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43 はじめてのキス
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史也に手を引かれながら、帰路についた。
折角両思いになれたからには、まず最初に謝りたい。俺は勇気を奮い立たせると、自分から話を切り出した。
「史也、あのさ。ここ最近の俺、態度悪かったよな。……ごめんな」
俺の謝罪に、史也は首を横に振って気にしてないと態度で示す。許してくれるって分かってはいても、それでもちゃんとはっきり伝えたかった。
心の中に溜め込んで口を閉ざす俺は、もう卒業したかったから。
「送り迎えいらないとか言ってたやつのこと?」
「うん。それもその内のひとつ」
何故か史也は、俺の顔をちょっと照れくさそうな顔で見下ろしている。その表情は明るくて、怒ってなんかいないのが見て取れる。やっぱり史也って、心も広い。
今なら言っていいかな。
理由をはっきりと伝えるのに勇気は必要だったけど、さっきの史也の大声の告白に比べたら、俺の勇気なんて大したもんじゃないように思えた。
「……ゼミの飲み会の後くらいから、用事があるって言って場所も誰に会うかも言わないでどこかに行っちゃうのが増えてただろ? だからてっきり、ゼミが一緒の女の子と仲良くなってデートでもしてるのかなって思ってたんだ」
「あー……あれね」
史也にも、当然思い当たることはあるんだろう。空を仰いで考えるような素振りを見せた後、恋人繋ぎされた指に力を込めた。
「誰かに会ってたっていうのは本当だよ」
「え……」
思わず声を上げると、史也は慌てて顔の前で手をブンブン振る。
「違う違う! そういう相手じゃないんだってば!」
怪しい。横目で疑いの眼差しを向けた。
「なんだよそれ。俺に言えないような相手だったってこと?」
「……まだ話すのは早いなって思って、黙ってたんだ」
「え? どういうこと?」
史也は、一体何を俺から隠そうとしていたんだ。思わず不審げな目線で見上げると、史也はへにゃっと眉毛を下げて、何故か上目遣いでいじけた顔になった。
「……勝手にやったって怒らない?」
「は?」
「ダメ元だったから、それに向こうもようやく今日になって勇気が出たって言ってきたくらいだったんだ。それまでは、合わす顔がないって口止めされてたし」
「ちょっと史也、意味分かんないんだけど」
口を尖らせると、史也が細目を更に細めて俺を眩しそうに見つめる。なになに。
「……ていうか、それってもしかして、俺が誰かに会っててヤキモチ焼いてくれてたってこと?」
「え!? あ、いや、あの、うん、そうなんだけど、今はそうじゃなくて……っ」
俺が焦ってどもると、史也は唇を口の中にしまい込み、ブルッと震えた。
「あの、史也?」
「……あ、あのさ!」
声が唐突にでかい。
「声でかいよ! なにっ」
「あ、ごめん」
史也は足を止めると、俺の前に立った。近付くと、やっぱり身長差があるなあ。
史也は声を潜めると、俺の耳に顔を近付ける。
「ん? どうした?」
大きな声で言えないようなことかな、と史也の口に顔を寄せた。
「今の滅茶苦茶可愛かったから、キスしていい?」
「は? 今のってどれ……」
俺はまだ喋っていたのに。
目の前が暗くなったかと思うと、次の瞬間には史也と俺の唇が重なり合っていた。
咄嗟のことに目を閉じるなんてできなかった俺は、薄目でエロい顔をしながら俺を見つめたままの史也の目を、ただ見つめ返すしかできない。
史也の目が、優しい弧を描いた。
一瞬離れたな、そう思ったら、次は下唇を食まれる。
「史……っ」
また離れたと思うと、今度は項に手を添えられた。パチクリと見ている間に、三度唇が重なって、馬鹿みたいに開けていた俺の口の中に史也の舌が入り込んできた。
でも無理やりなんかじゃなくて、怒らないかな? 大丈夫かな? ていう探るような遠慮がちなキスに、俺は。
「ん……」
史也の首に腕を絡めると、今度はちゃんと目を閉じて、史也の温かい舌に自分の舌を絡める。史也がちょっとだけビクッてしたけど、すぐに口が笑ったのが分かった。
何度も何度も顔の角度を変えて、深いキスを繰り返す。さすがに長くて苦しくなってきて、史也の胸をトントン叩いて合図をした。史也が、名残惜しそうに顔を離す。
俺と史也を繋ぐ唾の糸がプツンと切れて、エロかった。
史也が、俺の瞼に軽いキスを落とす。
「へへ……キスしちゃった」
「びっくりしたんだけど」
俺が軽く睨むと、史也は照れくさそうに笑った。それから、俺を史也の胸の中に包み込むように抱き寄せる。
「陸――会わせたい人がいるんだ」
