最強の魔帝の少年〜魔力がゼロの無能と思われているが実は最強。落ちこぼれの令嬢を守る為に力を奮い無双する

黒夜零

文字の大きさ
34 / 51

34話 魔道具の本質

しおりを挟む
魔導戦で魔道具使用するのも一つの手。でも、ボクは魔道具を使えない。
今の実力では、まだ魔道具を扱いきれない。
それに普通の魔道具を、ボクが使っていい物なのか? 風紀員長には壊れたけど、ロングソードを渡された。
それもボクの持っている魔道具を扱う為、だから他の魔道具を、使ってもいいのは疑問な所。
それ以前に魔法にも慣れておいた方がいい。
昔憧れだった魔法、少し前までは使えず絶望をしていた。
それなのに今は魔法が使える。
だけど、上手く魔法を放つ事ができない。
使えるようになったのはいいが、上手く扱えないと意味がない。
フォストと戦うならば尚更だ、戦闘経験と魔法の慣れを補う必要がある。
戦闘経験に関しては、対人模擬で補える。
問題は魔法をどうやって補うかだ。
思考を巡らせ、考えている時、ユウナさんが話しかける。

「何か悩み事?」

ユウナさんの言葉に、自分はどう答えるか迷った。正直にいえば速い話し、でもどんな事をいわれるか分からない。
それが少し怖い、ユウナさんに見限られるのは嫌だ。
きっとユウナさんはそんな事をしない、そんな事は分かりきっている、それでもボクの心に恐怖がある。
魔人戦の後の言葉、あれも嘘偽りがない誠な言葉。
だからこそ、ボクはユウナさんの期待に応えたい。
それと同時に素直になれずにいる。
頭ではそんな事は分かっている、でも、体と気持ちが閉ざしてくる。
──パーンと部屋に響く、静かな部屋に無粋にも鳴り響く。ボクは少しビクッとした。

「はい素直に言って」

ボクは自然と言葉を紡いでいた、あぁ本当、この人には敵わない。
ユウナさんは特に何か、言う事もなく、ボクの言葉をただ聞いてくれた。

「うん。じゃあ補強型の魔道具を使えばいいんじゃないかな?」
「補強型?」

聞き慣れない単語、それを聞き返して見る。ユウナさんは表情を一切変えず、散らばっている魔道具を、集めている。
その中で何個かの魔道具が飛ぶ、ボクは目を見開く。

「あっ合った、合った、これだこれだ!」

お目当ての物を見つけたのが、それを高く上げて、見せつけてくる。
ユウナさんの手には、二つの赤い腕輪を持っていた。
ユウナさんは目を、輝かしながら説明をする。
何処か楽しそうだった。

「これはね。見た目通りの腕輪、体内にある魔力を底上げできる」
「はい」

ユウナさんの熱量に付いていけず、空返事をしてしまった。
腕輪を凝視し、ユウナさんが大きな声を出す。

「これだけじゃあ意味ない! バカか私!」

話しにあんま付いていけない、これはボクの理解力が皆無だから? ブツブツとユウナさんは独り言を言っている。
ちょっと怖い、すると、パッと顔を上げて、頭を振っていた。
ボクはひたすらに不思議そうにみていた。

「ねぇ、クロ君ってさ、リステリとヒュウガどっちが強いか、考えた事ある?」
「えっ」

ユウナさんを見て、ぼっとしていた時、思いがけぬ話題。その話題はかつてボクが、興味本意で気になった事。
いきなりどうして? ユウナさんはこの話しを振ってきた?

「正直あります」
「うんうん、私はどっちが強いか知っているからね」
「どっちが強いんですか?」
「率直にいうと、ヒュウガだね、特に今は最強」

シンだ! ヒュウガの史上最高傑作の誕生、それでヒュウガは更なる地位を得た。
性格はど畜生だけど、実力だけは高い。
シンが居れば、ヒュウガは安泰だと言われている。
何故か、ボクには少し悔しさが合った。心のどこかでヒュウガが負ければいい、と思っていた。
けれど、現実はそんなに甘くない、リステリの次期当主がいうならば間違いない。

「元々は均衡していたけどね、リステリの前当主とヒュウガの現当主が戦い、私の父親は負け、亡くなった」

空気が重たくなる、ユウナさんは笑顔のまま、でも、声色が暗く低い、何処か冷酷さを感じ取れた。
ユウナさんがヒュウガを、嫌っているのには──これが。
いやそれより、ボクはこんな話し、初めて聞いた。
何の為に戦った? それに何故、命まで取る? 自然と怒りが湧いてくる。

「ごめんね、こんな暗い話しをして」
「いえ……」

ボクはこの人の傍に本当に居っていいのか? いや、遅かれ早かれ知る事になった筈。それが極端に早くなっただけ。

「本当は私じゃなくて、アルトリアが当主になればいいのにね」
「他人事みたいに言うんですね」
「実際彼奴の方が強いし、でもね、わっちはやらん! って言い切られた」

それは何とも風紀員長らしい、あの人は結構自由人だ。当主とか堅い席に座るタイプではない。
強さでいえば化物だと思う、それでもあの人はまだ人がいい。

「なんでこんな話し、クロ君にしたんだろう? 分かんないや」

ユウナさんは笑って誤魔化した、何処か、一人で抱えきれず、誰かにぶつけたかったが。
相手はいなかった、そこでボクに話してしまった。

「ユウナさん、ボク絶対強くなります」

さっきまで暗い表情だった、ユウナさんの顔に光が生まれる。
ヒュウガを出て、ユウナさんに拾われてからヒュウガとは無縁になると、思っていた。
でも、今湧き出てくる感情、その中にはヒュウガの怒りが強い。
ボクは何がなんでも強くならないと、いけない。

「じゃあさクロ君。私が支えて上げる。フォストじゃなくて君のね」

そうか、あの時のフォストの婚約発言、その中に支えるが合った。
今思えばサポートに回れって、何様だよ。
思い出して苦笑をしてしまう。
ユウナさんの嬉しい申し出、これに対し、ボクの言葉は決まっている。

「お願いします」
「うん! じゃあまずはクロ君専用の魔道具製作だね!」

ボク専用? それを気に集めた魔道具を分解し、魔力を出していた。
ボクは魔道具製作を目の当たりにする。
さっきまで山になっていた魔道具は、一気に部品に変わった。
ユウナさんの魔力は、様々な色に変化し、新たな魔道具を生み出した。
魔力で魔道具が作られいく、何か特殊な道具、魔法を使う事もない。
ただ魔力だけで作っている、魔道具の本質、それは特別な力ではなく魔力。

「できた」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...