半監禁結婚

にくだんご

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シたシていないではなく、現に彼女を抱けないのだ。それが1番の問題なのだ。

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その日、彼は帰りが遅かった。
疲れた顔で帰ってくると、夕飯も食べずに客室で寝てしまった。

1週間後、椿との電話で告げられた。私の旦那さんと、北海道のイベント役員との熱愛報道が出ていると。間違いであって欲しいと思ったが、写真に写っているのは彼だった。ホテルに入って行く写真。膝から崩れてしまう。私とは出来なかった。でも、この歳の近い女性とは出来たのだ。それがショックだった。私に決定的にかけている何かを、彼女は持っていたのだ。
「ううっ。うううう~。」
涙が止まらない。彼はなんと言い訳するのだろう。泣き疲れて机で突っ伏せて寝てしまった。起きると彼が雑誌を持って立っていた。
「おか、、、えりなさい。」
「これ、、。」
「出来たんですね、その人とは。」
「いや、違う。」
「何が違うんですか!?」
声を荒げてしまう。情けなくて、泣き疲れたはずなのに、また涙が溢れる。ごめん。そう言って彼が手を伸ばした。
「いやっ!」
咄嗟に手を払ってしまう。
「あ、、、。ごめんなさい、、。私、、。ごめんなさい。」
彼は悲しそうな顔をして、黙っていた。
「ご飯、作ってあるので、食べて下さい。」
そう言って部屋を出ようとした。
「華。」
名前を呼ばれ、胸が苦しくなる。
「今日は、私が客室で寝ます。」

一晩中泣いた。次の日の朝、顔を合わせたく無かった。朝ごはんを作るのをサボってしまった。瞼が腫れ、起きるのもだるい。1日中寝てしまう。椿からいくつもメッセージが来るが、返す気力もなかった。

夕方になり、彼が帰ってきた音がした。出迎える事もできず、ドアをノックされても寝たふりをした。
最低だ。妻として、何もしていない。きっと大人の女性なら、不倫の一つや二つでこんな風に動けなくなったりしない。彼の相手を思い出しまた涙が出る。あの人なら、きっと毎日女としての仕事を怠ることはないのだろう。彼に愛を囁かれながら抱かれ、満たされ、彼を感じ、感じさせる事ができるんだろう。私がもっと女として成熟していれば、きっと彼は不倫する事もなかったし、私を抱いてくれていた。
夜になり、彼が眠りにつく頃起き上がる。1日何も飲まず食わずだった為、立ちくらみがした。水を飲んでいると、彼が寝室から出てきた。
「華、具合は?」
「大丈夫です。ごめんなさい。」
「謝らないで。」
そう言って頭を撫でられる。涙がまた溜まってしまう。
「どうして。」
責めたくないのに、言葉がそれしか浮かばない。
「ごめん。華を幸せにしたかったんだ。」
「児江さん、、、。」
涙を必死に堪える。
「私、ここに住むの、辛いです。」
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