「え……?」
幸せ過ぎるキスの熱が冷めなくて火照った俺の耳に、史也が優しく囁いた。
折角両思いになれたからには、まず最初に謝りたい。俺は勇気を奮い立たせると、自分から話を切り出した。
「史也、あのさ。ここ最近の俺、態度悪かったよな。……ごめんな」
俺の謝罪に、史也は首を横に振って気にしてないと態度で示す。許してくれるって分かってはいても、それでもちゃんとはっきり伝えたかった。
心の中に溜め込んで口を閉ざす俺は、もう卒業したかったから。
「送り迎えいらないとか言ってたやつのこと?」
「うん。それもその内のひとつ」
何故か史也は、俺の顔をちょっと照れくさそうな顔で見下ろしている。その表情は明るくて、怒ってなんかいないのが見て取れる。やっぱり史也って、心も広い。
今なら言っていいかな。
理由をはっきりと伝えるのに勇気は必要だったけど、さっきの史也の大声の告白に比べたら、俺の勇気なんて大したもんじゃないように思えた。
「……ゼミの飲み会の後くらいから、用事があるって言って場所も誰に会うかも言わないでどこかに行っちゃうのが増えてただろ? だからてっきり、ゼミが一緒の女の子と仲良くなってデートでもしてるのかなって思ってたんだ」
「あー……あれね」
史也にも、当然思い当たることはあるんだろう。空を仰いで考えるような素振りを見せた後、恋人繋ぎされた指に力を込めた。
「誰かに会ってたっていうのは本当だよ」
「え……」
思わず声を上げると、史也は慌てて顔の前で手をブンブン振る。
「違う違う! そういう相手じゃないんだってば!」
怪しい。横目で疑いの眼差しを向けた。
「なんだよそれ。俺に言えないような相手だったってこと?」
「……まだ話すのは早いなって思って、黙ってたんだ」
「え? どういうこと?」
史也は、一体何を俺から隠そうとしていたんだ。思わず不審げな目線で見上げると、史也はへにゃっと眉毛を下げて、何故か上目遣いでいじけた顔になった。
「……勝手にやったって怒らない?」
「は?」
「ダメ元だったから、それに向こうもようやく今日になって勇気が出たって言ってきたくらいだったんだ。それまでは、合わす顔がないって口止めされてたし」
「ちょっと史也、意味分かんないんだけど」
口を尖らせると、史也が細目を更に細めて俺を眩しそうに見つめる。なになに。
「……ていうか、それってもしかして、俺が誰かに会っててヤキモチ焼いてくれてたってこと?」
「え!? あ、いや、あの、うん、そうなんだけど、今はそうじゃなくて……っ」
俺が焦ってどもると、史也は唇を口の中にしまい込み、ブルッと震えた。
「あの、史也?」
「……あ、あのさ!」
声が唐突にでかい。
「声でかいよ! なにっ」
「あ、ごめん」
史也は足を止めると、俺の前に立った。近付くと、やっぱり身長差があるなあ。
史也は声を潜めると、俺の耳に顔を近付ける。
「ん? どうした?」
大きな声で言えないようなことかな、と史也の口に顔を寄せた。
「今の滅茶苦茶可愛かったから、キスしていい?」
「は? 今のってどれ……」
俺はまだ喋っていたのに。
目の前が暗くなったかと思うと、次の瞬間には史也と俺の唇が重なり合っていた。
咄嗟のことに目を閉じるなんてできなかった俺は、薄目でエロい顔をしながら俺を見つめたままの史也の目を、ただ見つめ返すしかできない。
史也の目が、優しい弧を描いた。
一瞬離れたな、そう思ったら、次は下唇を食まれる。
「史……っ」
また離れたと思うと、今度は項に手を添えられた。パチクリと見ている間に、三度唇が重なって、馬鹿みたいに開けていた俺の口の中に史也の舌が入り込んできた。
でも無理やりなんかじゃなくて、怒らないかな? 大丈夫かな? ていう探るような遠慮がちなキスに、俺は。
「ん……」
史也の首に腕を絡めると、今度はちゃんと目を閉じて、史也の温かい舌に自分の舌を絡める。史也がちょっとだけビクッてしたけど、すぐに口が笑ったのが分かった。
何度も何度も顔の角度を変えて、深いキスを繰り返す。さすがに長くて苦しくなってきて、史也の胸をトントン叩いて合図をした。史也が、名残惜しそうに顔を離す。
俺と史也を繋ぐ唾の糸がプツンと切れて、エロかった。
史也が、俺の瞼に軽いキスを落とす。
「へへ……キスしちゃった」
「びっくりしたんだけど」
俺が軽く睨むと、史也は照れくさそうに笑った。それから、俺を史也の胸の中に包み込むように抱き寄せる。
「陸――会わせたい人がいるんだ」
「え……?」
幸せ過ぎるキスの熱が冷めなくて火照った俺の耳に、史也が優しく囁いた。
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