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おもひで4
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僕がセーターを脱がせると彼女の背中があらわになった。ホックの取れたブラジャー。光が滑っていくような綺麗な背中に違和感のある丸く抉れた火傷の痕がポツリポツリある。
「これは……」
僕は指で優しく背中をなぞりってから、ぎゅっと抱きしめる。
「タバコ……前の彼氏が……傷のある女なんて嫌いでしょ、秋田くん」
「そんなことないよ……」
僕は火傷の痕にひとつひとつキスを繰り返していった。何もつけていない彼女の背中を慈しむように愛撫していく。
もう僕は、この背中に思い出を重ねるような真似はしなかった。今ここにいるこの女性こそが、今の僕のすべて。
そこに過去は存在しなかった。
「シャワー浴びてこなきゃ」
彼女は、ただ抱えている辛さを誰かに知って欲しかったのだと思った。でも僕はそれ以上に、彼女が今まで抱えてきた孤独を知ったような気がした。
だから、僕は、彼女をそのまま強く背中から抱きしめた。
「秋田くん……」
僕は自分がどうすればいいのかと考えるよりも、もっと本能的であろうとした。
彼女の息遣いや肌の感触のすべてをこの一瞬で奪いたい気分だった。
「ごめんね……」
そう言った彼女の唇をふさぎ、僕は舌をねじ込むようにして入れた。
下手なキスかもしれない。そんなことはわかっている。僕は僕のせいいっぱいを彼女にぶつけたいだけだった。
「ん……ねえ、脱がせたい。秋田くんだけ脱いでないのずるいよ」
彼女はそう言ってするすると僕の服を脱がせた。手間取ることもなく、慣れたような手つきで脱がしていく様子を見ると、僕の中に得も知れぬ嫉妬心が起きた。きっと、毎日のように彼女にこうさせてきた男がいるのだと。
すべて脱がし終わると彼女は改まって僕の瞳をじっと覗いてきた。そして彼女の瞳が近づいてきたかと思うと、瞳は閉じられ、唇に柔らかな感触が広がった。
それは僕が先ほどした強引な口付けとは違い、優しくしっとりと重なり合って僕の体中に痺れを起こさせるようなものだった。
それだけで、僕の股間のものは荒々しく脈打った。
それが彼女の太ももに当たるのを、彼女は驚くまでもなく、僕の体のすべてをやさしく包むように彼女の手のひらは胸をなで、そして彼女の唇は僕の乳首をほおばり、優しく愛撫し、そして僕のものへと下がっていった。
ビクンビクンと血流の音さえもわかるような僕のものを彼女はじっと見つめて、そしてその先端へと愛しそうにキスをして、口の奥深くへと含んでいった。
小さな快楽の声を上げる僕の反応を知って、その口は激しく、そして僕が快楽の吐息をもらしていくと、逆に優しく、愛撫は続いた。
このまま彼女の口でいってしまいたい気分だった。天国のような心地とはこのようなことをいうのだろうか。でも、僕は彼女を制止させて、「僕も舐めたいよ」と言ったらベッドで舐めあう格好になった。
僕の上に乗った彼女の潤いをおびた茂みの割れ目に口付けをして、そして舌を這わせた。
丹念に、溝に沿って舌を這わせ、彼女の腫れあがった敏感なお豆にも舌先でたくさん刺激を加えると、彼女はたまらずに僕のものから口を離してあえぎ声を上げた。
何度か彼女が僕のものを口で愛撫しようと試みるが、僕が強く彼女のお豆を吸ったりするものだから、彼女はたまらずに声を上げてすぐに口から僕のものをこぼれさせていた。
彼女と僕のやり取りの中には、もう、今しかなかった。
まるで真っ白になっていくようだった。だんだんと彼女が大胆になっていき、僕の体をむさぼるようにして、僕のものを迎え入れると、そのまま彼女は激しく僕の上で腰を振り出した。
「お願い。嘘でもいいの。愛していると、愛していると言って!」
僕の上でそう叫びながら激しく腰を振ってあえぐ彼女の体をぎゅっと抱いて僕は言った。
「嘘は言えない。でも、今でも好きなままだった。大好きだよ」
その言葉を聞くと、彼女は体を震わせて果てた。そして、僕の胸の中に崩れ落ちて、静かに涙を流し、僕が髪をなでると号泣した。
僕の気持ちに、一つの嘘もなかった。
それから、ひと時の時間を過ごし、彼女が海に連れて行ってといったものだから、わがままを聞いて深夜の海へとドライブをした。
うっすらと雪の積もった海の見える崖で、月明かりを浴びながら彼女は僕の腕に絡み付いてきた。しばらくして、彼女のコートのポケットから彼女は何かを取り出して手のひらに乗せて見つめていた。
それは指輪だった。
僕は何も言えずに、月明かりに照らされるシルバーの指輪を彼女と一緒に見ていた。
彼女は意を決したかのように、ぎゅっと指輪を握り、思いっきり海へと投げた。
一瞬流れ星のように、月明かりに照らされた指輪がきらめいたかと思うと、闇夜に消えていった。
冬の月は、星々に囲まれて手が届きそうなほどに大きく見えた。僕は自然と彼女の肩を抱き寄せて、月の中でキスをしていた。
「ありがとう」
と彼女は言った。「ようやく、過去と決別できそう」と。
僕は、彼女に言った。
