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43話 ハーメルンの笛吹き男③:3
しおりを挟む「こんばんは」
オウル・ゲートの登場に酒を吹く者や硬直する者。
憧礼神具はコーラを口からすべてこぼした。
急に現れる推しにてんやわんや。
喉につまらせたアンチの背中をさする。
今日のオウル・ゲートは美しさ全開、何も隠していない。
「ッ……!!」
「ごっくんしような~」
ごくり、アンチは憧礼神具に【すまん】と合図した。
「狭いですね、『ペースト』」
オウルが発した『言葉』と同時に部屋が広くなった。
広くなった部屋には電子レンジが乗った机と巨大な冷蔵庫。
棚の他にトイレとシャワー(どちらも個室)が追加された。
まるで部屋を作るゲームのように、意図もたやすく内装が変わってゆく。
壁にもたれて寝ていたヘドロだが、壁がなくなってそのまま倒れて頭を打ち、驚いて起き上がって周囲を見渡す。
そこにいたのがオウル・ゲートであることに気づき息を止めた。
「……美味しそうですね」
「えっ」
「スクラップさん、それ貰っていきますね」
かなり一般的なコンソメと書かれたポテチの袋を食べていたスクラップからポテチを奪いオウル・ゲートの部屋へと去っていった。
「シングに聞きたんやけどオウル様って飯喰うん?」
「滅多には食べない、気まぐれでたまーにな?」
「にしても大騒ぎやなぁ?会えてうれしい的な感じなん?」
「見ろ、ポテチを買ってきてしまったばっかりに心臓が止まって蘇生されているパンドラを」
ヘドロがパンドラに人口呼吸と心臓マッサージをしている。
パンドラのことは好かないがこれは可哀想だ。
せめてもっと限定品とか高級品であれば畏れ多くてあそこまで身体の機能が停止することも無かっただろう。
「ポテチを買ったばかりに!?ポテチ買うただけやんけ!!」
「一般人がオウルにあんなもの食べさせて平気な訳ないだろ?」
「オウル様がポテチ喰ったからってなんなん!?」
「バカ野郎、芸人だろお前、芸歴が20年先輩の超女性人気イケメン俳優に1000円のTシャツを着せるのか!?」
「アカン!!!!!!!!」
「だろ!?!?!?!?」
パンドラの蘇生が終わった。
あれ、そういえば治せと言わなくても治したなヘドロ。
「もしかしてヘドロってパンドラと仲がいいとか?な、わけ……」
「パンドラは俺がフォロワーズになった時に案内をしてくれた恩がるし、もしパンドラが俺の前で病気になったら治療すると昔約束したから治療しただけだ」
「えっお前ら、ソウイウ関係……」
「ソウイウ?」
「がっつり人口呼吸したけど、パンドラは良かったのか?」
「え?大丈夫ですよ、彼が私に気がないのも性欲皆無なのも長い付き合いなのでよーーーーく知っています」
「パンドラちゃん良かった~!!そこの自殺志願者じゃないんだから急に死なないでね?」
「ノイズちゃん心配かけてごめんね?」
「いやいや!あ、そういえば……もってかれたスクラップさんは?」
「あれ?いない?」
「誰かしらね?」
一人、行方を見ていた人がいた。
「スクラップならトイレで吐いてるよ~」
確かプッシー、だったかな?
仲良くないけど悪い訳でもないんだよな。
檻を見に来ることはあれど、どんな奴かもよくしらないし。
「え?」
「それが……オウル様が袋をもっていくときに見つめられていて」
「あの距離でオウルに!?」
「優しくしてあげてくれる?」
「分かった、そこにあるベッドで少し寝かせることにする」
「あ、私……オウル様を見たんだ!!今日!!」
「ノイズやっと実感沸いたのか?」
「あぁオウル様!!そのお姿を見られるなんて!!今日という日に感謝します!!オウル様バンザイ!!」
皆が歓喜と美しさのあまりの恐怖に興奮するが、一人だけ嫌な顔をしている男がいた。アンチである。
「……人、死にかけたんやぞ」
「ん?」
「今!!失われかけたのは……人の命やぞ!?あのクズが死ぬんならまだ分かるねん!!そんなに死んで欲しいって思うほど怨んでたんか!?もっかい言うで!?人の命やぞ!?普通の人なら命が死にかけたら心配とかするもんやろ!?」
「……あれ?そういや、そうだな?人の命、だな?」
「自分、普通やなくなったん?」
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