【魔法使い】と【死にたがり探偵】~マイナス千点のミステリー~

宝者来価

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45話 高橋さんと山のできごと②:2

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 新聞の反応、そして現状の通話中のスマホ。

「さっき俺のスマホに高橋さんから電話がかかってきた」
「え?」
「で、今だ通話がかけっぱなし……」
「えぇ!?」

 スマホでよくある誤操作なのだが、直前に電話した相手にうっかり電話をかけてしまうことがある。仮に鞄の中などで誤作動しているなら会話や歩くなどの雑音が聞こえるハズ。だが憧礼神具の耳に聞こえてきたのは『ゴトッ』という鈍い音だけ。スマホがどこかに落ちた時こういう音が鳴る。

「アディクションと同じ山で遭難したんだろうな」
「どうして同じ山だって分かるんですか?」
「仮に俺を心配してのことなら写真じゃなきゃいけない、それはおかしい。滑落現場が写真に載ってたんじゃないか?登るつもりなら危険な場所は事前にチェックしたいからな」
「あ!!確かに!!」

 スマホを落としただけの可能性もあり心配だからでレスキュー隊を呼べるか怪しい。とすれば―――スマホで電話をしたいが肝心のスマホは通話中。かけられる状態ではない。




「あっ!!ヘドロ……確かアディクション救助の時、連絡先皆で交換してたよな?」
「してた」
「お前のスマホを貸せ」
「分かった」

 こうして電話をかける。
 ぜんぜん連絡先がなく、目当ては【あ行】にいたためすぐ分かった。

『もしもし?どなたですかね……』
「お久しぶりです安土凛子(あづちりんこ)さん、憧礼神具です」
『あ!!おひさしぶりです……え?』
「今日って動けますかね?」
『今日!?山登りのお誘いですかー?私いつでも歓迎ですよー!!』
「実は前に遭難者を捜索した山で、知人と連絡がとれなくなっていまして」
『え!?やばくないですか?』
「何故か電話がかかってきて、俺のスマホと永遠に通話したままになっているのです……かれこれ30分ですよ?」
『え、それ本人が落ちているかも!!』
「安土さん地元だっておっしゃっていましたよね?それで探していただけないかと!!」
『分かりました、すぐ登ってみますね!!』

 俺は異常者ではないので高橋さんの無事を祈りつつ結果を待った。
 何やらSNSでも拡散されている。
 1時間もしないうちに新たな情報。

 SNS:『一人見つけたのですが今まで意識を失っていたようです。友人と登り友人がまだ見つかっていないそうです』

 さらに1時間後には救助された投稿と俺のスマホにも安土さんから連絡が来た。

『高橋さんですよね?見つけましたよ!!』
「ありがとうございます!!」
『足を少し捻挫しただけで済んだようです、スマホは落としてしまったらしく……』
「とにかく見つかって良かったです」

 人の命やぞ、とつい先日、言われたことを思い出す。
 自分のものは兎も角、命を軽んじるのは確かにどうかしていた。
 
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