。まだ見習いだけど、いい仕事をするよ」
ソフィアの護衛としてシンデレラを傍付きにすることを薦められた。
「シンデレラは外見だけ見ればどこぞのご令嬢だ。きっとあちらさんも油断するに違いない」
中身は闘犬だけどな、とレオさんは笑う。
あ、やっぱり闘犬ですよね?
「では、当日の護衛はシンデレラに任せます。レオさんは万が一のためにセオドアさまに付いていてください」
ソフィアのキビキビした打ち合わせ姿に、レオさんは目を細めて嬉しそうにする。
「良かったなあ、王子にこんなにいいお嫁さんが来てくれて。この国も安泰だよ」
はっ!
さすが主従!
甘い言葉をぶっ込んでくるのは一緒ですか!?
ソフィアが赤い顔のままセオドアさまのもとに戻ったので、「レオに何を言われたのか」と嫉妬するセオドアさまから甘いお仕置きを受けたのはまた別の話だ。
48
あなたにおすすめの小説
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
平民令嬢、異世界で追放されたけど、妖精契約で元貴族を見返します
タマ マコト
ファンタジー
平民令嬢セリア・アルノートは、聖女召喚の儀式に巻き込まれ異世界へと呼ばれる。
しかし魔力ゼロと判定された彼女は、元婚約者にも見捨てられ、理由も告げられぬまま夜の森へ追放された。
行き場を失った境界の森で、セリアは妖精ルゥシェと出会い、「生きたいか」という問いに答えた瞬間、対等な妖精契約を結ぶ。
人間に捨てられた少女は、妖精に選ばれたことで、世界の均衡を揺るがす存在となっていく。
「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜
鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。
しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。
王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。
絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。
彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。
誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。
荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。
一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。
王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。
しかし、アリシアは冷たく拒否。
「私はもう、あなたの聖女ではありません」
そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。
「俺がお前を守る。永遠に離さない」
勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動……
追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛
三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。
「……ここは?」
か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。
顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。
私は一体、誰なのだろう?
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる