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11 黄金色の仮面
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グイードがいないがらんとした寝床の上で、俺は胡座を掻きながら考えていた。
宝珠の効果について、だ。
神様は、宝珠のことをエネルギー増強装置のようなもので、ちょっとやそっとの怪我や病気は治ると言っていた。これは宝珠の神子な俺本体に対しての効果だ。
で、未だにどこにあるか分からないインプランティングされた宝珠だけど、グイードが俺の血を舐めて怪我を治したことから、間違いなく血中に宝珠の成分が含まれていることが証明された。
ひょっとすると、宝珠は俺の全身に巡り巡っちゃってる可能性もある。ヘタをしたらそれこそ爪の垢を煎じても癒やし効果があったりして。ちょっとそれは嫌だなあ。
ぷるぷると頭を振ってシャッキリとさせる。
俺はグイードのやけに生々しい股間のブツと、神様が言っていたエネルギー増強装置の関連性について考えていた。
つまりさ、あれって怪我を治すのに必要なエネルギーよりも余分に宝珠成分入りの血を舐めちゃったから、生殖本能まで元気になっちゃったってことじゃないの。多分、いや絶対そうだ。だってグイードの様子が普段とあまりにも違ってたから。
「マジでとんでもない代物だな……」
なるべく怪我をさせないようにしようと結論付けた俺は、グイードがどうやって落ち着かせようとしてるんだろうなあとか考えそうになって、慌てて考えを家の作業工程に切り替えた。まあ俺はほぼ何もしてないけど。粘土あたりの工程になったら多分役立つと思う。多分。
「……そういえば最近シてないなあ」
俺は名実共に貧乏まっしぐらな勤労青年だったので、金がかかるとしか思えない彼女は作らなかった。というか、出会いは皆無だった。すみません、そもそも作れませんでした。言い方間違えました。
なので、当然だけど童貞のままだ。元の世界では本当ギリギリで生きていたからか、そういう欲も激減していたから所謂自慰も月に一回あったかどうか。若者として大分枯れてたとは思う。
それがこちらに来てからというもの、健康的でストレスのない開放的な生活をエンジョイしていたせいか、徐々に性欲が戻りつつあった。
だけど夜はいつもグイードに包まれて寝ているし、同性とはいえ目の前でするのも微妙だったので、水浴びに連れて行ってもらった時や放尿地点に行った時にササッと済ませていた。最後にシたのは、そこそこ前な気がする。
「……よく考えたら、狼って自慰しないよなあ?」
もしかしたら方法はあるのかもしれないけど、これまでグイードが何かに擦りつけている場面には遭遇していない。
結論。グイードも溜まってたんだろう。
「――よし。忘れてあげよう」
誰しも触れられたくない話題はあるものだ。先程のグイードの慌てぶりから見るに、グイードは触れられたくないと思っている筈。案外照れ屋だからな、グイードの奴。
そうと決まれば、普通に接するのがベストだ。ごろんと後ろに倒れると、広い枯れ草の上をゴロゴロと転がる。
「うーん」
思い切り伸びをすると、気持ちよかった。何もしてないけど、身体が程よく疲れてる気がする。
そして、グイードがいないと暇。
「……早く終わって帰って来いよー」
独り言を呟いていると、洞穴の外からガサッという音が聞こえてきた。グイードが帰ってきたらしい。
「あ! グイード、おかえり――……」
身体を起こして洞穴の先を見ると。
「……え?」
蔦のカーテンの下から覗いているのは、革のブーツを履いた二本の足だった。
「え? 足? どういうこと?」
この世界には、人間はいないんじゃなかったのか。ていうか、グイードはどこ。呆然としている間に、蔦のカーテンが手によって掻き分けられていく。
「手……」
逆光になってはっきりとは見えないけど、形からして人間の手だ。掻き分けられた蔦の間から覗いた部分が、陽光で金色に煌めく。がっしりとした体型の男が、蔦のカーテンを潜って俺とグイードの家に押し入ってきた。
「――探したぞ、宝珠の神子よ」
「……ッ!」
逃げないと! 直感で拙いと思い、立ち上がろうとする。すると突然影がシュッと伸びてきて、俺の手足に絡みついた。
「ひ……っ! やだ、なんだこれ!」
唸るような低い声が、黄金色の仮面の奥から響く。
「悪いようにはしない。共に来ていただこう」
黄金色の仮面――まさか。
影が、俺の全身を覆っていく。
「……グイード! グイード、助け……っ!」
だけど、俺の声はグイードに届くことはなく。
