月下美人

にくだんご

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大学3年の春。僕は初めて恋をした。

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初恋を聞かれてもピンと来ない。
彼女は一度だけいた事がある。向こうから告白された。でも付き合って直ぐ、束縛と言うものが始まり、僕は付き合いきれず8ヶ月で別れた。

そもそも女の子は何を考えているか分からないし、何故そんなに感情の起伏が激しいのか甚だ疑問だった。
中学二年生の時、初めて告白をされた。しかし僕からするとそれは告白と言うより尋問でも受けているような気分であった。
「え、なんでLINEもこんなにしてて、映画にも誘ったりしてるのに好きって気づいてくれないの?」
「あ、、、。ごめん。」
女の子3人に囲まれ、僕は情けない顔でひたすら謝った。謝る以外何もしないでいると、遂にその子は泣き出してしまった。
「最低。」
囲んでいた2人はそう吐き捨て、その子を連れて行った。僕は呆気に取られていた。同時に女の子に対して軽蔑を覚えた。

2度目の告白は高校三年生。活発なその子は連絡先を聞いてきた1ヶ月後に「付き合って。」と言ってきた。友達は僕の女性に対しての苦手意識を知っている上で付き合ってみた方がいいと言った。その言葉に流されて付き合ったが、先程の理由で別れた。
僕の女の子嫌いにも拍車が掛かった。

自己紹介はこの辺にしておく。こんな曲がりきった僕は今日、初めて恋をした。

相手はこの大学の、理系学科に3人しかいない女子の内の1人で、名前は菅田光月と言った。

一目惚れではない。確かに彼女は一年生の時から学年で話題になる美人であったし、僕自身一度彼女を見かけた時、発光して見えたのだ。凝視するのも恥ずかしくなってしまった。しかし美人という事は僕にとってより女性味が増すし、僕とは縁のない人だと思っていた。

しかし彼女が僕に関わり、まんまと落とされてしまった今となっては彼女について語ると止まらなくなるだろう。

単に雰囲気が可愛い女性や、スリムで色気のある女性など、美人にもいろいろある。
彼女は分類がしづらかった。男達に囲まれて笑う姿は無邪気で可愛い気があるが、ふと1人で見かけると消え入りそうな程儚く見えたりする。体のラインが見えるスカートを履いてくると目を向けるのも躊躇されるほど色気を感じる。
顔はと言うと、特徴がないのが特徴、と言うほど正しい位置にパーツがある。目は切長気味で、鼻は細く高い。唇は若干、アヒル口というのだろうか、口角が上がっている。もし何が不満があったり、怒ったとしても、それが下がる事はないだろう。

彼女は今、一人暮らしの僕の部屋にいる。どういう状況かと言うと、僕はたった今彼女に童貞と同時に心も奪われたとこだ。
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