【魔法使い】と【死にたがり探偵】~マイナス千点のミステリー~

宝者来価

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90話 冬のコンサート②


 憧礼神具はヘドロと大元正義と共に、大人気アイドルグループ、エトセトラでありフォロワーズでもあるチーターに連れられてエトセトラが宿泊予定だったホテルへとやってきた。

 ホテルにはバイキング形式で食事が用意されていた。
 大騒ぎにならないようにだろうか、貸し切。
 人の目が無いというのは楽だった。
 
 スタッフには嫌な目で見られているが一緒にチーターが座っていては口も出しづらい。

「バイキングうっま」
「バイキングなら毒が入っていることはない……か」
「警察になってからバイキングなんて来るとは思わなかった」

 エビフライが特にうまい。
 長野(海なし)のくせに海にいるエビの料理が美味い。
 歴史的な進歩を感じる。
 ソースとタルタルをたっぷりつけて喰える幸せ。

「お前、そんなに大食いだったか?」
「むしろチーター、それだけなの勿体なくね?貸し切りだぞ」
「……あまり食欲がわかない」

 憧礼神具が返事をする前に、違う声。

「だろうな」
「ヘドロさんが会話に入ってくるなんて珍しいな?」
「胃が荒れてる、薬を出そう」
「ヘドロさんが自分からそんなこと言うなんてもっと珍しいな!?」
「好きな女が出来た」
「好きな女!?ヘドロさん生きてる人好きになったのか!?」
「殺された」
「殺され……お前、パンドラのこと好きだったのかよ!?」
「殺されてから好きになった」
「は?」

 ヘドロとこんな所で話すことをあまり考えてなさそう。

「お前、自分のスタッフにヘドロの性癖晒す気か?」
「……それ、は」
「隣でスゴイ顔してんぞお前のリーダー(もぐもぐ)」
「そうだった、な」
「さて話を挟んでもよろしいでしょうか?」
「はい(もぐもぐ)」
「お名前は?」
「私は憧礼神具と申します、こちらは……ヘドロです」
「ヘドロというのは?」
「この人あだ名です、エトセトラにおけるチーターとかライオンさんみたいな」
「なるほど、それでフォロワーズとは?」
「ファンクラブです」
「ファンクラブ???」
「はい」
「危ない組織ではない?」
「危ない組織です」
「……チーターは何をさせられているのでしょうか?」
「犯罪への加担です」
「え!?犯罪!?」
「ただ、俺はチーターが犯罪に加担したのを1度しか見ていません」
「1度?」
「ええまぁ、被害者が俺一人なので俺が黙ってりゃいいだけの話ですけど」
「被害者!?どういうことだ!?」
「シングお前気づいていたのか!?」
「俺への態度で何となく……ちょっとコーヒーとってきますのでチーターに聞いて下さい、チーター、ちゃんと話せ」
「分かった」

 コーヒーをとって席に戻って来た。結局俺に何をしたのか、話したようだ。ライオンは真剣な顔。

「シングさん、うちのチーターをどう思いますか?」
「歌がうまい」
「え?」
「国民的大スターが【俺なんか】を抱くとかクソ」
「なんか、ですか」

 憧礼神具は机をだんダンダンと叩きながら叫ぶ。

「あんなに歌うまくて皆の大人気アイドルでチケット競争率がバカ高い特別な存在に何で俺!?ほんと俺じゃなきゃよかったのに!!喜んで見に行くのに!!あとライオンさんファンです」
「ふむ」
「あ゛、最後のは忘れて下さい」
「シングってライオンのファンなのか!?」
「俺、ライオンさんの刑事ドラマシリーズのファンでさ」
「そう、だったのか」
「何にせよ俺がお前やお前たちに何かすることは基本無い」
「基本?」
「オウルに言われたら流石に庇えん下手なことをするなよ」
「……分かってるよ、大丈夫」
「オウルってどなたでしょうか?」
「ウィザードの社長です、オウル・ゲート」
「答えてくれるのですね」
「すごい権力者だと思ったほうがいいです、機嫌を損ねると芸能界なんて余裕で干されます」
「ふむ、つまりご忠告をしてくれているのですね?」
「俺はドラマの続きが見たいので……」


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