宇宙人との規格外恋愛をした~愛されてるのは彼だけです~

宝者来価

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24話 寂しさの果てに

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 ヒコ・キララ視点

「☆こんな程度の武器でよく海賊なんかやってたなアイツら☆」

 病院を襲った海賊はたったの10人でしかも武器がチープ。
 確かに地球の周辺は強い宇宙警察がいないので成り立ちはするだろう。
 久々に銃なんか使ったが相手が【俺】で良かったな。

「……まだその銃、持ってたのか」

 相手を辺境の星までワープさせる銃だ。
 本来ならば軍人でなければ使うことが許されないしろもの。
 でも俺はどうしてもこれを手放したく無かった。

「☆カナちゃん怪我ないね?☆」
「はい、あの……そろそろ足を緩めていただけると」
「このまま持って帰る」
「ええと」
「船に乗せて――それで、いつもどおりだ」

 いつも通りという言葉に困惑しているカナちゃん。
 何か心当たりがあるのだろうか。
 こっちを見つめている、助けてという目に間違いなかった。

「☆地球人は弱いんだからそんな乱暴にするな!!☆」
「え、あ……うん」

 タコ足が緩んだがカナちゃんは逃げようとしない。
 いや逃げられないのか。
 スタシスは何しようとしてるんだ?

「クロノさん、私は死刑囚ではありませんからね」
「……そうね」
「大丈夫ですよ、こんな【私】で良ければ全部あげますから」
「……」

 タコ足がカナちゃんと、俺を捕らえた。
 気が付けば知らない場所で病院の中とは思えない。
 治療しようとしていた親友を今度は――これは軍用船か?
 入り口付近のパーティーフロアだな。

「大丈夫だよ、もう一緒にいれるんだから」
「☆一緒に?☆」
「マザー【解析】を開始して」
「☆解析って――お前、これまさかッ!!☆」
「テメェもうやらなくていいって!!」

 どういうスイッチか知らないけど彼女もあまりの危機に前世が出てる。
 解析してるってことはコピーを作れるようにするってことだ。
 オリジナルは必要なくなったら処分される。

 こいつは俺達を処理するつもりでいる。

「大丈夫だからね、仲間が、たくさんいるから……」
「☆お、まえ……ッ!!☆」
「ぬいぐるみの中身からして嫌な予感はしてたが――」
「☆ぬいぐるみ!?☆」
「持ち上げた時に死体の臭いがしてな……今までの子供たちをぬいぐるみの中にいれてるんだろうよ」
「☆……チッ☆」

 本当は銃なんか抜きたくないが、カナちゃんの前で殺されたら駄目だ。
 それに殺す訳じゃないしコイツなら生きてられるだろ。
 遠い宇宙の果てで一人……でも。

「☆いや、これは☆」

 銃を抜こうにもいっさい動けないことに気付いた。
 現役軍人の足に一度巻き付かれたら俺じゃあ無理。
 このままじゃあ二人で死ぬ、どころか宇宙が崩壊する。

「ここに【私】を連れてきた時、ベッドで寝るなって怒ったよね!?」
「……うん」
「【私】を殺すつもりならその時にやらなきゃいけなかったんじゃないの!?」

 スタシスの動きがとまる、そんで俺たちの【脈】を確認している。
 細いタコ足が腕にまきついてきたし脈拍を計っている。
 え、俺たち死んでると思われてたのか? いや、でも。

「オリジナルの身体もちゃんと変えてあげないと――」

 ぬいぐるみに埋める気で、いるのだろうか。
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