「それなら、ようやく、一緒に未来が作れるわけだね」
星々の輝く闇夜の中で、僕の一番大事な星は、僕を強く抱きしめながら子供のようにずっと泣いた。
「これは……」
僕は指で優しく背中をなぞりってから、ぎゅっと抱きしめる。
「タバコ……前の彼氏が……傷のある女なんて嫌いでしょ、秋田くん」
「そんなことないよ……」
僕は火傷の痕にひとつひとつキスを繰り返していった。何もつけていない彼女の背中を慈しむように愛撫していく。
もう僕は、この背中に思い出を重ねるような真似はしなかった。今ここにいるこの女性こそが、今の僕のすべて。
そこに過去は存在しなかった。
「シャワー浴びてこなきゃ」
彼女は、ただ抱えている辛さを誰かに知って欲しかったのだと思った。でも僕はそれ以上に、彼女が今まで抱えてきた孤独を知ったような気がした。
だから、僕は、彼女をそのまま強く背中から抱きしめた。
「秋田くん……」
僕は自分がどうすればいいのかと考えるよりも、もっと本能的であろうとした。
彼女の息遣いや肌の感触のすべてをこの一瞬で奪いたい気分だった。
「ごめんね……」
そう言った彼女の唇をふさぎ、僕は舌をねじ込むようにして入れた。
下手なキスかもしれない。そんなことはわかっている。僕は僕のせいいっぱいを彼女にぶつけたいだけだった。
「ん……ねえ、脱がせたい。秋田くんだけ脱いでないのずるいよ」
彼女はそう言ってするすると僕の服を脱がせた。手間取ることもなく、慣れたような手つきで脱がしていく様子を見ると、僕の中に得も知れぬ嫉妬心が起きた。きっと、毎日のように彼女にこうさせてきた男がいるのだと。
すべて脱がし終わると彼女は改まって僕の瞳をじっと覗いてきた。そして彼女の瞳が近づいてきたかと思うと、瞳は閉じられ、唇に柔らかな感触が広がった。
それは僕が先ほどした強引な口付けとは違い、優しくしっとりと重なり合って僕の体中に痺れを起こさせるようなものだった。
それだけで、僕の股間のものは荒々しく脈打った。
それが彼女の太ももに当たるのを、彼女は驚くまでもなく、僕の体のすべてをやさしく包むように彼女の手のひらは胸をなで、そして彼女の唇は僕の乳首をほおばり、優しく愛撫し、そして僕のものへと下がっていった。
ビクンビクンと血流の音さえもわかるような僕のものを彼女はじっと見つめて、そしてその先端へと愛しそうにキスをして、口の奥深くへと含んでいった。
小さな快楽の声を上げる僕の反応を知って、その口は激しく、そして僕が快楽の吐息をもらしていくと、逆に優しく、愛撫は続いた。
このまま彼女の口でいってしまいたい気分だった。天国のような心地とはこのようなことをいうのだろうか。でも、僕は彼女を制止させて、「僕も舐めたいよ」と言ったらベッドで舐めあう格好になった。
僕の上に乗った彼女の潤いをおびた茂みの割れ目に口付けをして、そして舌を這わせた。
丹念に、溝に沿って舌を這わせ、彼女の腫れあがった敏感なお豆にも舌先でたくさん刺激を加えると、彼女はたまらずに僕のものから口を離してあえぎ声を上げた。
何度か彼女が僕のものを口で愛撫しようと試みるが、僕が強く彼女のお豆を吸ったりするものだから、彼女はたまらずに声を上げてすぐに口から僕のものをこぼれさせていた。
彼女と僕のやり取りの中には、もう、今しかなかった。
まるで真っ白になっていくようだった。だんだんと彼女が大胆になっていき、僕の体をむさぼるようにして、僕のものを迎え入れると、そのまま彼女は激しく僕の上で腰を振り出した。
「お願い。嘘でもいいの。愛していると、愛していると言って!」
僕の上でそう叫びながら激しく腰を振ってあえぐ彼女の体をぎゅっと抱いて僕は言った。
「嘘は言えない。でも、今でも好きなままだった。大好きだよ」
その言葉を聞くと、彼女は体を震わせて果てた。そして、僕の胸の中に崩れ落ちて、静かに涙を流し、僕が髪をなでると号泣した。
僕の気持ちに、一つの嘘もなかった。
それから、ひと時の時間を過ごし、彼女が海に連れて行ってといったものだから、わがままを聞いて深夜の海へとドライブをした。
うっすらと雪の積もった海の見える崖で、月明かりを浴びながら彼女は僕の腕に絡み付いてきた。しばらくして、彼女のコートのポケットから彼女は何かを取り出して手のひらに乗せて見つめていた。
それは指輪だった。
僕は何も言えずに、月明かりに照らされるシルバーの指輪を彼女と一緒に見ていた。
彼女は意を決したかのように、ぎゅっと指輪を握り、思いっきり海へと投げた。
一瞬流れ星のように、月明かりに照らされた指輪がきらめいたかと思うと、闇夜に消えていった。
冬の月は、星々に囲まれて手が届きそうなほどに大きく見えた。僕は自然と彼女の肩を抱き寄せて、月の中でキスをしていた。
「ありがとう」
と彼女は言った。「ようやく、過去と決別できそう」と。
僕は、彼女に言った。
「それなら、ようやく、一緒に未来が作れるわけだね」
星々の輝く闇夜の中で、僕の一番大事な星は、僕を強く抱きしめながら子供のようにずっと泣いた。
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