異世界帰還者〜異世界で手に入れたチート能力で現実世界に復讐する〜

黒夜零

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1章帰還者

9話 決着?

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次に手を出したのは俺──的確に速く拳を繰り出す。
 男は紙一重で躱し、一歩後ろに後退する。

「おい、どうした? さっきまでの勢いはどうしたんだよ!」

 俺は男を挑発しながら、腰を捻り全身の力を使い、左ストレートを男に出す。
 男は再び上半身を反らし躱そうとする。
 だが、俺は体を前進させ、追撃し、男は防ぎ切れず、もろに攻撃を喰らう。
 そのまま拳を振り切る。
 バタンと男は倒れた。
 他の自衛隊の人間達は、体を震わせていた。

「お前ら、俺とまだやるか?」
「や、やるに決まっているだろ! 俺達は国を守る自衛隊だ!」
「いい意気だ、でもな無意味なんだよ」

 強く握り拳を作り、力のままに拳を振う。
 自衛隊の人間達は風圧で全員飛ぶ。
 後二、三回、同じ事を繰り返し──自衛隊は全滅をする。
 俺はたった一人だけ立っており、戦場となった街を眺める。
 コンクリの地には、数え切れない程の薬莢やっきょうに、無様に倒れている自衛隊の人間。

「これは凄いね!」

 背後から声が聞こえ、声がする方に振り向く。
 と、そこには栗色の髪を持つ少女が、血塗れになった子供を持っていた。

「……ジャンヌか」
「はい、この子でしょ? 君が言ってたの」
「そうだ。そこに寝かしておいてくれ」

 ジャンヌは俺の言葉に従い、子供を寝かす。
 子供は恐怖で、押し潰された様な顔で死んでいた。
 俺は子供の顔に手を近づけ触れる。
 直後、子供は目を瞑る。

「君、悪魔の様な人間の癖に優しいんだね」
「優しくはなんかない。俺がこの場所にいなければこの子は死んでいなかった」

 悪魔……ジャンヌの言葉が、頭から離れない。
 ジャンヌの名前と、言葉で馬鹿みたいな想像をしてしまう。
 俺は悪魔で、こいつは神の使いである聖女。
 今は中立であり──俺の味方。
 もし、こいつが敵になるならば厄介だ。

「なぁお前は?」
「何かな? 悪魔王子」

 俺はジャンヌに疑問に思った事を、言おうとしたが、ジャンヌの一言でやめた。

「誰が悪魔王子だくそ野郎」
「私、野郎じゃないよ?」
「そんなのは分かっているは!」

 駄目だ、この女と喋っていると、考えている事全てが飛ぶ。
 この女をどうしてやろうかと、思った。
 その時、ジャンヌは顔を、強張らせ声を荒げた。

「クロム君! 後ろ」
「あ?」

 俺はジャンヌの言葉を聞き、後ろを振り向くと、黒衣を纏った人間がいる。
 手には黒い刀身の刃物を持ち、俺の横腹に深々と突き刺さっている。
 次の瞬間、黒衣の人物は俺に向かって、手をかざし、呟く。

黒雷ブラサガ
「なっ!?」

 男の腕先から、黒く電撃の様な物が走っている。
 俺はやばいと思ったが、体が全く動かずもろに魔法を喰らう。

「ぐ、うぅぅ」

 俺の体には強烈な黒い雷が走る。
 全身に痺れが現れ、それと同時に痛みも出始める。
 痛みに耐えながら、黒衣の人物に蹴りを入れる。
 黒衣の人物は、手から刃物と魔法を離し、数メートル下がる。

「く、はぁはぁ、ブ、ファ」

 俺の体は魔法の痛みに耐えたが、黒衣の人物が離れた瞬間。
 膝から崩れ、多少の血を口から吐く。
 ここまでダメージを、負ったのは久しぶりだ。
 異世界の時……あの男と戦った振りだな。
 そんな事より──上手く、魔素が練れない。
 体に魔素を流し、傷を塞ぐ事も魔法を使い、追撃する事もできない。
 それにこいつ、どうやって俺に刃物を突き刺した? 俺は横腹に刺さっている刃物を抜く。

「てめぇ何者だ?」

 俺は立ちながら黒衣の人物に、向かって問い掛ける。

「………」

 やっぱ無言で通すか。
 くそ、いきなり情報量が増えすぎて、頭がパンクしそうになる。
 ただ一つだけ明確に──する事だけは決まっている。

「ぶっ殺してやるよ!」

 俺は完全にキレ、頭には血が昇る。
 ジャンヌの前では、力を隠すつもりではいた。
 けれど、そんなのはもう関係ない。
 今、俺に傷を負わしたこいつを殺す。
 ただそれだけだ。
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