9 / 12
08 使い魔
しおりを挟む前回までのあらすじ
このままでは、フィリアに単独で勝てないかもしれないと考えた元魔王アルスは、魔王時代の仲間と力を合せて倒す手段も考慮に入れ、魔王時代の使い魔を呼び寄せるが彼はぎっくり腰で引退していた…
#######
「ですが、魔王様。どうぞご安心を! 代わりの者を連れて参りますので」
キャスパーグは一例した後に、煙とともに魔法陣から消えると20分後に煙と共にもう一匹のイビルキャットを連れて戻ってくる。
「魔王様。この者は我が孫のシャルーでございます。シャルー、この御方がいつも話している魔王デスヘルダーク様で、今はアルス=クライトン様と名乗っておられる。魔王様にご挨拶をせよ」
「まおうしゃま、はじめましてにゃ。ボクはシャルーですにゃ。よろしくですにゃ」
「えーと、キャスパーグよ。お前達イビルキャットで語尾に”にゃ”が付くのは幼体だったと記憶しているが、大丈夫か?」
アルスが心配するのも無理はない、シャルーはどう見ても子猫で可愛い、背中の羽根も小さくて可愛い、短い尻尾も可愛い、舌足らずな喋り方も可愛い、可愛い尽くしであるからだ。
「シャルーはまだ幼いですが、魔界幼稚園の”かけっこ”で一番になるほど俊足です。きっと、伝令役としてご期待に答えることでしょう」
「幼稚園って言ってるじゃん。幼児じゃん、子猫じゃん、可愛いじゃん」
アルスはシャルーを抱き抱えると顎の下を触って、可愛がりながらキャスパーグにツッコミを入れる。
元魔王の腕の中で嬉しそうに尻尾を振りながら、喉をゴロゴロ鳴らす子猫のシャルー。
「キャスパーグが、そう言うなら信じたいところではあるが、テストをさせてくれ」
「テストというのは?」
「この屋敷の裏山の山頂に、珍しい青い花が咲いている。それをシャルーが一匹で採ってくるというのはどうだ?」
「そのくらい朝飯前です。シャルーよ、聞いていたな? 青い花を採ってくるのだ!」
「わかったにゃ! いってくるにゃ!」
シャルーはアルスの腕から、可愛い羽を羽ばたかせて、宙に浮くとそのまま元気よく扉から部屋を出ていく。
「窓から出ていかないのか…」
「まだ、高い高度で飛べないので…」
彼の部屋は2階なので、高く飛べない子猫のシャルーは窓から出たら危険なのだ。
「大丈夫… じゃないよね?」
「いえ、大丈夫です!」
孫馬鹿のキャスパーグは、自信に満ちた目でそう答えた。
すると、暫くして廊下の方から、階段を駆け上がってくる音が聞こえてきて、ノックも無しに扉が勢いよく開けられる。
その音の正体はフィリアで、キャスパーグは間一髪の所で彼女が入室する前に、ベッドの下に隠れる事に成功する。
「おいおい、フィリアさんよ。ノックも無しに入ってくるとは、如何なものかと思うが!?」
アルスは彼女の無礼に抗議するが、フィリアは謝罪しながら興奮した感じで、このようなことを言ってくる。
「ごめん! 庭で不思議な猫ちゃんを捕まえたから、直ぐに見せたかったから!」
そう言ったフィリアの胸の前あたりにあげている両腕を見ると、何かが入った袋と抱っこされたシャルーがいた。
「!!?(シャルー!!?)」
「にゃーー! にゃーー! にゃーー!(助けてー! お祖父ちゃん! 魔王しゃま―!)」
捕獲されたシャルーはフィリアの腕の中で、にゃーにゃー号泣している。
それも仕方がない、フィリアみたいな化け物クラスの聖なる魔力を放出している者に、抱っこ(捕獲)されれば、魔属性子猫のシャルーには泣くことしかできず、自分がシャルーと同じ立場なら、やはり泣いていたであろう。
「そんな子猫を捕まえるとか、オマエは鬼か!?」
「だって、この子猫ちゃんは背中に翼が生えていて、宙を浮いていたんだよ? 凄く珍しかったから、つい…」
「可愛そうだから、早く解放してあげなさい!」
「そうね… ごめんね、猫ちゃん」
アルスに諭されたフィリアが、号泣しているシャルーを開放すると一目散にアルスの元に逃げてくる。
「その変わった子猫、アルスの知り合いなの?」
「えっ!? ああ、実は俺の使い魔で、名前はシャルー。俺ほどの魔法使いの使い魔になると猫にも翼が生えるんだよ。でも、皆には内緒にしてね」
アルスは自分でも苦しい言い訳だと思ったが、フィリアは納得したようで、彼の背中で怯えているシャルーに挨拶してくる。
「アルスの使い魔なんだ。シャルーちゃん、よろしくね~」
「シャー! シャー!(キライ! キライ!)」
だが、シャルーは彼の背中に隠れながら必死に威嚇している。
「嫌われちゃった… 」
「まあ、フィリアが脅かさなければ、そのうち慣れるだろう」
シャルーに嫌われてしょぼんとするフィリアに、アルスは落ち込まないように言葉をかける。
「そうそう、アルス。具合が悪いって聞いたんだけど、体調は大丈夫なの?」
「ああ、もう大丈夫だ」
どうやら、フィリアはアルスが家に残るのに使った体調が悪いという嘘を聞いたらしく、心配でお見舞いに来た所、その途中でシャルーを見つけて、ついその卓越した身体能力で捕獲してしまったらしい。
「そう、それなら良かったわ。じゃあ、私は帰るわね。これ、お見舞いの果物置いていくね。シャルーちゃんもまたね」
「シャー! シャー!(カエレ! カエレ!)」
最後まで威嚇してくるシャルーに、気を落としながら彼女は、りんごの入った袋を近くの机に置くと部屋を後にする。
「お祖父ちゃん~」
「おお、よしよし」
フィリアが居なくなったので、キャスパーグがベッドの下から出てくるとシャルーは泣きながら抱きつく。
「まあ、取り敢えず、りんごを食べてから、後の事を考えようか」
こうして、アルス達はフィリアが持ってきたりんごを食べてから、この後の事を話し合うことにした。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる