転生した元魔王は、幼馴染の勇者(♀)が強すぎて復活できない!

土岡太郎

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08  使い魔

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 前回までのあらすじ

 このままでは、フィリアに単独で勝てないかもしれないと考えた元魔王アルスは、魔王時代の仲間と力を合せて倒す手段も考慮に入れ、魔王時代の使い魔を呼び寄せるが彼はぎっくり腰で引退していた…


 #######

「ですが、魔王様。どうぞご安心を! 代わりの者を連れて参りますので」

 キャスパーグは一例した後に、煙とともに魔法陣から消えると20分後に煙と共にもう一匹のイビルキャットを連れて戻ってくる。

「魔王様。この者は我が孫のシャルーでございます。シャルー、この御方がいつも話している魔王デスヘルダーク様で、今はアルス=クライトン様と名乗っておられる。魔王様にご挨拶をせよ」

「まおうしゃま、はじめましてにゃ。ボクはシャルーですにゃ。よろしくですにゃ」

「えーと、キャスパーグよ。お前達イビルキャットで語尾に”にゃ”が付くのは幼体だったと記憶しているが、大丈夫か?」

 アルスが心配するのも無理はない、シャルーはどう見ても子猫で可愛い、背中の羽根も小さくて可愛い、短い尻尾も可愛い、舌足らずな喋り方も可愛い、可愛い尽くしであるからだ。

「シャルーはまだ幼いですが、魔界幼稚園の”かけっこ”で一番になるほど俊足です。きっと、伝令役としてご期待に答えることでしょう」

「幼稚園って言ってるじゃん。幼児じゃん、子猫じゃん、可愛いじゃん」

 アルスはシャルーを抱き抱えると顎の下を触って、可愛がりながらキャスパーグにツッコミを入れる。

 元魔王の腕の中で嬉しそうに尻尾を振りながら、喉をゴロゴロ鳴らす子猫のシャルー。

「キャスパーグが、そう言うなら信じたいところではあるが、テストをさせてくれ」
「テストというのは?」

「この屋敷の裏山の山頂に、珍しい青い花が咲いている。それをシャルーが一匹で採ってくるというのはどうだ?」

「そのくらい朝飯前です。シャルーよ、聞いていたな? 青い花を採ってくるのだ!」
「わかったにゃ! いってくるにゃ!」

 シャルーはアルスの腕から、可愛い羽を羽ばたかせて、宙に浮くとそのまま元気よく扉から部屋を出ていく。

「窓から出ていかないのか…」
「まだ、高い高度で飛べないので…」

 彼の部屋は2階なので、高く飛べない子猫のシャルーは窓から出たら危険なのだ。

「大丈夫… じゃないよね?」
「いえ、大丈夫です!」

 孫馬鹿のキャスパーグは、自信に満ちた目でそう答えた。

 すると、暫くして廊下の方から、階段を駆け上がってくる音が聞こえてきて、ノックも無しに扉が勢いよく開けられる。

 その音の正体はフィリアで、キャスパーグは間一髪の所で彼女が入室する前に、ベッドの下に隠れる事に成功する。

「おいおい、フィリアさんよ。ノックも無しに入ってくるとは、如何なものかと思うが!?」

 アルスは彼女の無礼に抗議するが、フィリアは謝罪しながら興奮した感じで、このようなことを言ってくる。

「ごめん! 庭で不思議な猫ちゃんを捕まえたから、直ぐに見せたかったから!」

 そう言ったフィリアの胸の前あたりにあげている両腕を見ると、何かが入った袋と抱っこされたシャルーがいた。

「!!?(シャルー!!?)」

「にゃーー! にゃーー! にゃーー!(助けてー! お祖父ちゃん! 魔王しゃま―!)」

 捕獲されたシャルーはフィリアの腕の中で、にゃーにゃー号泣している。

 それも仕方がない、フィリアみたいな化け物クラスの聖なる魔力を放出している者に、抱っこ(捕獲)されれば、魔属性子猫のシャルーには泣くことしかできず、自分がシャルーと同じ立場なら、やはり泣いていたであろう。

「そんな子猫を捕まえるとか、オマエは鬼か!?」

「だって、この子猫ちゃんは背中に翼が生えていて、宙を浮いていたんだよ? 凄く珍しかったから、つい…」

「可愛そうだから、早く解放してあげなさい!」
「そうね… ごめんね、猫ちゃん」

 アルスに諭されたフィリアが、号泣しているシャルーを開放すると一目散にアルスの元に逃げてくる。

「その変わった子猫、アルスの知り合いなの?」

「えっ!? ああ、実は俺の使い魔で、名前はシャルー。俺ほどの魔法使いの使い魔になると猫にも翼が生えるんだよ。でも、皆には内緒にしてね」

 アルスは自分でも苦しい言い訳だと思ったが、フィリアは納得したようで、彼の背中で怯えているシャルーに挨拶してくる。

「アルスの使い魔なんだ。シャルーちゃん、よろしくね~」
「シャー! シャー!(キライ! キライ!)」

 だが、シャルーは彼の背中に隠れながら必死に威嚇している。

「嫌われちゃった… 」
「まあ、フィリアが脅かさなければ、そのうち慣れるだろう」

 シャルーに嫌われてしょぼんとするフィリアに、アルスは落ち込まないように言葉をかける。

「そうそう、アルス。具合が悪いって聞いたんだけど、体調は大丈夫なの?」
「ああ、もう大丈夫だ」

 どうやら、フィリアはアルスが家に残るのに使った体調が悪いという嘘を聞いたらしく、心配でお見舞いに来た所、その途中でシャルーを見つけて、ついその卓越した身体能力で捕獲してしまったらしい。

「そう、それなら良かったわ。じゃあ、私は帰るわね。これ、お見舞いの果物置いていくね。シャルーちゃんもまたね」

「シャー! シャー!(カエレ! カエレ!)」

 最後まで威嚇してくるシャルーに、気を落としながら彼女は、りんごの入った袋を近くの机に置くと部屋を後にする。

「お祖父ちゃん~」
「おお、よしよし」

 フィリアが居なくなったので、キャスパーグがベッドの下から出てくるとシャルーは泣きながら抱きつく。

「まあ、取り敢えず、りんごを食べてから、後の事を考えようか」

 こうして、アルス達はフィリアが持ってきたりんごを食べてから、この後の事を話し合うことにした。

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