暗闇で作られた檻の中に閉じ込められた俺は、エネルギーを吸われていくかのように深い眠りに落ちていった。
宝珠の効果について、だ。
神様は、宝珠のことをエネルギー増強装置のようなもので、ちょっとやそっとの怪我や病気は治ると言っていた。これは宝珠の神子な俺本体に対しての効果だ。
で、未だにどこにあるか分からないインプランティングされた宝珠だけど、グイードが俺の血を舐めて怪我を治したことから、間違いなく血中に宝珠の成分が含まれていることが証明された。
ひょっとすると、宝珠は俺の全身に巡り巡っちゃってる可能性もある。ヘタをしたらそれこそ爪の垢を煎じても癒やし効果があったりして。ちょっとそれは嫌だなあ。
ぷるぷると頭を振ってシャッキリとさせる。
俺はグイードのやけに生々しい股間のブツと、神様が言っていたエネルギー増強装置の関連性について考えていた。
つまりさ、あれって怪我を治すのに必要なエネルギーよりも余分に宝珠成分入りの血を舐めちゃったから、生殖本能まで元気になっちゃったってことじゃないの。多分、いや絶対そうだ。だってグイードの様子が普段とあまりにも違ってたから。
「マジでとんでもない代物だな……」
なるべく怪我をさせないようにしようと結論付けた俺は、グイードがどうやって落ち着かせようとしてるんだろうなあとか考えそうになって、慌てて考えを家の作業工程に切り替えた。まあ俺はほぼ何もしてないけど。粘土あたりの工程になったら多分役立つと思う。多分。
「……そういえば最近シてないなあ」
俺は名実共に貧乏まっしぐらな勤労青年だったので、金がかかるとしか思えない彼女は作らなかった。というか、出会いは皆無だった。すみません、そもそも作れませんでした。言い方間違えました。
なので、当然だけど童貞のままだ。元の世界では本当ギリギリで生きていたからか、そういう欲も激減していたから所謂自慰も月に一回あったかどうか。若者として大分枯れてたとは思う。
それがこちらに来てからというもの、健康的でストレスのない開放的な生活をエンジョイしていたせいか、徐々に性欲が戻りつつあった。
だけど夜はいつもグイードに包まれて寝ているし、同性とはいえ目の前でするのも微妙だったので、水浴びに連れて行ってもらった時や放尿地点に行った時にササッと済ませていた。最後にシたのは、そこそこ前な気がする。
「……よく考えたら、狼って自慰しないよなあ?」
もしかしたら方法はあるのかもしれないけど、これまでグイードが何かに擦りつけている場面には遭遇していない。
結論。グイードも溜まってたんだろう。
「――よし。忘れてあげよう」
誰しも触れられたくない話題はあるものだ。先程のグイードの慌てぶりから見るに、グイードは触れられたくないと思っている筈。案外照れ屋だからな、グイードの奴。
そうと決まれば、普通に接するのがベストだ。ごろんと後ろに倒れると、広い枯れ草の上をゴロゴロと転がる。
「うーん」
思い切り伸びをすると、気持ちよかった。何もしてないけど、身体が程よく疲れてる気がする。
そして、グイードがいないと暇。
「……早く終わって帰って来いよー」
独り言を呟いていると、洞穴の外からガサッという音が聞こえてきた。グイードが帰ってきたらしい。
「あ! グイード、おかえり――……」
身体を起こして洞穴の先を見ると。
「……え?」
蔦のカーテンの下から覗いているのは、革のブーツを履いた二本の足だった。
「え? 足? どういうこと?」
この世界には、人間はいないんじゃなかったのか。ていうか、グイードはどこ。呆然としている間に、蔦のカーテンが手によって掻き分けられていく。
「手……」
逆光になってはっきりとは見えないけど、形からして人間の手だ。掻き分けられた蔦の間から覗いた部分が、陽光で金色に煌めく。がっしりとした体型の男が、蔦のカーテンを潜って俺とグイードの家に押し入ってきた。
「――探したぞ、宝珠の神子よ」
「……ッ!」
逃げないと! 直感で拙いと思い、立ち上がろうとする。すると突然影がシュッと伸びてきて、俺の手足に絡みついた。
「ひ……っ! やだ、なんだこれ!」
唸るような低い声が、黄金色の仮面の奥から響く。
「悪いようにはしない。共に来ていただこう」
黄金色の仮面――まさか。
影が、俺の全身を覆っていく。
「……グイード! グイード、助け……っ!」
だけど、俺の声はグイードに届くことはなく。
暗闇で作られた檻の中に閉じ込められた俺は、エネルギーを吸われていくかのように深い眠りに落ちていった。
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